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やるかやらないかで世界を変える!『第9回 サムライベンチャーサミット』開催

2014年04月21日 10時00分更新

 マイクロソフト本社において、4月19日、『第9回サムライベンチャーサミット』が開催された。スタートアップ企業や、起業を志す人々、そしてスタートアップへの投資を行なうベンチャーキャピタリストなどが一堂に会するイベントだ。

第9回サムライベンチャーサミット
↑カンファレンス会場が“座布団敷き”なのは、サムライインキュベート開催イベントの特徴とのこと。基調講演開始時には会場に入りきれないほどの聴衆が詰めかけた。

 基調講演では、主催するサムライインキュベートCEOの榊原健太郎氏が登壇。2010年6月に開催された第1回サミットでわずか50人程度の小さな集まりが、9回目にして約1500人もの参加者を集め、名実共に日本一のスタートアップイベントとなったことをまずは喜んだ。

第9回サムライベンチャーサミット
↑トレードマークの拡声器を片手に講演する榊原氏。サムライベンチャーサミットは、地方や行政、IT起業家、大企業、世界各地の起業などがコラボレーションしてイノベーションを生み出す場を生み出す目的で開催されている。

 現在、日本におけるIT系のベンチャー支援はライブドアショックによる落ち込み以前の水準まで回復しており、資金調達やM&Aもしやすくなっているという。しかし、一方で世界基準からすると、日本の環境は甘すぎるところがあると指摘。また、第9回のテーマでもある“サムライ達よ! 今こそ世界に斬り込め!”というスローガンを取り上げ、ベンチャーは世界に出て、誰もやっていないところに切り込んで行かねばならないと発破をかけ、まず手本として、自らが5月からイスラエルに常駐して活動することを明らかにした。

第9回サムライベンチャーサミット
↑榊原氏が5月から常駐予定のイスラエルは、世界のメガベンチャーのルーツにあたる国であり、ここを抑えるのが世界を抑える最短ルートだと熱く語る。スタートアップは世界をターゲットに事業展開するべきであると何度も繰り返し強調した。

 また、サムライベンチャーサミットは“スタートアップの学園祭”であると宣言。スタートアップが熱狂する場を作り、日本を元気にすることでビジネスも成功させようと締めくくった。

第9回サムライベンチャーサミット
↑“スタートアップの学園祭”というキャッチコピーは、堅苦しさとは無縁な会場の雰囲気をそのまま的確に表わしている。

■マイクロソフトによるベンチャー支援の取り組みも紹介

 会場を提供した日本マイクロソフトからは、Microsoft Ventures Tokyo代表の砂金(いさご)信一郎氏が登壇。全世界に5ヵ所あるMicrosoftアクセラレータにMicrosoft Ventures Tokyoを加えることを目標として活動しており、マイクロソフト自身がシードファンドを提供していると紹介した。

第9回サムライベンチャーサミット
↑砂金氏は、これまでボランティア的にスタートアップ支援を行ってきたが、Microsoft Venturesが立ち上がったことで、晴れて業務としてスタートアップ支援に繰り出せるとのこと。

 米国本社のサティヤCEOも、Microsoftがイノベーティブな企業であり続けるためにスタートアップ企業の支援にコミットしていると語り、マイクロソフトのコーポレートミッションである“ユーザーの持つ可能性を最大限に引き出す”ための活動は変わらないことを明らかにした。

第9回サムライベンチャーサミット
↑新CEOのサティヤ・ナデラ氏もスタートアップ支援に積極的。マイクロソフトを踏み台にして世界に進出してほしいと砂金氏。
第9回サムライベンチャーサミット
↑最後に、再び榊原氏が登壇し、全員でシュプレヒコールを叫んで気勢を上げた。

■さまざまなスタートアップが集う会場ブース

 会場は基調講演やその後のセッションで立ち見客が多数出るほどの盛況ぶり。会場のあちこちで積極的に名刺を交換したり、熱心に話し込む姿が見受けられた。イベント全体で感じられたのは、とにかく参加者の熱量が高く、強い意気込みが感じられたということ。主催の榊原氏は“学園祭”と表現していたが、まさにお祭りのようなイベントだった。

 Samuraiスタートアップ100出展会場では、多数のスタートアップ企業がブースを出展し、自社のサービスをアピールしていた。ジャンルはIT系だけに留まらず、教育、食、人材派遣など、実にさまざまなサービスが展示されていたが、ここでは筆者の目に留まったものを紹介していこう。


●KISS 3D SOUND

 コンプハウス(関連サイト)が開発した3Dサウンドシステム。通常のステレオスピーカーでサラウンドのような立体的な音場を再現する。音源のフォーマットは問わず、一度3D化した音源は別フォーマットに変換しても失われないという。

第9回サムライベンチャーサミット
↑にぎやかな会場内でも、iPadに接続した普通のステレオスピーカーで前方~横側やや後方まで広い音場が感じられた。ストリーミング配信向けコンテンツにも適用可能ということで、映像作品のクオリティアップに向いていそうな技術だ。


●介護Agent System

 SHANNON LAB(関連サイト)が開発中の介護システム。Androidタブレット上にAIを搭載したエージェント“ゆうこちゃん”が表示され、要介護者とは音声でコミュニケートする。ゆうこちゃんのログはケアマネージャや家族がリモートで監視できるしくみだ。

第9回サムライベンチャーサミット
↑音声入力なら障害などでタッチ操作が難しい人にも使える点がメリット。将来的にはアプリ内でメールをやり取りするなどのコミュニケーション機能も付けたいとのこと。


●STARted

 STARted(関連サイト)はバンダースナッチが準備中の、アップロードされたイラストを元にオリジナルの洋服を作成して販売できるサービス。誰でも自分だけのオリジナルアパレルブランドを立ち上げられる。1回のコストは10万円程度を見込んでいるとのこと。現在クローズドβサービス中で、夏頃を目処にサービスが開始される予定。

第9回サムライベンチャーサミット
↑個人的に最もポテンシャルの高さを感じたサービス。漫画家やPixivなどのイラスト系SNSからオリジナルブランドが多数登場する予感。


●Okuyuki

 Okuyuki(関連サイト)はEmotion Brainsが運営するクラウドファンディング。投稿されたイラストの支持者が一定数集まると、イラストが3D化されてフィギュアが購入できるようになるというもの。現在β版がスタートしている。

第9回サムライベンチャーサミット
↑業務クオリティの3Dプリンタを使って作成されるフィギュアはかなりの高品質。10cm程度のオリジナルフィギュアが1体5000円程度と、コスト的にも満足できる。地方自治体のゆるキャラのフィギュア作りなどで注目されているという。


●えがおの本

 えがおの本(関連サイト)はえがおのが運営するデジタル卒業アルバム。イベントごとに撮影した写真が最終的に卒業アルバムになり、タブレットやスマートフォン上で注文や閲覧ができるというもの。プラットフォームだけを提供し、撮影は地元の写真館などが担当してもよい。

第9回サムライベンチャーサミット
↑保育園や小学校の写真係になって、アルバム作りや写真販売の苦労を味わったことがある人なら、飛びつきたくなるようなサービス。


■とにかく参加者の熱量がすごい!

 現在は起業ブームと言われ、多くのスタートアップ企業が現われているが、そのぶん多くの起業家がさまざまな疑問や問題を抱えているのも事実だ。サムライベンチャーサミットは、こうしたスタートアップが集まって情報交換し刺激し合うことで、新たなコラボレーションを生み出す場として立派に機能していると感じられた。現在起業を考えている人や、起業して頑張っている最中の人、新しいビジネスチャンスを探している人は、ぜひ次回のイベントに参加してみるべきだろう。

■関連サイト
第9回サムライベンチャーサミット

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