9月30日、ソフトバンクモバイルが新製品発表会を行った。NTTドコモがiPhone販売に参入したことで3キャリア体制となるなか、孫社長は「世界最高のネットワーク」をアピールし、今後、ネットワーク品質がキャリア選びで重要になると訴求した。
だが、発表会を見て、まず感じたのが“この端末ラインナップで大丈夫か”という点だ。今回、ソフトバンクモバイルでは、AQUOS Phone Xx、 AQUOS Phone Xx mini、ARROWS A、ディズニーモバイルという4機種しか発表しなかった。しかも、2013年冬~2014春モデルとしてだ。売れ筋に絞ったという見方はできるものの、これでは少し寂しすぎるのではないか(ちなみに昨年は8機種)。孫社長は“倍返しのLTE”を強調していたが、端末ラインナップ数的には“半返し”だった。
これが、数年前であれば全く問題ないだろう。ソフトバンクはiPhoneを独占的に販売しており、iPhoneさえ売りまくっていれば良かった。しかし、2011年にKDDIがiPhoneの取り扱いに参入。そして、ついに2013年にはNTTドコモが仲間入りを果たした。日本国内では、3キャリアでiPhoneが買えるようになってしまった。もはや、iPhoneは端末ラインナップにおける差別化にはならない。
一方、まだ正式発表されていないものの、ネットの噂や業界関係者の声を集めると、2日に発表会を行うKDDI、10月中に発表会を予定しているNTTドコモのAndroidラインナップは相当、充実したものになると予想される。実際、9月上旬にドイツ・ベルリンで開催された欧州最大の家電展示会『IFA』では、ソニーとサムスン電子の記者会見場でKDDI関係者の姿が目撃されている。関係者に話かけたところ「ドコモのツートップのおこぼれをもらいきた」と語っていた。
つまり、NTTドコモから発売が予想されるGALAXY Note3、さらにはXperia Z1がKDDIから発売される可能性が高いというわけだ。KDDIがGALAXY Note3を取り扱うと言うことは当然のことながら、時計型端末『GALAXY Gear』も販売されるのだろう。
NTTドコモとKDDIからグローバルメーカーのグローバルスマートフォンが同時期に発売されるインパクトは相当、大きなはずだ。
KDDIは、いずれNTTドコモからもiPhoneが発売されると予想し、着々とグローバルスマートフォンをNTTドコモと同時期に投入できるように準備を進めていた模様だ。
一方のソフトバンクも、NTTドコモがiPhoneを扱うと予測しながらも、グローバルメーカーから端末を調達することができなかった。
サムスン関係者に話を聞くと「ソフトバンクユーザーに我々の端末を使ってくれるユーザーはいないだろう。だから、端末を供給するつもりはいまのところない」と素っ気ない。
ソフトバンクとサムスンは、一時期は深い付き合いもあったが、iPhoneの取り扱い以降、両社の関係はすっかり冷え切ってしまっている感がある。
ソフトバンクは、アメリカのキャリアであるスプリントを買収。端末調達においても2社での協同調達が実現できるかと思いきや「成果が出るのは半年から1年先になるのではないか」(孫社長)という。まさに、今回の年末から春商戦にかけては、その狭間というべきタイミングで、端末ラインナップが極端に他社に比べて少なくなってしまったのかも知れない。
今後、キャリアの個性、差別化は“端末ラインナップ”、“ネットワーク品質”、“コンテンツ”が重要となる。孫社長自身「ネットワークは最高だ」と胸を張るが、どんなによいネットワークでも、まずユーザーが欲しいと思える端末がなければ話にならない。
ソフトバンクにとって、いまはiPhone 5s/5cが主力だろうが、もはやiPhoneはどのキャリアからでも購入できる。これから“iPhone以外”のラインナップがキャリアにとって重要となるなか、ソフトバンクの今後が不安となる今回の新製品発表会だったように思える。
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