週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ドコモ、iPhone導入も13万純減 ネットワークで巻き返しなるか?by 石川温

2013年10月07日 16時30分更新

 9月の純増契約者数が明らかになった。MNPではKDDIが11万800件と圧勝。ソフトバンクは2万2700件、一方、悲願のiPhoneを導入し、“一人負け”に歯止めかがかかると期待されたNTTドコモはマイナス13万3100件と大惨敗であった。

 おそらく、iPhone5s/5cが発売されて10日間しかないことや、iPhone5sの在庫不足が足を引っ張った模様だ。また、KDDIとソフトバンクはiPhone5sの在庫がないなか、在庫が余っているiPhone5にキャッシュバックを大量に積んでMNPで稼ぐなか、NTTドコモではAndroidの売れ行きが止まり、頼みの綱であるはずのiPhone5sが入荷できないと言う状況が悪影響を及ぼしたようだ。

ドコモ

↑NTTドコモ取締役常務執行役員ネットワーク担当の徳広清志氏が登壇した。

 NTTドコモとしては、9月におけるMNPの結果が芳しくないことを受けてか、急遽、10月4日に記者説明会を開いている。NTTドコモが他社に比べて見劣りしているiPhone向けのネットワークとコンテンツサービスを改めて説明する会だった。

ドコモ

↑今後は電波の広さと、速さをクアッドバンドLTEで効率よく利用していく予定とのこと。

 NTTドコモでは、現在LTEは、2GHz帯と800MHz帯で広さをカバーし、高速化は1.7GHz帯と1.5GHz帯で実現している(iPhoneは1.5GHz帯は非対応)。

 基地局数は、2013年3月時点で2万4400局だったが、2014年3月までに5万局までに倍増。下り最大75Mbps対応基地局(10MHz幅)も、6400局から4万局にまで増える。

 特に注目は150Mbps対応基地局(iPhoneの場合は最大100Mbps)で、9月20日より東京・大阪・名古屋でサービスを開始済み。今年12月末には山手線全駅で150Mbpsに対応するという。

 iPhone 5s/5cが発売されて以降、週刊アスキーをはじめとする様々なメディアで山手線を1周してのダウンロード速度調査が行われたが、12月末にはNTTドコモのiPhoneにおける数値が上がる可能性がありそうだ。

 NTTドコモでは150Mbps対応基地局を2014年度末までに2000局までに拡大し、快適なネットワークを実現するという。

ドコモ

↑ドコモLTE Xi基地局数。9月20日から150MHzに対応。

 ただ、広さに関しては、KDDIの800MHzにおけるプラチナバンドはかなりの脅威と言える。その点、NTTドコモでは2GHzと800MHzを所有し、ルーラルエリアは800MHz でカバーするというが、現状は2000局程度に留まっており、KDDIの3万4000局には大きく溝を空けられた状態だ。

 今回、NTTドコモが同じiPhoneを取り扱い始めたことで、ネットワーク品質の優劣が分かりやすいかたちで比較されることになる。実際、各メディアや調査期間が行っているネットワーク速度比較などのデータを見る限り、NTTドコモのネットワークを掴むiPhoneは全体的に苦戦しているようだ。

 KDDIの田中孝司社長は「うちも最初は苦労した。NTTドコモもしばらくは厳しいのではないか」といい、ソフトバンクモバイルの宮川潤一CTOも「auさんは今年、相当対処したのでだいぶいいと思うが、ドコモは見ものだなと。ずいぶん、勉強はしていると思うが、iPhoneのトラフィックだけはちょっと異常な動きをする。ドコモに教えてあげたい気もするが、NDAがあるからね。アップルもいろいろなことをやっているから、そこに原因がある。ドコモさんは気をつけた方がいいな」とコメント。

 ドコモは1.7GHz帯による150Mbps(iPhoneは100Mbps)を売りにするが、実際に、iPhoneに向けて快適なLTEネットワークを構築するには、iPhone特有の独自のノウハウが必要されているため、KDDIもソフトバンクも「ドコモは当面は厳しいのではないか」という見方をしているようだ。

 10月4日の記者会見後、「実際、iPhoneで苦労していないか」とNTTドコモ取締役常務執行役員ネットワーク担当の徳広清志氏に直撃したところ、「基地局倍増計画は苦労してやっている。去年作った基地局の倍作っており、フルパワーでやっている。順調に工事が進んでいる。来年にはお客様に体感いただけるように頑張っているところ」と語った。

 NTTドコモはトップスピードを優先するよりも、多くの人がそこそこ快適に使えるネットワーク構築を目指しているという。

 プラチナバンドを訴求するKDDIに、倍速ダブルLTEをアピールするソフトバンク。NTTドコモがMNPで巻き返しを図るには、これら先行2社にNTTドコモは勝たなくてはいけない。“つながりやすさ、速さ”はiPhoneを選ぶ上でのひとつの基準になろうとしており、その結果が今後のMNPの数字を左右しかねない。まさにiPhoneを軸としたLTEネットワーク競争が本格化しようとしているようだ。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります