アンドロイドタブレットなどで採用している、NVIDIAのSoC『Tegra』の次期モデルが発表。現在は、4コア+1コアの『Tegra4』搭載タブレットなどがすでに発売されているが、今回発表された『Tegra K1』はデスクトップ用と同じKeplerアーキテクチャーで、グラフィック処理を行なうCUDA Core(SP、ストリーミングプロセッサー)を192基搭載するという。NVIDIAが、“デスクトップコンピューティングをモバイルにもたらす”と語るように、モバイルとデスクトップの性能差を埋めるチップになるようだ。
また、Tegra K1上で動くゲームエンジン『Unreal Engine 4』のデモを多数行なった。これにより、PCや次世代コンソール機のPS4やXbox Oneだけでなく、モバイル機でもジオメトリシェーダーやグローバルイルミネーション、HDRなど、DirectX11.1の技術が利用できるようになるため、グラフィックのレベルは専用機と遜色がないリッチなゲームがタブレットなどでも遊べるようになる。
現行世代のPS3やXbox 360などのコンソール機と比べても圧倒的に消費電力が少ないのが特徴だ。アップルのA7と比べても2.5~3倍の性能としている。
Tegra K1にはもうひとつ、“Denver CPU”を2基搭載する64ビット対応のバージョンも用意している。
このTegra K1を車載コンピューティングに利用する取り組みも紹介。
NVIDIAがゲーミングの核としているゲームストリーミングについて、会場のラスベガスから『SHIELD』を用いて、6000マイル離れたフランスにあるサーバー『NVIDIA GRID』に接続するデモを行なった。説明によると遅延は30ミリ秒しかないという。
そのほか、G-Sync(関連記事)についても追加情報が。Acerなど新たに搭載するディスプレーメーカーが追加されていた。
●現地取材チームからの速報写真
カンファレンス終了後、カンファレンスルーム脇の暗幕が開けられると、動作する開発デモ機を使った展示が用意されていた。ジェンスン・ファンNVIDIA CEOが発表の中で披露したTegra K1のパワーを有効に使うさまざまな試みを報道陣に“実際に目の前で動作しているところを体験してもらう”という趣旨だ。
Tegra K1系以外には、今回発表された各社のG-SYNC対応液晶ディスプレイの実機が展示。ゲームやG-SYNCの効果がわかりやすいデモ映像を使って、報道陣にデモンストレーションを行っていた。
Tegra K1のリファレンス機を使った4K LCDと4K TVのデュアル出力をする表示デモ。
また、TegraNote7ベースと思われるリファレンス機を複数展示。カンファレンスでみせた、3Dグラフィックスとは思えないほど生々しい人間の顔の表情がリアルタイム演算で変化していく様子や、Tegra K1で動くゲームなどが実際にその場で動作していた。
これがタブレット型のリファレンス機。複数用意されていて、端末ごとに別のシチュエーションのアプリケーションのデモが見られるようになっている。たしかに、7インチ機としては驚きのグラフィック性能だ。
こちらは、Tegra K1 VCMの発表のなかで披露した“Tegraによって守られるクルマ社会”のデモの実働展示。追い越して行くクルマの位置や自分の走行レーン、通り過ぎた看板などをTegra K1がリアルタイム演算で認識していることがマーキングなどによってわかるようになっている。
複数展示されていたG-SYNC対応液晶のひとつ、ViewSonicの『VX2457GML』。G-SYNCのオン・オフ時でのティアリングなどの発生や滑らかさがどのように変わるのかをデモしていた。描画の乱れを嫌うPCゲーマーには必須の規格になるだろう。
例年どおり、ステージに自ら登壇し、熱弁をふるうジェンスン・ファンCEO。Nvidiaが、PCのグラフィックスよりもタブレットやクルマの組み込みモジュール分野に活路を見出していることを強く感じるスピーチだった。
●関連サイト
NVIDIA Blog
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