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あのグルーポンがおせちをプレゼント

2013年11月21日 22時30分更新

 今年も年賀状だの大掃除だの新年に向けた慌ただしい季節になってきた。そういえば、新年を祝うおせち料理のことも忘れていた。おせち料理と言えば、3年前、主にネットユーザーの間で大騒ぎとなったあの事件を忘れてはいない。ネットクーポンサービス会社・グルーポンの“おせち問題”だ。

 グルーポンと言えば、2010年8月に前身の会社・Q:Podが米国グルーポン社の出資を受け、グルーポン・ジャパンとして設立され、日本に初上陸したサービス会社だ。以降、サービスを全国に拡大し、順調にユーザー数やパートナー企業を獲得していた。

■2010年12月31日、おせち問題発生

 しかし、そんな矢先、グルーポン経由で販売された神奈川県の飲食事業者の宅配おせちが「期日までに届かない」「届いたが、見本と大きく違う」という情報が、12月31日以降、ネット上を中心に続々と拡散され、グルーポン側へも苦情が相次いだ。

 その結果、グルーポン側は元旦早々、購入者への謝罪と全額返金、5000円相当のギフト券を配ることを発表。1月5日には当時のCEO自ら会見を開き、17日には米国法人のCEOまでもが謝罪コメントを正式に発表するなど、対応に追われた。そして、実際におせちを販売した会社は2月22日に景品表示法違反で措置命令を受けたというのが騒動の一連の流れだ。
今まさに、ホテルや飲食店の原材料の誤表示や産地偽装、さらには楽天の二重価格問題が世間を賑わしているが、グルーポンのおせち問題は、消費者を欺く商法が大騒動となった元祖と言ってもいい。
 

グルーポン

「夢のおせちプレゼントキャンペーン」

 あれから3年近くの月日が流れ、11月21日、グルーポンが記者発表を開いた。案内状には「2011年の“おせち問題”以降取り組んできた事業・組織改革についての説明」と書かれている。果たして、この年末はグルーポンでおせちを買ってもいいのだろうか。

 結論から言うと、答えは「NO」だ。というのも、グルーポンはあの騒動以降、おせちの取扱いを停止している。だが、万全の態勢を取った上で、2015年のお正月に向けておせちの取扱いを再開することを発表した。

 そしてその代わり、来年のお正月に向けた企画として「夢のおせちプレゼントキャンペーン」を実施すると発表した。内容は、和食、中華、フレンチ、スペイン料理、スイーツの一流のシェフたちがそれぞれ1段ずつを担当した豪華5段重のおせち。12月16日午前11:59までの期間、特設ページで応募を受け付け、当選した計5名に大晦日にグルーポンの社員が直接届けるという。

グルーポン
↑グルーポン・ジャパン株式会社代表取締役CEOの根本啓氏(右)とスペイン料理『レ・ストゥディ』オーナーシェフのジョセップ・バラオナ氏。

■基準や組織体制を大幅に改善

 しかし、偽装問題などで世間が騒がしい中、あえて寝た子を起こすような企画を発表したグルーポンだが、同社代表取締役CEOの根本啓氏は「一度失った消費者の信頼はそう簡単に回復するとは思っていない。こうしたキャンペーンは弊社への不信感や不安を直接的に払拭できるものとは考えていないが、弊社にとって“おせち問題”というのは決して忘れてはいけないもの。それに真摯に向き合い、新たなスタートラインに立って事業を続けていきたいという弊社の意気込みと、世間の信頼を失いながらも支えてくださったお客様への感謝の気持ちを込めてプレゼントキャンペーンを企画した」と語った。

 ちなみにプレゼントされる“夢のおせち”のメニューには、「白髪伊勢海老」、「カナダ産オマール海老のムーステリーヌ」、「伊勢エビのチリソース」など、いずれも涎が滴る豪華な食材ばかり。少々飛び火のようではあるものの、グルーポンでは「食材の偽装や誤表示がないようにしっかり確認している。弊社では、店舗に対しても香辛料に至るまで情報を表示するよう指導している」とのことだ。(もっとも、プレゼントで当たった商品であれば、少々誇大表現があっても個人的には許容できる)

 グルーポンでは、おせち問題以降、営業、審査、校正、パートナー企業への確認、ユーザーサポートなどの各項目で基準や組織体制の大幅な改善を行っていることも同時に明かした。例えば以前は問い合わせはメールのみで対応だったのが、現在では電話での問い合わせにも対応。さらに問い合わせメールへの24時間以内の返信率は93.9%と、販売事業者とのトラブルがたとえ回避できなかった場合にも即座にグルーポン側が対応してくれるのは、消費者としては大いに評価ができるものだ。

 現在、日本国内ではグルメ、美容、温泉、物販といったクーポンの提供が主流だが、今後は、「人気サッカー選手とのネットゲームでの対戦権」や「ビッグアーティストの特別コンサート鑑賞券」といった、海外のグルーポンで人気となっている、お金では買えない価値あるサービスの提供も行っていきたいということだ。

 というわけで、今年はグルーポンでおせちは買えないけれど、来年は買ってみたいと思っている。

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●関連サイト
グルーポン(GROUPON)
「夢のおせち」プレゼントキャンペーン

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