台湾のチップセットメーカー、メディアテックはCOMPUTEX 2014に合わせスマートウォッチやIoT(Internet of Things)向けソリューションの新製品を発表。ウェアラブルデバイス用に設計された世界最小チップセット(SoC)「メディアテック Aster MT2502」と、同SoCを利用するサービスプラットフォーム「LinkIt」の展示を行なった。
スマートウォッチに搭載されたMT2502
メディアテックが発表したソリューションは拡大するウェアラブルデバイスやIoT製品向けのチップセットとプラットフォーム。チップセット『Aster MT2502』はARM7をベースにしたSoCでRAM 4MBとROM 4MBを搭載。試作モデルながらもスマートウォッチ型の端末が展示されていた。
スマートフォンと連携、通知を表示可能
MT2502を搭載したウェアラブルデバイスはAndroidとiOSと連携できる。スマートフォン側アプリの通知をウェアラブルデバイスで表示できるほか、センサーを組み込みそのデータをスマートフォンへ送信できる。両者の接続はBluetoothを利用。またMT2502上では独自OSとなるLinkItプラットフォームが動作し、対応するアプリを自由に開発することもできる。
パッケージサイズは世界最小
MT2502のサイズは5.4x6.2ミリでウェアラブルデバイス向けのSoCとしては世界最小とのこと。他社のウェアラブルデバイス向けのチップはメモリやBluetoothチップなどが別になっており、全体のサイズも約140平方ミリが必要とのこと。これに対しMT2502は約90平方ミリとサイズは約2/3と小型化されている。これによりウェアラブルデバイスの小型化や、今まで組み込めなかったような機器への搭載が可能になるとのこと。
ワンチップでウェアラブルデバイスの基本機能をコントロール
実際にMT2502を搭載するスマートウォッチの基盤と、市販のスマートウォッチの基盤の実物の比較も行われた。サイズが小さいだけではなく部品数も少ないことから消費電力の削減やコストダウンも可能になる。
スマートウォッチへの組み込み例をデモ
MT2502搭載のスマートウォッチのデモ機では音楽コントロールやスマートフォンのカメラコントロール、またスマートフォン側から通知を受け取るアプリがインストールされておりそれらを試すことができた。なおUIのカスタマイズも可能でアイコンデザインなどは各メーカーごとに自由に設計できるとのこと。
低価格スマートウォッチが期待できる
スマートフォンコンパニオンとしての機能は一通り標準搭載している。デモされたスマートウォッチはCPUが約400MHz、メモリも4MBと低スペックながらも動作は軽快であり、低コストで高機能なスマートウォッチの開発も期待できる。Googleの『Android Wear』に対してのアドバンテージもまさにこの部分となる。
スマートフォン側から設定が可能
スマートウォッチの各種設定はスマートフォン側の専用アプリから行なえる。スマートウォッチ側のアプリのインストールもスマートフォンから実行する。
アプリの追加で機能を拡張
ソーシャルサービスへの対応もアプリ開発により可能となる。すでに中国の検索サイト「Baidu」が協賛を表明している。デモ端末ではヤフー天気の表示を実際に行っていた。なおスマートフォンアプリのUIも現在は開発中のもので、製品化の際はより見やすく使いやすいデザインのものになる予定とのこと。
単体での通信機能搭載も可能
スマートフォンの着信を受けたりスマートウォッチからの発信ももちろん可能だ。またMT2502は2GのGSM方式をサポートしており単体で通話できる製品の開発も可能とのこと。3GやLTEのサポートについては、MT2502がスマートフォンと連携する製品搭載を考えていることから現時点では無し。但し市場のニーズが増えれば3G/LTE対応のSoCの開発も行なうとのことだ。
一般の腕時計やおもちゃがスマートウォッチになる
また展示機のスマートウォッチでは簡単にスキンを変えるアプリのデモも行なわれた。低価格そして小型のスマートウォッチを開発できることから、写真表示だけを行うペンダント型のアクセサリや、あるいは子供向けの格安なおもちゃ型腕時計に緊急通報を受ける機能を組み込むことも可能になる。
センサー組み込み込みで可能性は広がる
SDKや開発キットも年内に配布される。MT2502を搭載した製品は速ければ年末前にも登場するだろうとのこと。
IoTの普及拡大を後押し
MT2502とLinkItの組み合わせは今まで対応できなかった製品への組み込みや、新たな応用事例を拡大することが可能になる。低価格スマートフォン向けSoCでシェアを一気に拡大したメディアテックがウェアラブルデバイス・IoT市場に本格参入したことで、関連製品の拡大や低価格化が期待できそうだ。
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