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『Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth』製作者に独占インタビュー

2014年04月15日 19時30分更新

■“シヴィライゼーション”の完全新作はどんなゲームに?

 2010年に発売された『シヴィライゼーション V』から4年、久しぶりの完全新作はなんと宇宙が舞台! 未知の惑星で刻まれる新たな人類史がどのようなものになるのか今からワクワクが止まらない。

 シリーズを通じて守られてきた“シヴィライゼーション(Civ)”の面白さはやっぱり「あと1ターンだけ!」という気持ちをそそる仕掛けがたっぷりあるところだ。探索・研究・外交といった超マクロな視点で駆動するゲーム性は意外性たっぷりで、戦争と平和の両面を絡めてじっくりと自分の戦略を組み立てられる。そして何が起こるたびに、「あと1ターンだけ!」と、また新しい選択を試す意欲が生まれる。こうやって、無数のファンから睡眠時間を奪ってきたのだ。

 そして今回発表された『Sid Meier's Civilization: Beyond Earth』の舞台は未知なる惑星。宇宙を舞台とするシド・マイヤー作品といえば傑作『Sid Meier's Alpha Centauri』が思い出されるが、今作はもっと包括的に宇宙時代の人類を扱う作品になるようだ。ひとつの惑星を舞台としてきた旧作とは違ったテイストで、新たな発見や刺激に満ちたゲームになることは間違いなさそうだ。

『Sid Meier's Civilization: Beyond Earth』
●2K(開発 Firaxis Games)

Sid Meier's Civilization: Beyond Earth

 お話を伺った両氏は2人組のゲームデザイナーで、今作のゲーム設計を指揮する上級スタッフだ。2008年にFiraxisに入社し、『シヴィライゼーション4 ビヨンド ザ ソード』や『XCOM: Enemy Unknown』など傑作にも携わった。シリーズの生みの親であるシド・マイヤー氏の指導のもと、今作のゲームデザインを行なっている2人は今作をどんなゲームにしようとしているのだろうか。

デビッド・マクドノー氏
Sid Meier's Civilization: Beyond Earth
ウィル・ミラー氏
Sid Meier's Civilization: Beyond Earth

――シド・マイヤー氏は最近、『Ace Patrol』のようなちょっとインディーズっぽいゲームを開発していたようですが、今作でまた大作である“Civ”の開発に戻った、と考えていいのでしょうか? マイヤー氏の近況と今作への取り組みの様子について教えて下さい。

 シドは常にFiraxisプロジェクトの全てに携わってきました。弊社のクリエイティブディレクターとして、プロジェクトの開発を監視し指導しています。シドといっしょにプロジェクトに関わるのは素晴らしいことです。彼のオフィスは常にドアが開いていて誰でも気軽に話し合うことができます。我々も幾度となく彼のオフィスに立ち寄って、今作の機能や特徴を話し合って決めています。

――それではまず、今作の概要を教えて下さい。

『Sid Meier's Civilization: Beyond Earth』は完全な新作です。最新技術や新たなシステム、地球外生命体、マップなど、人類の未来に関する様々な機能や特徴を搭載しています。Civ5の時系列を超え、文明の発展を推進させるため様々な文明を導いて未知の惑星を開拓し、人類の未来を切り開く内容になっています。

Sid Meier's Civilization: Beyond Earth

――宇宙を舞台にしたCivといえば、『Sid Meier's Alpha Centauri』を思い出します。世界観などは共通のものですか?

 我々はみんなAlpha Centauriの大ファンであり、Alpha Centauriのプロジェクトに携わってきたメンバーも何人か今作の開発チームに所属していますが、Alpha Centauriとは全く違うゲーム体験になります。今作はCivシリーズの拡張パックなどではなく完全新作という位置付けですので、全く新しいCivの世界観を体験していただきたいと思います。

――Civシリーズは常に文明のあけぼのから人類史をテーマとしてきました。今作では宇宙史以前の、原始時代からの歴史も含まれるのでしょうか?

 今作は宇宙史以降の話で人類の未来を切り開くため、プレイヤーは地球を離れ、未知の惑星を開拓していくストーリーで構成されています。原始時代からの歴史は含まれておりません。

――従来のCivでは紀元2000年ごろ、宇宙への入植がひとつのゴールでした。今作では何年先の未来までがカバーされるのでしょうか?

 数百年先の未来からスタートします。どのCivシリーズでも言えることですが、今作は無限に繰り返し楽しむことができます。指導者が勝利宣言してもプレイヤーはもう1ターン先までプレイできます。

――伝統的にCivシリーズはターンベースのシステムにこだわってきましたが、今作も「あと1ターン」を求めてしまうようなゲーム性に?

 もちろんです! 今までのシヴィライゼーションシリーズ同様、「あと1ターン」を求めてしまう中毒性のあるゲームプレイを提供します。ただし今作では「あと1ターン」ではなく、「あと1ゲーム」になると思います。様々な機能や特徴がいっぱい詰まっていますので、プレイヤーは全てを試したくなります。新たに採用しているテクノロジーウェブシステムの最も良い組み合わせを色々と試すだけでもとことん楽しめます。

Sid Meier's Civilization: Beyond Earth

――Civといえば、世界の様々な“不思議(WONDERS)”をカバーすることが印象的なゲームですが、今作でも我々が知るような人類の叡智をゲームの中に見つけることができますか?

 今作でもゲームの一部としてWONDERSが収録されており、ゲームに勝利するために重要なWONDERSもいくつか存在します。過去のCivシリーズ同様、発見するWONDERSによって様々な効果を得られます。

――これまでの作品は和戦両面の戦略が意味をもつことによってプレイに深みをもたらしてきましたが、今作も外交で勝利を目指したり、指導者の性格を戦略に含めるといったゲーム性になるのでしょうか?

 外交関係は今作の特徴のひとつです。Civ5の指導者は明確な性格と特徴を備えていました。指導者モンテスマの文化に隣接してゲームを始めると、プレイヤーは彼の軍隊を監視しないといけなくなります。今作ではゲームを始める前、そしてゲーム中でも指導者は変わっていきます。決断した内容によって指導者は人を避けるようになったり、ロボットのようになったり、自分が育てた文化にしがみついたりとゲームの新たなアフィニティーシステムによって指導者の性格が影響され、指導者がどのように行動するのか、新たなゲームを遊ぶたびに全く異なります。プレイヤーは外交上で様々な非常にエキサイティングな決断を下すことになります。

Sid Meier's Civilization: Beyond Earth

――ゲームに登場するのは人類だけでしょうか? それとも未知の地球外知的生命体とも遭遇することになりますか?

 神秘的な資源や敵対する地球外生命体にあふれている未知の惑星を開拓する内容となっていますので、地球外生命体の古代文明遺跡を発掘し、新種の生命体を手なずけることもゲームの特徴のひとつです。

――ゲームのスケールとしては、複数の惑星を含む恒星系を舞台にするのか、それともいくつもの恒星系を含む銀河を舞台にするのでしょうか?

 未知な惑星に着陸してからゲームがスタートします。プレイ中は惑星を離れることはありませんが、新たにゲームを開始するたびに惑星やマップが変わっていきます。

――Civシリーズでは、実際の歴史の発展に基づいた技術ツリーがゲームに説得力をもたらしていました。今作はSF技術をカバーすると思いますが、具体的に、その技術の発展の方法や中身はどのようなものになるのでしょうか?

 今作の最大の特徴のひとつが技術研究です。歴史の流れを表す直線状のテクノロジーツリーではなく、今回は“テクノロジーウェブ”を新たに採用しました。プレイヤーは、スタンダードなゲームプレイではテクノロジーウェブ上のプロジェクトを全て完成させることができないことに気がつくと思います。したがって、進みたい方向を慎重に選ぶ必要があります。プレイヤーが自分たちの未来像を描いていることを強調したかったのでこのデザインを採用しました。我々はプレイヤーが人類の運命を作り出しているかのような感覚を作り出したかったのです。

――ゲームに登場する惑星や恒星、そこに含まれる資源や生命体などは、実際の科学的な知見にもとづく存在になりますか? それとも純粋なファンタジーに?

 両方含まれます。我々は近代科学とサイエンス・フィクションの大ファンです。今作は近代科学とSFに対するパッションを混合できた大変素晴らしいプロジェクトです。今作の物語や歴史、“シヴィロペディア”(シヴィライゼーション辞典)を書き上げるのは非常に楽しかったです。

■ 想像よりもスケールの大きなゲームになりそう?

 両氏が教えてくれたゲームのポイントを総合すると、今作はターン制のシステムや文明同士の衝突といった大きなテーマを旧作から引き継ぎつつも、プレイフィールはかなり異なったものにもなりそうだ。

「もう1ターン」よりも「もう1ゲーム」をそそるゲーム性となれば、1度や2度のプレイでは全体を掌握できないほどの情報量をもつ作品になることは間違いない。それは未知の惑星に存在する“神秘的な資源”や“未知の生命体”の存在、あるいはたくさんの要素技術からなる“テクノロジーウェブ”のシステム、そして指導者そのものが変化していくゲームシステムに秘密がありそうだ。たくさんのSF技術も登場するということで、ゲーム中でアクセスできるユニットや建造物がどんなものになるかも気になるところ。

 さて、今回のインタビューでは質問の意図をうまくはぐらかされてしまったポイントもいくつかあった。プレーヤーが勝利を争う相手は誰なのか? 勝利条件は何で、プレーヤーが今作でとれる具体的な戦略はどのようなものになる? マルチプレイモードの進化点は? などなど、『Sid' Meier's Beyond Earth』の本質に迫る部分は、今後の発表で次第に明らかにされていくはず。続報を期待したい!

公式トレイラー(YouTube)

●関連サイト
2K Games
公式ページ

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