2014年9月から開幕する、EV(電気自動車)によるフォーミュラカーレース『FIA フォーミュラE選手権』(FIA Formula E Championship)。その一般初披露となるイベントが、CES2014で開催されると聞けば、これは参加してみるしかない。
プレスカンファレンスが集中的に行われる1/6、日が傾きはじめた15時台にプレスデイ会場である巨大ホテル・マンダレイベイの駐車場に向かった。ここの特設テントの中で、世界で初めての一般公開が行われる。
ブースに着くと、テントの中に幕を被った車体がある。全高が異常に低いことから、これがハコ車ではなくフォーミュラカーだということがわかる。
銀幕を被ったマシン。ノーズ付近がこのシルエットになるのはフォーミュラマシンしかない。 |
CES2014的に重要度が高いカンファレンスと被っていたため日本の関係者の姿は少なかったが、これだけの人が参加。なかなかの盛り上がりだった。 |
フォーミュラEの詳細については僕も今まで良く知らなかったが、150マイル/h(時速240キロ)以上の最高速度を出す能力を、ゼロ・エミッションで実現している。
FIA認定の新しいチャンピオンシップとして全世界10都市で開催され、世界各地の大都市やリゾート地などの市街地でレースが行われるという。完全な電気自動車レースとしては世界初のチャンピオンシップということになる。
北米では2015年春、マイアミとロサンゼルスで開催される予定だ。フォーミュラとはいえ市街地レースが可能になった背景には、EVの特性上、非常に騒音が少ないという環境要因は大きかったはずだ。
フォーミュラEに参加を表明しているチームは10チーム。そのなかには、日本のスーパーアグリも含まれている(ただし、開催国に日本は含まれていない)。
テントの入り口付近に立ち、呼びかけに答えるルーカス・ディ・グラッシ選手。それにしてもF1パイロットって、いわゆるスポーツマンというだけでなく独特の体型をしてますね。 |
左はFomula E Holdingsのアレハンドロ・アガCEO、右がQualcommのDr.ポール・E・ジェイコブスCEO。会見スピーチのあと、がっちりと握手。 |
会見ではフォーミュラEのプロモーターであるFomula E Holdingsのアレハンドロ・アガCEO、テクノロジーパートナーであるQualcommのDr.ポール・E・ジェイコブスCEOが登壇。今日の日を迎えられた祝辞を述べたあと、除幕され車体が姿を現した。
いよいよアンベイル!係員が除幕をはじめる。車体のノーズが見えてきて…… |
フォーミュラカーなので非常にコンパクトで、独特の攻撃的な外観だ。細かな部分は抜きにして、F1と大きく異なるのは、タイヤが全天候型の溝付きタイヤになっていること、そしてタイヤ幅が一般乗用車に近い、比較的狭いものになっていることだ。
車体各部のサプライヤーは以下のとおりで、さすがに蒼々たる面々が揃う。
シャーシ | ダラーラ |
パワートレイン | マクラーレン |
ギアボックス | ヒューランド |
バッテリー | ウィリアムズ |
システム統括 | ルノー |
タイヤ | ミシュラン |
マシンの全容が明らかに。除幕が終わった瞬間、カメラをもった人が周辺に殺到して一瞬危ない雰囲気になったほど。この車体のEVでメチャクチャ速かったらさぞかしカッコイイことでしょう。 |
EVということでバッテリーの交換・充電をどうするのかが問題になるが、当初はドライバー1名あたり2台のマシンを使って、ピットイン時に乗り換えるという仕組みをとる。2年目以降は停車中のワイヤレス充電や、将来的には走行中の充電も目指しているということで、まずは走らせてレースを成立させることから始める形だ。
会見終了後、開発ドライバーのルーカス・ディ・グラッシ選手による走行披露が行われた。
駐車場内の特設スペースを周回する形での走行で、アクセルを踏み込める時間もごく短いため速度は低めだった。
走行音は独特で、ギア鳴りとタイヤのスキール音のみしかしない。いわゆるモーター音は、ラジコンカーの走行音をそのまま大きくしたような、不思議な印象だった。
最高速はそれなりに出せるポテンシャルがあるので、実際のレースでは白熱したバトルが目にできるのだろうか。
開幕戦は2014年9月、北京から開始される。
●関連リンク
Formula E公式サイト
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