"ナンパの仕方"から"ニンジンの切り方"まで親切に教えてくれる。かゆいところに手が届くサービスが人気の情報サイト"nanapi"。古川健介さんに、開発中のサービスや将来の展望をうかがいました。
株式会社nanapi 代表取締役
古川健介
1981年6月2日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2000年に学生コミュニティである"ミルクカフェ"を立ち上げ、月間1000万PVの大手サイトに成長させる。2004年、レンタル掲示板を運営する株式会社メディアクリップの代表取締役社長に就任。翌年、株式会社ライブドアに"したらばJBBS"を事業譲渡後、同社にてCGM事業の立ち上げを担当。2006年、株式会社リクルートに入社、事業開発室にて新規事業立ち上げを担当。2009年6月リクルートを退職し、Howt oサイト"nanapi"を運営する株式会社ロケットスタート(現・株式会社nanapi)代表取締役に就任、現在に至る。ニックネームは"けんすう"。
速水:まずはnanapiのことを、説明していただけますか。
古川:Howtoを集めたメディアサイトで“ニンジンの切り方”から“ナンパの仕方”、ありとあらゆる記事を用意しています。
速水:ジャンルは生活から恋愛からITなど、幅広いですね。
古川:そう、なんでもあります。もともとはウィキペディアのHowto版をつくろう、みたいな感じでスタートしたんですよ。
速水:最近最もバズった記事は。
古川:ここ1ヵ月ぐらいでいうとまさに“ナンパの仕方”はすごいバズってますねえ。実際にナンパ師さんに取材したナンパマニュアルです。どう声をかけるかとか、時間は20~23時がいいとか、歩く速度が遅い人がいいとかをまとめていて。ダメだったときのメンタルケアも書いてある(笑)。
速水:ナンパ師も断られたらショックを受けるんだ?
古川:受けるみたいですねえ。このぐらい詳しく書くと話題になるので、こういうものは人気です。
速水:この記事はなぜそこまでウケたんだと思います?
古川:ひとつあるのが、パソコン時代とスマホ時代で、読まれるものが完全に変わっていて。
速水:じゃ、これはスマホ対応?
古川:スマホを意識しています。PC時代には1000~2000文字くらいの記事が好まれていたんですが、スマホになったらすごく短いか、すごく長いか、どちらかになったんですよね。
速水:なんでだろう。絵だけや、短いのがウケるのはわかるけど。
古川:パソコンより、スマホのほうが没頭できるからだと思います。パソコンって、姿勢的にも没頭に向いてなくて。
速水:たしかに。スマホだと画面との距離が近くて集中しやすい。
古川:そうですね。画面もちっちゃいので気が散りづらくて、長いものが読みやすいみたいです。
Googleよりも便利だと認識されるのがゴール
速水:ふむ。まさに、単機能アプリですね。ウェアラブルが普及すれば、もっとそういうものが求められていくのかもしれないですね。
速水:nanapiは当初目ざしていた完成形になった?
古川:全然。Googleよりもnanapiで検索したほうが便利だよねって言われることを意識していたんですけど、まだ10万記事くらいなので。たぶん50万、100万記事くらいにならないと、そのレベルにならない。
速水:なるほど、じゃ、みんながとりあえずなにか探したいときにGoogleよりもnanapiを先に開くようになることが、最終的なゴール。スマホの次のものって考えたりしますか。
古川:やっぱり、スマートウォッチのようなウェアラブルなものはあるんじゃないかと思います。あと、個人的にはオートメーションが気になっていて。
速水:ん? オートメーションと
いうと?
古川:アンドロイドアプリにもすでにあるんですが、たとえば会社のWiFiを拾うとGoogleのスプレッドシートにその時間を書き込むみたいなことが簡単に自動化できるんです。夜10時になったら音声を全部オフにするとか。これはすごく便利なので、これからそういうものがくるのかなあと。家の半径1キロ以内に入ると勝手に冷房がオンにできたりとかね。速水 建物、家って進化しているようでしていないですからね。ふむ。単機能アプリからそこにつながるのは、もう未来の夢物語ではない気がしますね。
今回の聞き手
速水健朗(はやみずけんろう)
'73年11月9日生まれ、石川県出身。編集者・ライター。著書に『ラーメンと愛国』(講談社刊)、『自分探しが止まらない』(ソフトバンク刊)ほか。
http://www.hayamiz.jp/
■関連サイト
nanapi
週刊アスキーで全部読めます!
9月9日発売の週刊アスキー9/23号(No.995)では、古川健介さんを直撃したインタビューをすべて掲載。新しいサービスについてや思い描いている将来像などについて聞いています。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります