NTT東日本、ドコモ、陸上自衛隊東部方面隊は朝霞駐屯地において、震度7の首都直下地震を想定した共同総合防災訓練を実施しました。
訓練で設定された被害想定は東京を中心とする関東全域に震度7の首都直下地震が発生。東京だけでなく都心から100キロメートル圏内の神奈川、埼玉、千葉にも甚大な被害を負い、各被災地への道路は建物倒壊や崩壊に遮断され、陸路による災害対策機器の運搬ができない状況です。
■ステージ1 初動
地震発生後、まず第1段階は災害対策を設置し、互いの連絡をとりあうところから始まります。被害の集中した都道府県や市町村名などを地図情報で伝達。ドコモの場合、自衛隊撮影の映像やネットワークオペレーションセンターに集まる情報により通信エリア復旧活動の検討をします。
また、自衛隊は対策本部設置が想定される東京都庁との指揮連絡をテレビ電話で実施。このシステムは実際に2013年10月に台風による被害を受けた伊豆大島での救助活動にも利用されており、従来の音声のみのシステムより情報伝達が格段にスムーズになったそうです。なお、自衛隊独自の回線とは別にNTTのものを利用しているとのこと。
■ステージ2 自衛隊の人命救助活動
本部が設置された直後、神奈川県への設置が想定された自衛隊活動拠点への通信手段を構築していきます。運搬される機材はNTTグループの各種通信機材で、この時点で搬送されるものは自衛隊が本部と連絡するためのものや人命救助時に利用するもの。なかには衛星ケータイの『ワイドスターII』、『IsatPhone PRO』も含まれていました。
今回利用された衛星電話
■ステージ3 避難所への通信確保
続いて、東京都、千葉県、埼玉県に設置された避難所に機材を運び。通信手段を確保してきます。訓練では、さきほどより大きなヘリが登場し、車両などに搭載できる可搬型WiFi装置も含まれています。これらにより被災地での通話やネット環境は応急処置として用意されたことになります。
可搬型衛星通信装置と電話機
■ステージ4 通信におけるライフラインの復旧
訓練の最後は、東京都の孤立エリアの携帯基地局の救済、回線の仮復旧の作業です。ドコモでは5GHz帯を利用したマイクロ無線システム(最大185回線を収容)と非常用マイクロエントランスを利用し、NTTは可搬型デジタル無線装置を設置し、各家庭への回線や携帯電話基地局の応急復旧を施します。
5GHz帯無線アクセスシステム
可搬型デジタル無線装置
また、ある程度人や車の入れる地域には衛星移動基地局車や移動電源車が出動し、直接通信網の復旧を施します。なお、今回登場した移動電源車は自走できる範囲で最も大きなエンジンを積んでおり、最大2000kVAの電力を供給できます。ドコモではこの電源車を10台所有しており、ほかにも小回りのきく小さめの電源車も所有しているそうです。
最大2000kVAの移動電源車
このように自衛隊の救助活動、NTTグループの通信復旧活動の両方を3社が合同で行なうことにより、より迅速な救助・復旧活動を可能にしたいとしています。
訓練終了後、NTTグループの担当者に感想を聞いてみたところ、「今回の訓練は事前の想定通りの結果ももちろん出たが、まだまだ未熟な面も浮き彫りになった」と語り、とくに“人員の分配”、“機材の運用方法”、“現地スタッフのコミュニケーション不足”が今後の課題であるそうです。
まもなく東日本大震災の発生した2011年3月11日から3年が経過します。緊急時、自分たちの命や生活を守るためにこのような大規模な対策が行なわれており、安心できました。この機会に、個人単位での対策もしっかりしておき、未曾有の災害に備えておきたいと思います。
●関連サイト
ドコモ 災害対策への取り組みページ
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