デルはワークステーションに関するプレスツアー“Dell Precision Media Day”をテキサス州オースティンで3月6日~7日(現地時間)に開催した。世界中のIT系プレスが米デルのおひざ元であるテキサス州オースティンのラウンドロックに集まった。仮想化ワークステーションの採用を促進する仮想化データセンターの設立発表、新製品の発表、デザインラボの見学、各担当者へのインタビューが行われた。さらにはアカデミー賞受賞映画作品『ゼロ・グラビティ』を作成した映像制作会社をはじめ、デルのソリューションを活用している各国企業のプレゼンテーションまである、盛りだくさんの内容となった。
今回のプレスツアーで、デルは新型のモバイルワークステーション『Precision M2800』を発表した。エントリーレベルのモバイルワークステーションで、価格は1199ドルから提供する。アドビやAutodeskなどのアプリケーションに対してISV認定の取得を予定。フルHD(1920×1080ドット)の15.6インチの液晶ディスプレーを採用、第4世代インテルCore iシリーズ、AMDの“FirePro W4170M”、最大16GBのメモリーと通常のPCと変わらない性能を備える。
Precision担当役員のAndy Rhodes氏は、「ワークステーションは商品ラインアップが十分でない。工学部の学生などはワークステーションに手が出せない。予算のせいで性能が十分でないもので妥協しないといけない。一方、大企業での事例もある。エンジニアは企業において中核、重要な資産である。エンジニアが普通のラップトップを使っている状況もある。モバイルワークステーションでも妥協しない性能をもつ15インチの製品を適正な価格で提供する」と、エンジニアの置かれる現状を説明した。
Andy Rhodes氏はさらに「M2800で価格の壁を打ち破り、1199ドルで提供する。アプリケーションもプロフェッショナルなグラフィックも妥協する必要はなく、15.6インチでもこれだけ詰め込んで軽いものになった」と説明する。軽々持ち上げているように見えるが、それでも15.6インチで重量は2.56キログラム。実際に持ってみたところ、やはりズシリとする重さだった。モバイルといってもコンシューマーや、どこでも持ち歩いて使えるという日本でのモバイルPCとは概念がやや異なる。このマシンを使うエンジニアやクリエーターが1ヵ所のデスクに縛られて1日中同じ姿勢で仕事をしているのではなく、自由にオフィス間を移動したり、ときには自宅など場所を選ばずに仕事ができるというものだ。
また、PrecisionシリーズについてグローバルのデザインディレクターのJoe Jasinski氏(右)と、インダストリアルデザインのディレクターをつとめるPaul Doczy氏(左)のインタビューも行われた。モバイル製品は1年から1年半というサイクルで製品を変えている。デスクトップはハードウェアの点からリサーチも含めて18ヵ月から2年間というサイクルだ。M2800は筐体にマグネシウム合金を採用、耐久性があり堅牢性が高い。価格を重要視しながらも、ハイエンドの属性も合わせて備えているという。仮想化の進行については、「製品をより薄く軽くでき、仮想化が当たり前になれば、より多くのビジネスチャンスがある」と話した。
個人的に気になっていた「ここ最近のデルの製品デザインについて、XPSのコンシューマー製品とPrecisionの製品デザインが近くなっているのはなぜか?」という質問をぶつけてみた。すでに国内でも販売している上位機種のモバイルワークステーション『Precision M3800』の外観は、XPSのUltraBookシリーズに似ているデザインを採用している。
「XPSはプロダクトの頂点にあるハイエンドのブランド。新しい資材、プロセッサーはそこでまず使う。資材を量産しても届けられる自信ができたボリュームになってくると、Precisionにも同様の資材を使っていく。ハイエンドはハイエンドの資材、ローエンドのものはコストパフォーマンスのいい最適な製品を使う」と、資材の量産体制ができたことを理由に、頂点のXPSからハイエンドの『M3800』へ降りてきたプロセスがあり、低価格の『M2800』はまた別のプロセスがあると説明してくれた。
またプレスツアーでは米デルの本社にある“ラボ”を見学できた。残念ながら撮影は禁止、詳細についても語ることはできないが、複数のディスプレーを使った研究など、将来的な“アドバンスドコンセプトデザイン”のラボや、カーボンやマグネシウム合金などXPSが採用する新しい資材について研究するデザインラボ、そしてベンチマークやストレステストを行なうラボが置かれていた。
■関連サイト
デル Precision M2800の製品ページ
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