『もしドラ』をはじめ『スタバではグランデを買え!』ほか多数のベストセラーを手がけた編集者、加藤貞顕さんに「大切にしている表現のルール」や「ルールについて考えていること」についてお話を伺いました。
■ルールはみんなが幸せになるためのもの
基本的に、ルールは好きではないです。ルールって、そもそも人をしばるためのものなので、楽しいものではないですよね。もちろん、現在の世の中には、ルールがいっぱいあるんですが、そういうルールの存在が許されて、みんながそれを守ろうとしているのは、そのルールでみんなが幸せになれるからです。
でも、社会の状況が変わっていくなかで、あるルールに固執していると、みんなが不幸になってしまうこともあります。そんなときは、そのルールを変えることについて考える、いい機会なんじゃないかなと思います。
■自分の中で大切にしているルール
ぼくは編集者なので、表現をつくることが仕事です。そのときに大切にしているルールがふたつあります。
ひとつは「おもしろいかどうか」。もうひとつは「役に立つかどうか」です。このふたつを、常に自問しています。これに従うと、たとえば誰かの悪口のように、おもしろいかもしれないけど役には立たないものはつくらないことになります。「売れるのかもしれないけど、誰かの役に立つのだろうか? むしろ社会にとってはマイナスなのではないか?」というようなものはつくらないほうがいいと思うのです。
ひとことでいうと「社会に対してポジティブであることをしよう」ということです。だから、ルール自体についても、「このルールって何のためにあるんだっけ?」「このルールで誰が幸せになるんだっけ?」というようなことは、よく考えています。
■環境が変わって働き方のルールが変わった
一昨年、勤めていた出版社から独立して起業しました。新しいコンテンツ流通のルールがつくれないだろうかと思い、cakes(関連サイト)というウェブサービスをつくって運営しています。立場が会社員から経営者になったら、健康に気をつけるようになりました。生活のルールががらっと変わりましたね。
経営者になって、会社員時代と一番違うのは、仕事がうまくいこうがいかまいが、全部自分の責任だというところです。これは厳しく見えるかもしれませんが、すごくクリアで、気分がすっきりしました。部下がうまく仕事をこなせなかったとしたら、それは採用をして仕事を頼んだ僕の責任です。
■ルールの向こう側に人がいる
いつも、みんなは何を好きなのかな? どうしたら幸せなのかな? ということを考えている気がします。ルールの向こう側には、人がいますよね。そのことを考えるのが大事なのかなと思っています。古くて変なルールをつくったのも、それに固執するのも人なので難しいのですが、たくさんの人がしあわせになる方向に変化していくことは、自然なことですよね。そこを意識して仕事をしています。
加藤貞顕(かとうさだあき)
編集者、株式会社ピースオブケイクCEO。1973年新潟県生まれ。大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。アスキー、ダイヤモンド社に編集者として勤務。『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』など話題作を多数手がける。2011年12月に株式会社ピースオブケイクを設立。2013年9月、コンテンツ配信サイトcakes(ケイクス)を立ち上げた。
■関連サイト
cakes(ケイクス)
角川EPUB選書 創刊記念 ルールを変えよう!キャンペーン 特設サイト
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