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クアルコムがカーレース『フォーミュラE』とのパートナーシップを発表

2013年09月10日 13時09分更新

 クアルコムは9月9日(現地時間)にベルリン市内で記者会見を開催し、2014年より開催が予定されている電動フォーミュラカーレース”フォーミュラ E”とのテクノロジーパートナー契約の締結を発表した。

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↑発表会に登壇した面々。写真左端がクアルコムヨーロッパの上級副社長アンドリュー・ギルバート氏、右から2番目がフォーミュラ E ホールディングスCEOのアレハンドロ・アガク氏、右端が元F1レーサーのルーカス・ディ・グラッシ氏。

 “フォーミュラ E”は、F1などのフォーミュラカーレースを主催しているFIAによる、電気エネルギーのみで動くフォーミュラカーを使う、まったく新しいカテゴリーのカーレースだ。今年2013年にデモ走行が行われ、2014年から10チーム20人のドライバーで選手権が開催される予定となっている。記者会見では、スマホ向けSoCなどを提供していることでおなじみのクアルコムが、フォーミュラ Eとテクノロジーパートナーとして複数年契約を締結し、フォーミュラ Eに対して様々な技術を提供していくことが発表された。

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↑電動フォーミュラカー“フォーミュラE”の第1世代プロトタイプ。世界に1台しかないそうだ。
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↑コックピットの雰囲気はF1などとほぼ同じだが、ステアリングのボタンはかなり少ない。
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↑ノーズ部分に、Qualcommのロゴが見える。
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↑側面にもQualcommのロゴが。
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↑ボディーには「100% Electric Power」という文字が。
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↑ガソリンエンジンを搭載しないので後方に排気口はなく、見た目はすっきり。


 記者会見には、フォーミュラ E ホールディングスCEOのアレハンドロ・アガク氏、クアルコムヨーロッパの上級副社長アンドリュー・ギルバート氏、フォーミュラ Eのテストドライバーを務める、元F1レーサーのルーカス・ディ・グラッシ氏が登壇した。

 まずはじめに登壇したアレハンドロ・アガク氏は、「現在の若者は、カーレースをスタートからチェッカーまで集中して観戦するのではなく、レース中にスマートフォンやタブレットを利用して、様々な情報を見ながら楽しんでいる。そういった若者にレースを楽しんでもらうには、クアルコムが持つネットワーク技術などのテクノロジーが欠かせない。」として、クアルコムがフォーミュラ Eとパートナーシップ契約したことを歓迎。

 

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↑フォーミュラ E ホールディングスCEOのアレハンドロ・アガク氏は、クアルコムのパートナーシップ締結を歓迎。


 アンドリュー・ギルバート氏は、クアルコムがフォーミュラ Eとのパートナーシップを結ぶ理由として、「バッテリーのワイヤレス充電」と「データ通信」の2つをあげた。
 クアルコムは、電気自動車向けのワイヤレス充電システム“Halo”を開発しているが、そのHaloをベースとしたワイヤレス充電技術をフォーミュラEに対して提供するという。これは、専用の充電パッドを利用して、充電パッドの上に車を停止させることでバッテリーの充電ができるというもので、フォーミュラE選手権の第2シーズンのレースカーより搭載されることになる。
 さらに、クアルコムは“ダイナミック給電”と呼ばれる、クルマが走行している状態でのワイヤレス給電技術も研究しており、将来的にはダイナミック給電をフォーミュラEで実現したいという。もし実現されれば、コース上に給電レーンが用意され、その上を走るだけで充電が可能になるとのこと。レースゲーム『F-ZERO』では、コース上のピットゾーンを走ることでエネルギーの補充が可能だったが、まさにそれと同じようなシステムが実際のカーレースで実現されることになるわけだ。

 また、フォーミュラカーとピットとの間で、レースカーの走行状態や、エンジンやタイヤ、ブレーキなどの各種パーツの動作状況といった様々な情報を伝達するテレメトリーシステムをはじめ、カーレースには多くの情報を無線通信でやりとりする場面が多く、そういった部分にクアルコムの技術が活用できるとした。また、レースのライブストリーミング、ソーシャルメディアやゲームを活用したサービスなどを実現するためのソリューションも提供するという。

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↑アンドリュー・ギルバート氏は、クアルコムがカーレースに関わる理由を説明。
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↑フォーミュラ Eに提供されるワイヤレス給電システム”Halo”。
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↑こちらは給電パッド。この上に車を停めてワイヤレス充電を行なう。
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↑車体の底面部に取り付けられる受電ユニット。


 発表会では、フォーミュラ Eカーの第1世代プロトタイプが展示されるとともに、ルーカス・ディ・グラッシ氏によるデモ走行が行われた。ガソリンエンジンを搭載するフォーミュラカーと違い、エンジン始動やエンジンを吹かす時の、甲高いエキゾーストノート(エンジン音)は一切なく、無音のままいきなり走り出すのは結構違和感がある。とはいえ、一気に加速して走り出す姿は、紛うことなくレーシングカーそのもの。狭い室内を走り、さらに屋外に出てのドーナツターンなど、走る姿はなかなかの迫力だった。

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↑デモ走行を行った、ルーカス・ディ・グラッシ氏。さすが元F1レーサーといった走りを披露した。


 ちなみに、今回の提携で提供されるクアルコムのワイヤレス給電システムが、実際にフォーミュラ Eに参戦するどのチームが採用するのかという点は、現時点では未定とのこと。また、アレハンドロ・アガク氏によると、日本チームの参戦が近々発表できそうとのこと。日本人ドライバーの参戦など、詳しいことは現時点ではわからないが、我々日本人にとっても、フォーミュラ Eは見逃せない存在になりそうだ。

●関連サイト
フォーミュラE
クアルコムヨーロッパ

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