上海で開催されたMobile Asia Expo 2014(MAE2014)にはLTE関連製品が多数展示されていた。その中でも盛り上がりを見せていたのがLTEスマホだ。開催国中国では3社ある全キャリアがLTEを開始して間もないとあり、国内外メーカーから国内向け最新LTEスマホが多数展示されていた。
新設された『LTE端末ブース』 |
昨年までは、キャリアやメーカーが個別にスマホの展示を行っていたが、今年のMAE2014ではLTE端末を専門に展示するブースが新設された。展示されていたのは、主に中国最大キャリアと中国移動向けのLTEスマホだが、中国のTD-LTE方式だけではなく、日本やアメリカなど海外で広く利用されているFDD-LTE方式にも対応した製品が多く見られた。これらスマホのいくつかは中国だけではなく海外でも販売される予定のものもあるという。
ソニーモバイルは大画面LTEスマホを展示 |
ソニーはこの春に3G版として先行販売した6インチの大画面ファブレット『Xperia T2 Ultra』のLTE版を展示。画面解像度はHD、CPUはクアッドコア1.4GHzと抑えたミッドレンジの上位モデルだが、価格は日本円で4万円前後とフラッグシップのXperia Zシリーズよりも低く抑えられている。LTEはTDとFDD両方式に対応するが、FDD-LTEは日本でも使われているBand 1にも対応しているのが隠れた特徴だ。
パワーアップしたカメラスマホ、GALAXY K Zoom |
サムスンはハイエンドの『GALAXY S5』だけではなく低価格なGALAXYシリーズまで多数の製品を展示。その中で最も注目を浴びていたのはズームレンズを搭載したカメラスマホ『GALAXY K Zoom』だ。2007万画素、光学10倍ズーム、キセノンフラッシュを搭載。ズームレンズを伸ばしたスタイルはコンデジそのものだ。中国向けの本モデルはTD-LTE/FDD-LTEに対応する。
中国メーカーのスゴイスマホがたくさん! |
これら海外でも大手メーカーのスマホよりも目立っていたのが中国メーカーの製品だ。中国メーカーは約15社が製品を出展しており、展示ブースの大半を占めていたほど。それらの中から各社自慢の最新製品を紹介しよう。
ファブレットを超えた超巨大な「タブレッフォン」? |
ハイセンスのX1はディスプレイサイズが6.8インチ、もはやファブレットを越えタブレットに近い大きさだ。2.3GHzのクアッドコアCPU、FHDディスプレイ、1300万画素カメラなどスペックも十分。通信方式もTD-LTE/FDD-LTEのデュアル対応で国外利用も可能という。
スタンドにもなるフリップカバーを用意 |
こんな巨大な端末でもスマホライクに使えるようにと、メーカーのハイセンスは純正品でフリップ式のカバーを用意。このカバーは裏側に折りたためば横置きのスタンドにもなる優れものだ。6インチでも6.5インチでも物足りないという人はぜひ検討しみたいモデルだろう。
2Kディスプレイはこちらが元祖のOPPO Find 7 |
デザイン自慢のスタイリッシュなスマホを多数リリースしているOPPO、その最新モデル『Find 7』は5.5インチ2560x1440ピクセルの高解像度ディスプレイを搭載した同社のフラッグシップモデル。発表は2014年3月で、KDDIの『isai FL LGL24』よりも先に2Kディスプレイを搭載したモデルが中国でアナウンスされていたのだ。世界最小の2Kモデルとして中国でも人気となっている。
展示品は残念ながらノーマルディスプレイ |
OPPOが誇る2Kディスプレイを体験しようとしたところ、残念ながら展示品はFHDディスプレイの別バージョン品とのこと。とはいえスタイリッシュなボディーは変わらず中国でも女性に人気と言われるOPPOらしさは十分に感じることができた。このFind 7もTD-LTEとFDD-LTEの両方式を利用できる。
6インチオクタコアのTCL H900M |
もはや6インチサイズですら大きいと感じなくなるほど大画面スマホが目白押しの中国市場。TCLの『H900M』はMTKのオクタコア2GHz CPUに6インチフルHDディスプレイを搭載する。
背面にはペンを収納可能 |
TCLはヨーロッパではAlcatelブランドでスマホを多数出している。このH900MもやはりTD-LTE/FDD-LTEのデュアルモードに対応していることから近いうちに中国以外の市場でも販売されるかもしれない。さてH900Mの背面を見ると本体右下にはペンが収納されている。
GALAXY Noteシリーズ対抗の有力候補 |
展示されていたH900Mの実機はまだ開発中のモデルとのことで、ペン操作は画面のスクロールなど一部に留まっていた。だが最終製品版にはペン操作可能なUIやペンで手書きできるアプリなども搭載予定だという。ファブレット市場ではサムスンのGALAXY Noteシリーズがシェアを圧倒しているが、H900Mはペン機能とあわせて大きなライバルになるかもしれない。
中国のLTEスマホがこれから盛り上がる |
K-Touchの『Touch 6』も6インチディスプレイを搭載したファブレット。解像度はHD、CPUもクアッドコア1.2GHz、TD-LTEのみ対応の中国専用モデルで低価格帯(1000元、約1万7000円)を狙ったモデル。
革のような電池カバーは高級感あり |
Touch 6の特徴はそのボディーそのものだ。側面はメタリック仕上げ、背面の電池カバーの表面は革のような仕上がりになっている。そしてエッジの部分は糸で縫ったようなモールドが施されているなど、サムスンの『GALAXY Note3』のイメージをインスパイア。低価格&高級感という相反する要素を兼ねそろえ、中国スマホ市場シェア1位のサムスンに勝負を挑んだモデルと言えよう。
ノキアのLumia 638でちょっと一休み |
ここまで紹介した中国各社のスマホの中には日本でも売れそうな製品があるかもしれない。中国国内のLTEの本格スタートは各メーカーに本気でLTEスマホを作らせる環境を与えているのだ。引き続き各社のLTEスマホを紹介しようと思うが、その前にノキアの中国向けLumia最新製品『Lumia 638』を見ておこう。
カラフルなLumiaカラーはやっぱりイイ! |
Lumia 638の主なスペックは1.2GHzクアッドコアCPU、4.5インチ854x480ピクセルのディスプレイ。スペックからわかるように低価格モデルとして販売される予定で、巨大市場の中国で「数」を売る戦略的なモデルだ。とはいえボディーはLumiaシリーズでおなじみのカラフルなもので、他社にない色合いは中国市場でも大きく目立っている。しかもこのスペックでも通信方式はTD-LTE/FDD-LTEに対応。中国のスマホは、とにかくある程度のスペック製品で、海外へのFDD-LTEの利用も考えられているのである。
nubiaのスマホを知ってほしい |
さて中国メーカーのスマホに戻ろう。6.4インチFHDディスプレイ搭載のnubia X6は赤い縁取りの丸いホームボタンがデザイン上のアクセントになっている。nubiaというブランドは日本ではほとんど知られていないが、実はあのZTEの別ブランドの製品なのだ。nubiaシリーズは若年層をターゲットにしており、オンライン販売に特化するなどネット世代の嗜好に合わせた売り方をしている。
中国最強の自分撮りスマホを目指す |
nubia X6のカメラはメイン1300万画素、そしてなんとフロントも1300万画素を搭載している。しかもフロントカメラもオートフォーカスなので自分撮りには最適だ。強力な手ぶれ補正機能を搭載しており下手なコンデジよりも使い勝手は良いかもしれない。CPUはクアッドコア2.2GHz、LTEはもちろんTD-LTE/FDD-LTE対応。これはぜひとも日本で出してもらいたいものだ。
中国のビジネスパーソンに人気の高いタブレットの「E人E本」シリーズ。革調のカバーが純正で提供されるなど“大人のツール”をイメージした製品だ。『E人E本 T8』は8インチXGAディスプレイ、クアッドコア1.6GHZのCPUを搭載、TD-LTE/FDD-LTE対応の最新モデル。
E人E本 T8は本体横に専用のスタイラスペンを収納可能。太さも実際のペンとほぼ同じサイズで使いやすく、書き心地は紙の上にペンで手書きをするような感覚だ。このペンを活用できる手書きアプリも数種類プリインストールされているとのこと。
ついこの前まで2Gが主流だった中国も、今年に入ってから街じゅう至る所で『4G』の文字を見かけるようになった。今年後半からは早くも各メーカーの“LTE対応フラッグシップスマホ”販売競争が始まる様相を見せており、海外市場でも十分通用するハイスペック端末が続々と登場するだろう。
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