デモツアー『DOCOMO R&D Open House 2013』開催にあたって、最初に研究開発センター所長の尾上誠蔵氏が登壇。ドコモが今後積極的に開発に取り組んでいく分野は“クラウド”、“ビッグデータ”、“5G”、“ネットワーク仮想化”、“ウェアラブル”、“LTE、LTE-Advanced”として、「やっとというか、ついに5Gという言葉が使えるようになった」とコメント。
続いて無線NW装置担当部長の川原敏朗氏と無線応用担当部長の石川義裕氏が登壇し、既存の2GHz帯に加えて1.7GHz、1.5GHz帯に対応、W-CDMAとLTE、LTE-A(キャリアアグリゲーション)の3方式に対応する室内基地局装置およびアンテナに関して説明を行なった。
最も注目を集めたのが、研究開発推進部長の栄藤稔氏がプレゼンした『近距離通信を活用した新たなコミュニケーション手段開発への取り組み』(関連記事)。Bluetoothによるアドホック通信を活用する友人との待ち合わせアプリや情報伝搬アプリの活用例を提案した。
石川氏は、ツイッターが非常時のコミュニケーションに利用された事案に触れ、非常災害発生時にはアプリがスマホを経由して、避難場所などの情報をアドホック通信で複数のスマホを経由して広範囲に配信する。現在はバケツリレー方式だが、将来的にはDTN(遅延耐性ネットワーク)にも対応したいとのこと。
このアプリはNTTコムウェアのSDKツールを利用して開発され、Q&Aセッションでは情報伝達アプリは他キャリア間でも使えるようにする予定。アプリは2014年春ごろの提供開始が予定されている。
続いて実施されたのは、LTE-Advancedを利用した屋外での通信実験デモ。同時に最大4ストリームを伝送できる“Smart Vertical MIMO”アンテナ4本相当を用いて、静止中および移動中の端末での同時通信速度計測が行なわれた。
ビルの陰ではそれぞれの端末に2ストリームづつ伝送しているストリームどうしが干渉して速度が低下するが、おおむね1Gbps以上の通信速度を実現していた。
また、時速300キロを超えるスーパーフォーミュラでも高速移動通信実験が行なわれており、R&Dセンターにはレースカーおよび搭載されているLTEスマホを見学できた。
“Virtual SyncAR”は、テレビ映像にタブレットをかざすとARでタブレットにキャラクターを表示する技術。ARの起動にはテレビ画面に見えないよう全面に配置される電子署名を利用している。
“空間インターフェース”体験コーナーでは、ウェアラブルデバイスを用いてディスプレーに表示されたキャラクターを直接つかんだり、なでたりできた。
“認識型シースルーHMD”体験コーナーでは、CEATECでの展示から進化した半透過型のHMDを用いて、現在視認している英文などの翻訳を視界に投影する技術をデモ。
研究開発センター所長の尾上氏がドコモが取り組む分野と強調していた“5G”のデモも行なわれており、4K動画をスマホに配信した場合の、3G通信と5Gの通信速度比較予想をグラフィカルに解説していた。
このほか、12台のカメラを利用して、遠隔地の様子を複数の視聴者が同時に視聴できる“リモート・ウォーカー”など、研究中の最新技術を多数展示。早くは来年から、スマホが実現できることが飛躍的に増大することを予感させるデモツアーだった。
●関連サイト
・NTTドコモR&D(研究開発)
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります