9月5日に舞浜アンフィシアターで行なわれたホンダのコンパクトカー・フィットの発表会。円形劇場を活かした演出とともに、ホンダがフィットにかける意気込みが伝わる内容だった。
まずは、中央のリフトから登場した代表取締役 社長執行役員の伊藤 孝紳氏が今回のフィットについて語った。
本田技研工業
代表取締役 社長執行役員
伊藤 孝紳氏
新型フィットは世界一を目指しました。世界一便利で、世界一使えて、そして世界一愛されるコンパクトカー。それがこの新しいフィットでございます。
1955年、ウォルト・ディズニーがカルフォルニアに最初にディズニーランドを建設した時に、彼はこの子供のための施設だったディズニーランドの枠を超えまして、大人も子供も楽しめる魔法の王国を夢見ていました。この新しいフィットも、スモールカーの枠を超えて、魔法のような燃費と走り、ユーティリティーとデザインを実現させています。
フィットは、2001年に初代が登場した際、クルマづくりの常識を覆し、ガソリンタンクをリアからなくすことで、この魔法のようなユーティリティー、パッケージを実現させました。その優れたパッケージも燃費性能や皆様に愛されるデザインも、アコードやシビック、CR-Vに続きまして本田の屋台骨へと成長し、わずか12年間で、世界123ヵ国にて累計販売台数は487万台に達しました。私は、2009年に社長に就任し、それ以来このフィットを世界一のコンパクトカーに成長させることが、ホンダの成長戦略の根幹になると考えております。
今回、プラットフォームからカートレイン、デザインに至るまで、すべてを刷新するべく開発を進めてまいりました。特に、こだわったものは、一番へのこだわりです。まずは、燃費で一番取るため、2011年より始めました、アース・ドリームス・テクノロジーを新たなステージに進化させました。6月より発売を開始し、皆様に大変ご好評を頂いておりますアコード・ハイブリッドへ搭載いたしました、2モーターハイブリッドシステム“スポーツ ハイブリッドi-MMD”は、中型クラスでありながらリッター30kmという圧倒的な低燃費を実現して、現在大変好調な販売となっております。
そして本日皆様にご紹介いたします、1モーターシステム“スポーツ ハイブリッドi-DCD”は、1リッターあたり36.4kmという国内最高の燃費性能を実現したハイブリッドシステムであります。1モーターシステムの特徴である、軽量・コンパクトさを維持しながら、2モーター同等のEV走行を可能にしました。魔法のようなハイブリッドシステムであり、絶対の自信をもっております。今後このハイブリッドシステムを搭載したモデルを、順次投入していく予定でございますので、どうぞご期待ください。
また、このフィットは、メカだけでなく、このスタイリングにおいても、新しいホンダデザインの先駆けとなっております。新たなホンダデザインの考え方、“エキサイティング H デザイン!!!”は、これからのデザインキーワードとして、今までにないアグレッシブで先進性のあるデザインへ進化をさせてまいります。さらに、クルマづくりのありかたも、このフィットを皮切りに、大きく進化させる改革を進めてまいります。グローバル・コンパクトシリーズも世界中のお客様へ、地域ベストの仕様と価格でお届けするため、各地域の開発・生産、そして購買部門が一体となって、全世界でベストなクルマづくりができるよう構造改革を進め、グローバルオペレーション改革をしてまいります。そして2016年までに、このコンパクトシリーズで年間150万台の世界販売を目指してまいります。
私達は、世界中のお客様に、自由な移動の喜びと、持続可能な社会の実現へ常に夢のある商品を提供してまいります。今後のホンダにぜひご期待ください。
続いて
本田技研工業
専務執行役員 日本営業本部長
峯川 尚氏
が日本での販売戦略について語った。
フィットは2001年の登場以来、世界中で大変多くのお客様にご愛好いただいております。国内ではすでに203万台を販売しており、まさに日本を代表するコンパクトモデルとして成長しました。
本日皆様にご紹介させていただきます3代目フィットは、従来モデルが持つ固有の価値観を大幅に進化させました。ハイブリッドモデルでは国内最高燃費という高い環境性能を有しながら、ホンダらしいFUNな走りもご堪能いただける仕上がりとなっております。 すでに事前受注は2万5000台を超え、初代、2代目をはるかに上回るほど好調な立ち上がりとなっております。このクルマへの期待の高さが、実際にお客様の期待を大きく上回る進化を遂げているものと確信しております。今までのお乗りのお客様だけでなく、これからコンパクトカーへお乗換えやご購入を検討されているお客様にも、必ずやご満足いただけるのではと感じております。
また、車の性能や価格だけでなく、国内事業についても大きく変えていきたいと考えております。新型フィットは、量産立ち上げを鈴鹿製作所が担い、11月から最新鋭の埼玉製作所寄居工場にて本格量産をしてまいります。日本のものづくりの製作基盤をさらに強化し、生産技術で世界をリードする。新型フィットは日本発でホンダのグローバルオペレーションを牽引する中核モデルを目指してまいります。また2012年より本格的に取り組んでまいりましたスモールストアも現在235店舗まで拡大し、ホンダ販売店の約1割となりました。今後もお客様により身近な販売店づくりを加速させ、国内において、軽自動車とコンパクトクラスでの事業基盤を盤石なものにしていきたいと考えております。
この進化したフィットで、ここ日本から世界を驚かせたい。そんな強い思いを込めた渾身の一台にご期待いただきたいと思います。
今年は東京モーターショーの開催年となりますが、元気なホンダの勢いは止まりません。6日に発売のフィットに続き、10月にはオデッセイ、さらにNシリーズ第4弾となる新型軽自動車と新型SUVを年内に発表してまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
最後に3代目の開発責任者である
本田技術研究所
四輪R&Dセンター 開発責任者
小西 真氏
がフィットの技術面について語った。
本日皆様にご紹介させていただきます、全世界で広く愛されるクルマへ成長いたしました、まさにフィットはホンダを象徴するモデルです。全世界の販売実績は487万台です。フィットは、その小さな車体で、優れた使い勝手、広い居住空間、低燃費を実現し、世界中に革命を起こしたコンパクトカーです。3代目となる新型フィットを開発するにあたり、最初に思い描いたのは、4輪車のスーパーカブのような存在になりたいということでした。スーパーカブはその普遍的な価値を現在も受け継いでおります。まさにホンダそのものです。これまでに、世界160ヵ国以上で販売し、8350万台を生産しております。スーパーカブの普遍的な価値は、世界中のお客様の生活を支え、毎日の生活に喜びをもたらしてます。
3代目フィットにも同じ価値を与えるために、これまでのフィットの価値をリセットし、新しい発想で進めました。リセットといいましても、歴代のフィットが持つ普遍的な価値は、更に伸ばすこととして考えました。では歴代のフィットが持つ普遍的な価値とはなにか。それは空間、燃費、そしてかっこ良さです。これらをお客様が驚くほどに進化させていくことが、開発の目標でした。この思いを込めて、開発コンセプトをザ・ワールド・ベスト・ファンクショナル・コンセプトとしました。
新型フィットの魅力は、まずデザインです。先進性、新しい骨格、高い質感の3つのテーマを、今後のホンダデザインの方向性を定めました。それは、“エキサイティング H デザイン!!!”です。エクステリアデザインは、キャラクターラインを明確に出し、ダイナミックに進化させました。また、これまでのコンパクトカーの概念を覆し、ディテールにまでこだわった開発をいたしました。ご覧のとおり全く新しいデザインだと感じていただけるのではないでしょうか。特にフロントは、これからのホンダを象徴するスポーティーなデザインです。
インテリアデザインは、これまでのコンパクトカーの概念を打ち破る質感の高さです。我々はワンクラス上のクルマづくりを目指しています。ハードとしての特徴は、静電タッチパネルを採用した、スマートフォン感覚のディスプレーを備えたヒーターコントロールパネルです。
エクステリアカラーは11色を用意しております。バリエーションとしましては、ハイバランスの13G、上級志向の15X、走りを主張するRS、ハイブリッドの4つのラインアップをご用意いたしました。幅広いお客様のニーズにお答えできるようにしております。
フィットの一番の特徴であるパッケージについてご紹介します。デザインは時代とともに古くなってしまうものですが、広さや使い勝手は、時代が変わってもその魅力を失いません。特にコンパクトカーでは、重要な価値だと考えております。新型フィットの幅と高さは従来タイプと変わりませんが、ホイールベースは+30mm、全長は+55mmにしました。この変更によりタンデムディスタンスを従来に比べて80mm伸ばしております。フィットはセンタータンクレイアウトにより、ホイールベース以上にタンデムディスタンスを大幅に広げることができました。好評のシートアレンジについては、タンデムディスタンスの拡大などにより、使い勝手を大きく向上させています。
パッケージング図 |
i-DCDハイブリッドシステム イメージ |
続いて今回大きく進化しましたテクノロジーについて解説いたします。ホンダの持てる技術を惜しみなく投入し、エンジン、トランスミッション、プラットフォーム、すべてを刷新しました。まずは、エンジンとトランスミッション。ガソリンモデルは従来同様、1.3リッター、1.5リッターとし、ハイブリッドモデルは1.5リッターエンジンを採用しました。さらに、トランスミッションもそれぞれのエンジンと最高の組み合わせになるよう、すべてを刷新いたしました。ハイブリッドモデルには、新機構の7速デュアルクラッチトランスミッションを採用しております。
i-DCD基本構造 |
高出力モーター内蔵7速DCTギア配列概念図 |
スポーツ ハイブリッドi-DCDを構成するのが、新開発の1.5リッターアトキンソンサイクルエンジンです。システム出力101kW(エンジン出力は81kW)の高出力を実現しトランスミッションはモーター内蔵のデュアルクラッチ構造です。2つのクラッチにより、エンジンとモーターの接続・切断を可能にしております。これにより、軽量コンパクトながら、EV走行を可能な構造となっております。ハイブリッドの特徴となるモーターは、IMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト・システム)の特徴であります、薄さ、コンパクトさを継承し、出力を大幅に向上させています。
1.5L アトキンソンサイクル DOHC i-VTECエンジン エンジン性能曲線図 |
また、バッテリーはリチウムイオンを採用し、従来と同様のサイズで高性能化と大容量化を実現しています。走行時は、エンジン走行、EV走行、ハイブリッド走行をそれぞれの場面に応じて最適な走行を選択します。これにより、国内最高となるリッター36.4kmの低燃費と、レスポンスビリティ、爽快な走りを達成しました。ガソリンモデルもクラス最高水準の低燃費を実現しております。
ダイナミックパフォーマンスについてご説明します。開発には、快適な乗り心地と機敏なハンドリングを実現するようにしました。走りの質感を徹底的に高め、お客様が先代モデルと大きな違いをはっきりと感じられます。
質の高い走りを実現するため、シャーシをすべて設計しなおしました。ふだんのドライブでも、軽快さや乗りやすさが実感できる性能を達成しています。ボディーは大幅な軽量化をテーマに据えました。超ハイテン材を新たに使用するなど、細部にまで軽量化を実施しております。
以上のように、新型フィットはお客様の期待を大きく上回る進化を実現したものになっております。日本を代表するコンパクトカーとして、世界中で愛される車になってほしいと思っております。
というように、12年目のフィットは、全てを一新ししたこれからの時代のコンパクトカーを目指したものといえよう。
3氏は触れなかったが、ボディー全部には、衝撃をやわらげる構造の歩行者傷害軽減ボディを採用したり、車両挙動安定化制御システムやヒルスタートアシスト機能、急ブレーキ時に後続車へ注意を促すエマージェンシーストップシグナルを装備。シティブレーキアクティブシステムを新開発し、フロントガラス上部に設置したレーダーで障害物を検知し、時速30キロまでの走行なら、自動的にブレーキを効かして危険回避を測ったり、低速時にアクセルペタールが踏み込まれても誤発進を防ぐ機能もオプションで設定されている。安全性にもしっかり配慮しているのだ。
実際に運転したわけではないので、どのくらいキビキビした走りになっているのかはわからないが、ぜひ本誌テスレポとかでハイブリッド車を取り上げてみたい気になるクルマ。コンパクトカーで価格が押さえられているにも関わらず、内装もしっかりしていたし、オプションだが、静電式タッチパネルによるインターナビは、スマホライクな操作体系で、私が常々ナビ会社に言っていた仕様を取り入れており、きちんと時代の流れを組んでいるなと感じた。また、USB端子やBluetoothの搭載はもちろん、HDMI端子も搭載しているところが素晴らしい。
そんなリッター36.4kmを実現したフィット ハイブリッドのお値段は163万5000円から。あと私が運転したいなと思ったフィットRSの6速MTは180万円となっている。価格的にも性能的にも、これは欲しくなっちゃうでしょ!?
発表会で撮影した写真を一挙放出
●関連サイト
ホンダ フィット
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