バルセロナで開催されるMWC2014では、開幕前日の23日から市内各所でプレスイベントが開かれている。そのなか“第3のOS”として注目をあつめるTizenとFirefox OSもプレスイベントを行なったが、なんと同時刻に同じホテルの2フロアしか違わないイベントルームにて、それぞれ開催された。
●Tizen
Tizenは各国のプレスを集めてのレセプションパーティーを行なった。会場ではTizen Association Chairmanを務めるドコモの杉村領一氏が登壇。杉村氏はTizenの現状について「昨年は2回も“Tizenは終わった”ニュースが流れ、Tizenの進捗状況について数多くの質問が来た」と語り、その都度ニュースを否定することに苦労したとのこと。
↑ドコモ マーケティング部担当部長の杉村領一氏。Tizen端末を見送ったドコモの担当が現状をアナウンスするという複雑な状況だ。
杉村氏は、Tizen協会に参加する新たなパートナーも増え、最新の参加企業15社を加えると、51社となりさらに成長を続けていると解説。最新の主な参加企業は以下のとおり、ハードウェアからキャリアはもちろん、ソフトウェアやインターネットサービス企業など様々。
↑最新の参加企業15社。日本からはソフトバンクモバイルも参加が発表された。さらに今後の展開として、Tizenはマルチデバイス対応推し進めていく計画。すでに発表されているスマホやタブレット、車載用のプロファイルに加え、テレビとウェアラブルのプロファイルをリリース。その一例として直前にサムスンから発表された、Tizen登載の『Gear2』、『Gear2 Neo』が紹介された。
↑新たに2つのプロファイルを追加。『Gear2』、『Gear2 Neo』は“for wearable”のプロファイルを用いている。
↑実機の展示はなかったが、サムスンの『Gear2』、『Gear2 Neo』を紹介。杉村氏もこの発表は突然で非常に驚いたと語っていた。
プレスレセプションではこのほか、賞金総額400万ドルとして実施していたTizen用アプリの開発コンテスト『Tizen App Challenge』の結果も発表された。OSの普及にはアプリの充実が必要不可欠なため、こういった分野にもTizenは力を入れているというアピールとなった。
↑Tizen App Challengeは3つのゲーム部門と6つの非ゲーム部門、さらにHTML5部門と合計10のカテゴリーで競われた。
↑ソーシャルネットワーキング部門でグランプリを獲得した『Fast Chat』を獲得したMaciej Rozanski氏(左)。
↑Tizenを登載した開発機の『RD-PQ』で動作する『Fast Chat』。実際に操作してみたが、軽快に動作していた。
残念ながらTizen登載スマートフォンのリリースなどは発表はなし。現状は対応パートナーの拡充や対応アプリの充実、さらに対応プロファイルの追加により、IoT(Internet of Things)による各種デバイスとのエコシステムを構築していくなど、Tizen登載スマホがリリースされたときに、安全かつ確実にランディングするため下準備を着々と進めているという印象だ。
↑昨年秋にサムスンからリリースされたTizen採用ミラーレスカメラの『NX300M』。現地広報が撮影用機材として使用。
●Firefox
Mozillaが開発をすすめるFirefoxのイベントでは複数の新製品紹介や日本の楽天やリクルートをはじめとしたFirefox用新アプリの紹介が行なわれた。
今回紹介された製品はZTE2製品『Open II』、『Open C』。アルカテルワンタッチ『FIRE C』、『FIRE E』、『FIRE S』、『FIRE 7』。FIRE 7に関しては現地に実機はなかったがFirefox OS初めてのタブレット製品ということで注目が集まった。
協賛企業およびアプリ提供を行なっている企業例。日本では今まで通りKDDIが積極的な協力を行なっている。また、説明不要なコミュニケーションアプリ『LINE』もFirefox向けに提供を開始する。
Firefoxのアプリの特徴はなんといってもHTML5でコーディングされている点(Tizenの一部アプリも同様)。アプリベンダー担当者いわく、iOSやAndroidよりカスタマイズ性に優れ、さらにそれぞれのOSのネイティブ言語をいちから勉強し直さなくてもいいため、多人数での開発ができると語っていた。
今後も“手頃な端末”、“アプリの拡充”の2本柱で展開される。そのため、プレゼンテーションの最後には超低価格な約2500円(25ドル)スマホの予告を行ない、さらにブース内ではデュアルSIM&NFC搭載の新リファレンス機『フレーム』が体験できた。
KDDIはFirefox OS搭載端末の国内発表を2014年度内としており、担当者いわく開発は現在も進行中であると語り、日本で発売するにはセキュリティーやローカライズに少し手間がかかり、これはAndroid初号機のような大変さだと語った。
日本での本格展開までに特徴的な端末と快適なアプリ環境を用意できるか、今後の動きにも注目だ。
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