本日6月25日から配信開始の『ぐんまのやぼう for ニンテンドー3DS』。既報通りPR映像のナレーションに声優の田中敦子さんを起用するなど、積極的なプロモーション活動を行なっているが、そもそも、スマホ用のシンプルなゲームを“なぜ”3DS化したのかが気になるところ。
制作者のRucKyGAMESさん、プロデューサーのPUMO竹下功一さんにお話を聞いてみました。
『ぐんまのやぼう for ニンテンドー3DS』ダウンロード価格500円
―さっそくですが、3DS化するにあたってこだわった部分がありますか?
RucKyGAMESさん:いや、そんなにないです(笑)。
一同:(笑)
―RucKyGAMESさんのことですから、こういうユルーい展開は予想していましたので(笑)、プロデューサーの竹下さんもいっしょにお話しを伺えればと思います。
竹下功一さん(以下、竹下):ありがとうございます。RucKyGAMESさんも実機を手にすれば、なにか記憶がよみがえるかもしれないので、お手元に……。
RucKyGAMESさん
RucKyGAMES:(新作の発表が多かった)E3のあとに見るとだいぶキビしいですねー。
一同:(笑)
―まず、3DSに出しちゃいましたねっていうところからお聞きしたいんですけど(笑)、実現した感想は?
RucKyGAMES:ああ、ホントに出ちゃうんだね、大丈夫かな任天堂さん、くらいですね。
一同:(笑)
―3DS化するにあたって、この企画を立ち上げたのはPUMOさんからなんでしょうか。
竹下:もともとRucKyGAMESさんとはご縁がありました。また、3DSのパブリッシャーになれることになって、何をつくろうかって話になったときに、ボクが昔からRucKyGAMESさんの大ファンだったので、是非なにかいっしょにやりませんかと。
―正直に言いまして、ぐんまのやぼうは“特殊なゲーム”だと思いますが……、
一同:言葉を選んだ(笑)。
―(笑)。この企画を進めるにあたり、会社のなかでの賛成や反対意見というものはなかったんでしょうか。
竹下:幸い私たちの会社は代表取締役CEOの柴田真人を含めて少人数ですし、わかってくれる人ばっかりだったので、なんの反対もなくすんなり私の一存で決まりました。特殊なゲームが(笑)。
―その後、RucKyGAMESさんにオファーされたと思うんですが、RucKyGAMESさんはどのような感想をもたれましたか?……めんどくさい以外の回答がいただければ(笑)。
一同:(笑)
RucKyGAMES:ホントにやるのかなって思いました。「3DS化で動いてます」という時点から話が来ていたので、……まあやらないだろうなくらいの感覚でした(笑)。だって、『ぐんまのやぼう』を3D化ってやりようがないじゃないですか。パッと見た感じでは。
―まあ、そうですね。
RucKyGAMES:正直どうしよう、このまま進んだらどうしようって感じで。
一同:(笑)
RucKyGAMES:進んてしまったので、ちゃんと考えだしたって感じですね。
―最初に考え始めだした段階で、なにかアイデアはあったんですか?
竹、RucKyGAMES:ないです、まったく。
一同:(笑)
RucKyGAMES:これ、どうしたらいいんだろうって悩んでいました。
―3D化する、ということから考えられたのでしょうか。それとも、十字ボタンが付いてるゲーム機を使う、ということから?
RucKyGAMES:2画面を意識しました。あとコンソールなりの遊び方ってあるじゃないですか。スマホだと電車の待ち時間とかに遊ぶって想定ですけど、3DSだとやっぱちょっとは腰を据えて遊ぶので、(収穫できるものが育つまで)あんまり待たせるわけにはいかないなっていうところから、考えていったって感じです。元のスマホ版が待つゲームだったんで。
―3DS版では常に収穫できますが、これが待たせないための工夫でしょうか。
RucKyGAMES:下画面をずっと収穫にするっていうアイデアがイイ感じにでてきたんで、よかったなあと。
竹下:最初に実際に触れるデモが出来たときに、「コレ掃除してるみたいでキモチいい」って感想をよく聞きました(笑)。
RucKyGAMES:企画考えてみて、つくってもらって、あ、思ったよりゲームになったっていう感じですね。ゲームにならないと思ってました。
一同:(笑)
―RucKyGAMESさんからこれは直してほしいという要望や、竹下さんからそれに応えるのが難しかった、ということはありましたか?
竹下:RucKyGAMESさんとしてはまだまだこだわりたいところがあったと思うんですけど、悔いが残らないかたちで、ちゃんとリリースはできてるとは思うんですけど(笑)。
RucKyGAMES:そうですね。ちゃんとまとまったので、悔いはないですね。元のスマホ版自体がだってそんなに……そんなにですからね(笑)。
一同:(笑)
―3D立体視という部分ではリクエストがあったんですか?
RucKyGAMES:立体的なことについての要望は、ボクはなんにもありませんでした(笑)。
一同:(笑)
RucKyGAMES:RucKyGAMESにはグラフィッカーがいるんで、グラフィッカーはココを立体化したりとかあったんですけど、ボクとしてはなんにも……ボク、3Dオフにして遊ぶタイプなんです(笑)。
一同:(笑)
―ゲームを始めると、群馬県についてのプレゼンテーションが入ってますよね。これは、ご自身で描かれたということですが、何か意図はあったのでしょうか。
RucKyGAMES:あれは、提案書みたいなノリでつくってほしいってお願いして、こんなかたちになったんですね。この関東ランキングすごい気に入ってるんですけど、た関東の人以外は多分説明することさえ面倒くさいくらい、伝えられないと思うので。
一同:(笑)
―竹下さんとしては、リクエストは基本的にはなかった?
竹下:私がハドソンにいたときにRucKyGAMESさんと『僕とちくわと鉄アレイ』をつくったんですが、もうRucKyGAMESさんのつくりたいようにつくっちゃうのがイチバンかなって思うようになりまして。最初の何回かの打ち合わせはRucKyGAMESさんのほうがどうしようって(笑)。苦悩されていました。
RucKyGAMES:誰も助けてくれないんです。上司がいないですからね。ボク。
一同:(笑)
―プレイしているとアレンジされた八木節が耳から離れなくなるのですが、音楽についてはいかがでしょう。
RucKyGAMES:音楽については、ボクはこだわりがないみたいです。
一同:(笑)
RucKyGAMES:ホントは童謡の『海』をアレンジしたものが良かったんですが、いろいろと権利関係で難しかったので。じゃあ、なんでもいいですって(笑)。
―開発時にプレイしてみて、ここは変えたいといった要望はありましたか?
RucKyGAMES:収穫の発生の仕方ですね。規則正しく発生していたものをランダムに発生させたりとか。……「ないです」って言ったって書いてもいいですよ。
―いやダメですよ(笑)。竹下さん助けてください(笑)。
竹下:特産品の生えてくる量とかは、最初はもっと少なかったんですけど、もっとちょっと2、3倍みたいな。
―けっこう忙しいんですよね。がんばって収穫しようと思うと。
竹下:全体図画面で見ていると、上画面にポツポツと赤い点々が生えてくる辺りが面白いですよね。回収しても回収しても絶対回収しきれないです。
RucKyGAMES:終わらない収穫……。
―3DS版で出ることを聞いた周囲の人の反応は?
RucKyGAMES:ボクは周りにそんな人いないです。親も「ヘー」としか言ってなかった……。
―無反応ですね(笑)。
RucKyGAMES:多分、3DSっていうことを理解してないですね。親はボクの仕事よくわかってないですよ(笑)。
―『ぐんまのやぼう』が3DS化されたので、その次の『ぐんまのやぼう』はどうなるんでしょう?
RucKyGAMES:ノープランですね(笑)。なにか良いゴール地点あれば協力しますんで……。
一同:(笑)
RucKyGAMES:ぐんまのやぼうだけじゃなくて、PUMOさんはこのあとにも色々だしてくるんでね。先のほうに向かったほうがイイかもしれない……。
―PUMOさんの運営が心配、みたいなコメントになってますが(笑)。
竹下:続く3タイトルの開発もスタートしてるんです。この秋から冬にかけてリリースする予定です。
竹下功一さん
―今ちょっと触らせていただいているんですが、まじめに収穫しようとすると腕が疲れますね。
RucKyGAMES:ぐんまちゃんが勝手に収穫してくれるので、触らなくてもいいんですよ。
―そういう逃げ道もあるんですね。
RucKyGAMES:それがメインですよね、実は遊ばなくていい。
竹下:放置ゲームになったっていうのがすごいですよね。
RucKyGAMES:勝手にポイント増えてくれる仕組みが欲しかったんで、ちょうどいいキャラがいるなって。……面倒くさいですからね、ずっと自分で収穫してるのって。
―もはや触らなくてもいい、と。ゲーム性とはなんぞやっていう話になってきますけど(笑)。
一同:(笑)
RucKyGAMES:ボクもイヤですからね、そんな何時間もやるの(笑)。だからいいんじゃないですか……任天堂のe-shopにこれが並ぶっていうことに意味がある。
―プレイ時間の想定はどのくらいですか?
RucKyGAMES:エンディングまで3、4時間で、コンプリートだと数百時間です。カードが4000枚くらいあるので、運が悪いと結構かかります。
―新たに描き起こした要素は?
竹下:ゲームの基本的な特産物以外は描き下ろしていますね。オープニングやエンディングがちゃんとあるので。
RucKyGAMES:特にエンディングは結構楽しい。……ただし、そんなに期待して見るものでもないので(笑)、気が向いたら見ていただければ。
一同:(笑)
竹下:RucKyGAMESさんが好きなユーザーの方は、結構これだけギッチリとつくられた演出というかエンディングってなかったと思うので、楽しみかなと思いますよ。
RucKyGAMES:ビックリしちゃうかもしれません。
竹下:ボクも始めてみたときは、おなかを抱えて笑いました(笑)。
―ここまでやるかと(笑)。
RucKyGAMES:期待値は低めで良いと思いますけど(笑)。
―RucKyGAMESさんでは伝えきれなかったことがあれば(笑)、竹下さんからメッセージをお願いします。
竹下:RucKyGAMESさんを始め、すでにこれだけゲームクリエイターさんがいますけど、iPhoneのアプリストアって、個人の方がつくっている良いゲームが埋もれてしまっていると思うんですね。自分がホントに好きなクリエイターさんとか、面白いものをもってるゲームを僕は3DSにどんどん案内して、お客さんに知ってもらえればいいなって思います。
―こういう活動をされているPUMOさんに対して、RucKyGAMESさんはどう思われますか?
RucKyGAMES:……がんばってください。
一同:(笑)
竹下:ありがとうございます(笑)。
RucKyGAMES:まあ、ボクのほかにも色んな人がいるので、是非世の中に拡めていっていただければ嬉しいです。
竹下:すごいテンプレ的な(笑)。
RucKyGAMES:スマホってやっぱりちょっと独特なゲームが多いじゃないですか。今までの任天堂さんのタイトルではなかった部分なので、e-shopもおもしろくしていきたい。
竹下:そうですね、なるといいですね。
RucKyGAMES:まあこんなゲームばかりだと、だいぶ変な感じにはなりますけど。
一同:(笑)
RucKyGAMES:続編ばっかりのゲームではつまんないですからね。最近、変なゲームが少ないんでね。やっぱりみんな余裕がなくなってる。大きな会社とかは特に。
―それができるのが、個人クリエイターの作品なんでしょうね。
RucKyGAMES:大きな会社ではもうできないですからね。儲からないとダメですから。
竹下:もう、うちの会社がつぶれなければいいなって。
一同:(笑)
RucKyGAMES:一部の人たちが笑うようなゲームがあってもいいと思います。
竹下:100人しかユーザーいないけど、超熱烈なファンがいるゲームとか。
RucKyGAMES:まあ、ボクは儲かるんだったらどっちでもいいです。
―どっちなんですか(笑)。
RucKyGAMES:変なことやって儲かったら、サイコーに面白いですけど。真面目にやってる人たちに「やーいやーい」っていいたい(笑)下剋上的な……ハイ、すみません。もう十分です(笑)。
●関連サイト
ニンテンドーeショップ
PUMO
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