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LGとKDDI共同開発スマホ『isai』一問一答「isaiはゼロからコラボできた端末」

2013年11月08日 20時15分更新

 通常LGエレクトロニクスのようなグローバル企業のスマートフォンがキャリアから販売される場合、複数作ったスマートフォンのなかから、キャリアの販売戦略に合った端末が選ばれ、ローカライズされたうえで販売される。

 しかしまもなく発売が予定されている『isai LGL22』は、LGエレクトロニクスとKDDIがゼロから共同で開発し、完全に日本市場に合致し、日本のユーザーの高い要求に応えたモデルとして、リリースされようとしている。

 LGエレクトロニクスとKDDIが今回どのようにisaiを作り上げたのか、そしてその過程で両者にとってどのような発見や驚きがあったのか、11月5日に開催された『isaiプレスカンファレンス2013』における座談会での一問一答をお届けする。

まもなくisai発売!
LGとKDDI共同開発スマホ『isai』プレスツアー一問一答

−−今回両社が協業して、isaiが誕生したわけだが、どのようなメリットがあったか? またその感想は?

パク・ホンギュ責任研究員(LGエレクトロニクス MCデザイン研究所PRMデザインチーム) LGはグローバルな会社なので、基本的にグローバル受けするデザインの端末を作ってきました。今回、日本の一事業者向けにオリジナルでここまで突っ込んだデザインをしたのは初めてで、それはチャレンジングなことでしたが、そのことによってLGだけではわからなかった日本のユーザー様が求めるものがなんなのか、デザインという側面からわかった気がします。

「LGはきわめて真面目な、クレバーなメーカー」
LGとKDDI共同開発スマホ『isai』プレスツアー一問一答
小牟田啓博氏(Kom&Co.Design代表)

小牟田啓博氏(Kom&Co.Design代表) KDDIではいつでも日本のユーザーさんに受ける最先端のもの、もっとも旬なものを提供したいという思いでやっています。今回のようにデザインからがっつりメーカーと組んで作るというのは初めての経験だったので、LGさんという作り手のキャラクターをすごく理解できた気がします。どのようなキャラクターかというと、きわめて真面目な、ものすごくスマートで、クレバーなメーカーですね。

−−先ほどパクさんが日本のニーズがわかったとおっしゃったが、そのニーズとは具体的になにか?

パク・ホンギュ責任研究員 デザイナー目線で話をしますと、日本のユーザーさんはすごく個性を大事にします。人と同じものではなく、少し違うものを、自分なりのオリジナルのものを望む傾向があります。ただし異質なもの、すごく違ったものに関してはとっつきにくく感じて、製品が受け入れられにくい。個性を求めるけど。まったく違うものは好まれないという相反するニーズがあります。フォルムやカラーにこだわりをあるデザインが日本市場で求められているのではないかと感じました。

−−isaiはなぜ“水”をテーマにしたのか?

小牟田啓博氏 水が嫌いだという人は世のなかにいません。水がなければ生きて行けません。それだけ不変的なものであり、必要不可欠なものであるというメッセージを込め、水にフォーカスしました。ただし、水と言っても1万人いたら1万通りの受け取り方がありますから、水の持つ心地よさにフォーカスしました。
 それからカラーラインナップの4色ですが、普通にデザインすると、寒色系のカラーバリエーションを入れたら暖色系も補おうという話が必ず出てきますが、コンセプトを大事にしたいので今回はきわめてニュートラルな、男性向けだけでもない、女性向けだけでもない、あらゆる人に向けたモチーフが水であると定義したんです。あとはマーケティング上、ブルーの人気がめちゃくちゃキテいて、高く評価をいただいています。今回isaiはKDDIの秋冬モデルのフラッグシップとしてリリースされ、店頭で長く販売されることになりますが、そのなかでブルーはトレンドでい続けるでしょう。

−−今回isaiを作るうえでの具体的な苦労は?

小牟田啓博氏 やはり防水が難しかったですね。防水の必然性をLGさんに理解してもらうのに結構時間を費やしました。防水を入れることによる外観的なダメージが一目瞭然で、LGさんが真っ先に指摘し、防水は本当に商品力があるのかと最初の段階で議論しました。ここで、日本市場での防水機能の重要性をご説明申し上げ、防水端末としての商品開発をスタートしながら、デザインのテーマとして少しずつ0.5ミリずつ地道に厚みを削っていくという積み重ねをしていきました。

「一地域向けのisaiでは果敢なチャレンジができた」
LGとKDDI共同開発スマホ『isai』プレスツアー一問一答
パク・ホンギュ責任研究員(LGエレクトロニクス MCデザイン研究所PRMデザインチーム)

−−LGはグローバル向け商品開発を得意とするとのお話だったが、もしisaiを海外向けに作るとしたら、ここまでやらなかっただろうという部分は?

パク・ホンギュ責任研究員 まず今回のisaiに関してはメタルフレームですね。これはLG端末としては初めての試みです。赤外線とフラッシュを背面に一体化したのも今回が初めてです。グローバルとの違いは物量が違うことがあげられます。グローバルで販売するモデルは物量が多すぎるので、そこでなにか新しいことをトライするのは、会社としてはリスクがありなかなか踏み切れません。つまり一地域向けのモデルであるisaiは、グローバル向けほど物量が出ないので、果敢に新しいチャレンジをできるわけです。

−−リスクとはどのようなものか、差し支えなければ具体的に教えてほしい。

パク・ホンギュ責任研究員 たとえば、ある素材を使って、ある加工をすると(理想とする水準の)歩留まりが出ないということがありえます。歩留まりが出ないということは、グローバルの大きな市場には大量に供給することはできないという可能性があります。誤解しないでいただきたいのですが、これはもちろんisaiになにか問題があるという話ではありません。isaiで盛り込まれている新たな試みを日本市場が要求するクオリティーで作ると、グローバルに供給できるだけの物量を作ることは難しいという意味です。

−−今回isaiはどういった世代のユーザーに向けて開発したのか?

キム・ナムギ主任(LGエレクトロニクス MC研究所PRMデザインチーム) 最近のスマートフォンユーザーというのは、ちょっとした時間に端末を使っています。たとえば電車の待ち時間や友だちとの待ち時間や、エレベーターの待ち時間など、そういったとき常にスマートフォンを見ています。

「ちょっとした時間に意味がある経験を提供できるかを目的にUIを開発」
LGとKDDI共同開発スマホ『isai』プレスツアー一問一答
キム・ナムギ主任(LGエレクトロニクス MC研究所PRMデザインチーム)

キム・ナムギ主任 そのユーザーのちょっとした時間に、意味がある経験を提供できるか? ……ということを目的にニュース、トレンド、SNS、動画をザッピングできるUI“isai Screen For Your Mobile Zapping UX”を開発しました。特定の世代をターゲットにしたのではなく、そのような使い方をするスマートフォンユーザー全体をターゲットにしたわけです。

−−今回なぜUIも共同開発になったのか?

山口昌志氏(KDDI株式会社商品統括部プロダクト企画本部プロダクト企画1部UXグループ) 国内で他キャリアも含めて端末が並んでいるときに、なにかしらKDDIの特徴というところをきちんと出して、差別化したモデルを販売したいという思いがあり、今回UIをLGさんと共同開発することになりました。
 これまでのように我々が仕様を書いて(端末を作ってもらう)という流れでなくなったのは、基本的にいまはメーカー様のほうでグローバル向けに作っていくことが多いので、そこへ新規で盛り込む形で我々がお仕着せがましくやってしまうと、(モノづくりとしての)モチベーションに良い影響はないだろうというのも理由です。お客さんに喜んでもらう端末を作るベストな方法は、メーカー様と一緒になってUIを検討して、オリジナリティーを出すためというアプローチだと考えたわけです。

「それぞれの押し付けではない本当のコラボができた」
LGとKDDI共同開発スマホ『isai』プレスツアー一問一答
山口昌志氏(KDDI株式会社商品統括部プロダクト企画本部プロダクト企画1部UXグループ)

−−そこまでLGにコミットしてもらうためにKDDIはLGをどう口説いだのか?

山口昌志氏 オリジナル要素としてデザイン、ブランド、UIを検討する際に、ただUIと言っても非常に範疇が広いわけです。ホームスクリーン以外のアプリも、機能も含めてUIと考えられます。オリジナルUIを一緒に作るときに、どこまでがUIなのか、そこでなにをしようか、いろんなリストを並べてあーでもないこーでもないと議論を重ねて、ホームスクリーンをいじるという結論に達するまですごく時間がかかりました。でもホームスクリーンを作るという結論にいたったときには、お互いに目標がはっきりと明確化できていました。そのおかげで、本当の意味でのコラボレーションができたと考えています。

isaiブランドの定着と進化に期待!
LGとKDDI共同開発スマホ『isai』プレスツアー一問一答

 LGエレクトロニクスとKDDIが本当の意味でコラボレーションし、ブランド、端末、そしてホームスクリーンでのユーザー体験まで、一貫したコンセプトで作り上げた『isai LGL22』。本端末がユーザーにどのように受け入れられるか、そして今後isaiブランドがどのように進化して、次モデルにつながっていくのか、期待して見続けたいところだ。

●関連サイト
isai LGL22

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