上海で開催されているMobile Asia Expo 2014のドコモブースでは、6月10日に発表されたばかりの『ポータブルSIM』のデモが行なわれていた。
SIM無しスマホを利用可能にする『ポータブルSIM』
『ポータブルSIM』は内部にSIMカードを搭載する新型デバイス。ポータブルSIMそのものは3GやLTEの通信機能は持っていない。NFCとBluetoothを利用し、スマホやタブレット、ノートPCなどほかの機器とNFCでワンタッチペアリングを行なう。SIMの入っていないスマホやタブレットにこのポータブルSIMを軽く触れさせるだけで、それらの端末の3GやLTEといった通信機能を有効にできるのだ。
小型カードサイズ、端末はアプリで対応
展示されていたポータブルSIMは開発中のもの。サイズは約80(W)×5.6(D)×40(H)ミリと小型でポケットにもカンタンに入る。説明員によると、将来の製品化の際はブレスレットや腕時計型などより小型化された製品として市場に投入したいとのことである。また対応するスマホやタブレットには特殊なハードウェアは必要なく、アプリでの対応が可能になるとのこと。ただし現時点で販売されているスマホなどの対応は未定。
SIMを内蔵、そのSIMをスマホやタブレットで共有
側面には充電用のマイクロUSB端子と、デバック用の端子を備える。開発中のモデルのため、この展示品がそのまま商品化されるかどうかは不明。また内部にはSIMを備えており、そのSIMを複数の端末で共有して利用する。背面がねじ止めされていたため内部を見ることはできなかったが、本端末にはミニ(標準)サイズのSIMが入っているとのこと。これも商品化の際は端末の大きさに応じて、マイクロSIMやナノSIMを入れることになるだろう。またユーザーによる自分でのSIMの交換可否も現時点では未定。商品化の際に市場のフィードバックを反映して、SIM交換の可否は決める予定とのことだ。
スマホにSIMは入っていない
スマホにポータブルSIMをかざす
ポータブルSIMの使い方はカンタンで、スマホのNFCがオンになっている状態で、ポータブルSIMをスマホにかざすだけでペアリングできる。デモでSIMの入っていないスマホ(すなわち単体では通信のできない)を使ってテストしていた。
Bluetoothで両者のぺリングが始まる
スマホにポータブルSIMが接続完了
展示品は開発中の製品ということもあり、ポータブルSIMとスマホの接続には10数秒かかった。これも商品化の際はより短く、ユーザーが接続時間を意識しないくらいにはなるだろう。
スマホにアンテナマークが立った
ほかのスマホから通話できている
ペアリング終了後、数秒待つとスマホにアンテナマークが立った。これでポータブルSIMの回線をこのスマホで利用できるわけである。試しにほかのスマホからポータブルSIMの電話番号に電話をかけると、ポータブルSIMとペアリングされたスマホに着信した。
複数のポータブルSIMの使いわけも可能
切り替えもワンタッチだ
ポータブルSIMとペアリング中のスマホに、ほかのポータブルSIMをかざすとそちらに切り替えるかどうかの表示があらわれる。複数のポータブルSIM、すなわち複数の回線を持っていても、自由に切り替えられるのである。
たとえば、昼間は会社契約のポータブルSIM、退社後は自分契約のポータブルSIM、のような切り替えも可能になるわけだ。
SIMの入ったスマホでも使える
ちなみにスマホにSIMが入っていた場合の動作は、ポータブルSIMが常に優先になるとのこと。つまり普段SIMを入れて使っているスマホがポータブルSIMに対応していれば、ポータブルSIMをかざすことでポータブルSIMの回線が利用でき、入れているSIMの利用は一時的に停止される。ポータブルSIMとの接続を解除すれば、再び内蔵SIMを使うことができるわけである。
回線だけではなくID情報も共有可能
情報はSIMに保存
ポータブルSIMはスマホの通信機能を有効にするだけではなく、IDやパスワードなどの保存もできる。そのため普段よく使うサービスのIDなどを保存しておけば、サービス利用時に毎回手入力する必要がなくなる。
また情報はクラウドではなくSIMに暗号化した上で保存されるため、通信中にハッキングされる恐れも無いとのこと。
PCでも情報を利用可能
PC側に専用アプリを入れれば、NFCリーダーを使ってポータブルSIMに保存されたID情報を利用することも可能だ。このようにポータブルSIMは“SIMの複数端末での共有”だけではなく“IDの保存”も可能であり、個人のID認証端末として利用できるわけである。
標準化や国際展開も検討
ドコモはMobile Asia Expo 2014へこのポータブルSIMを出展することで国内外の企業にメリットをアピール、日本だけではなく国外展開を目指す。また規格の標準化も検討しており、ポータブルSIMを多くのキャリアやデバイスメーカーが利用できるようにすることも視野に入れているとのこと。
●関連サイト
・Mobile Asia Expo公式サイト(英文)
・ドコモ 該当プレスリリース
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