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USBのACアダプターを急速充電仕様に改造してみた:週間リスキー

2013年08月14日 18時30分更新

【注意】作業時の怪我や改造したACアダプターによる事故やケガ、本体やその他機器の故障など、筆者および編集部とも責任を負いかねます。すべて自己責任でお願いします。

週間リスキー

 家でスマートフォンやタブレットを充電するなら純正のACアダプターを使うわけですが、外へ持ち出すときまで純正品を使う人はあまり多くはないでしょう。持ち出すたびにコンセントから抜くのが面倒くさい、純正品は大きくてジャマになる、職場に置き忘れて家で充電できずに泣いたなど、人によって理由はさまざまだと思いますが、別途小型のACアダプターを購入して使っている方が多いのではないでしょうか。もちろん私もそのひとり。特に旅行のときはACアダプターを複数持っていくのが嫌で、2A(アンペア)まで出力可能な4口くらいあるものを使っていました。

 と・こ・ろ・が。何度か使っているうちに気付いたのですが、スマートフォンとタブレットを同時に充電しようとすると、どちらも充電されないことがあるのです。翌朝、すっからかんになったバッテリーを見て何度青ざめたことか……。また、たとえ1台しか接続していなくても、充電しながらタブレットを使っていると電池の残量が減っていくということもありました。どうも、供給電力よりも消費電力のほうが上回っているみたいです。おかしいですよね、2Aも出力あるくせに!

「カッ」となって、こんな商品を買った

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↑5ポートで合計5.1A出力というステキACアダプター『DNSB-84173』。すでに販売が終了している製品ですが、大体2000円くらいでした。右のポートに“2.1A”、それ以外には“1A”と印刷されています。あとでわかったことですが、これ、実は意味がありません。

 公称出力のギリギリまで使おうとすると失敗することが多い気がする……ということで、これなら問題ないだろうと思って購入したのが、合計5.1Aまで出力可能な5ポートUSB ACアダプター。1ポートは2.1Aまで、残り4ポートが1Aまで出力可能という仕様です。これなら今までのように充電に失敗することもないだろうと考えたのです。

 しかし、実際にタブレット、具体的には『Nexus 7』をつないで使ってみたのですが、明らかに純正のACアダプターより充電が遅い。また、充電しながらゲームで遊んでいたら、バッテリー残量が減っているじゃないですか……。つまり、急速充電はできない仕様のようです。同時充電の問題が解決された(と思う)のはせめてもの救いですが、せっかくの5.1Aという大出力は生かせないまま。ならば、改造するしかあるまい!

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↑出力は5V、5.1A。出力が高いという話と、急速充電ができるという話はまた別。しかし、ポテンシャルはあります。

どのくらい出力が違うのかチェック

 まずは、純正のACアダプターと新規に購入した製品で、どのくらい充電時の電流が違うのかをチェックしてみました。ケーブルの間にテスターを入れて確認したところ、純正では0.98A程度だったものが、購入したACアダプターではたったの0.43A。なんと、半分もありません。これ、どうもUSB2.0規格の最大出力500mA(0.5A)というのを守るためのようです。なるほど、ACアダプターとしては2.1Aまで出力できる仕様となっていても、デバイス側が安全のため、上限を低く設定しているわけですね。

充電時の電流値(純正ACアダプター)
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↑Nexus 7と純正ACアダプターとの組み合わせでは、1A近くもの電流が流れていました。もちろん、充電しながらゲームをしていても、バッテリー残量は増えていきます。
充電時の電流値(DNSB-84173)
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↑別途購入したACアダプター(DNSB-84173)では、なんと0.43A。少なすぎます……。単純に、充電能力は純正の半分しかないことになります。

そもそも急速充電とは?

 そこで、急速充電となる条件を調べてみました。わかったことを簡単にまとめますと、「iPhoneやiPadではUSBのデータラインが適切な電圧になっているときに急速充電される」、「Androidのデバイスはデータラインが数百Ω(オーム)の抵抗で接続されているときに急速充電される」ということのようです。ちなみにAndroidの方は、抵抗を使わず単純にショートさせてもオッケーだという情報もありました。

 ACアダプターのの裏蓋を開けて中を見てみると、複数の抵抗を使ってデータラインに電圧をかけているようです。なるほど、iPhone/iPad向けの仕様ということのようですね。あと気付いたのが、出力部分が全ポートでつながっていること。ポートごとに“2.1A”だの“1A”だのと印刷してありましたけど、意味なかったんですね……。

ACアダプターの中身をチェック
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↑“4992”は49.9kΩ、“4322”は43.2kΩ、“7502”は75kΩとなります。これでデータラインの電圧をつくっているわけですね。なお、やたらと指紋がありますが、これ、最初からです。私のじゃないです。

Androidデバイス用に改造する!

 状況がわかれば、あとは改造するのみです。データラインの電圧をつくっている抵抗を半田ごてで取り外し、数百Ωの抵抗をつないであげれば完成となります。が、抵抗を探すのが面倒くさかったので、今回は半田を盛ってショートさせました。

半田を盛ってデータラインをショート
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↑抵抗を取り外したあと、パターンに半田を盛ってショート。ちなみにやってて気付いたのですが、ちょっと距離があって半田を盛るのが難しいので、素直に金属線を使った方がいいです。

 さて、改造の結果どうなったのかをチェックしてみましょう。改造前と同じくNexus 7を接続したときの電流値を見てみると、なんと1.02Aにまでアップ!わずかではありますが、純正のACアダプターをも超える結果となりました。

電流値が1.02Aにパワーアップ!
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↑充電速度の体感は、純正品とほぼ同じ。もちろんゲームしながらでも充電されますし、快適になりました。

 ちなみに副作用(?)として、通常のUSB ACアダプターでは充電できなかったコンパクトデジタルカメラ(ニコンの『COOLPIX S5100』)が充電できるようになっていました。Androidデバイスの急速充電以外でもいいことがあると得した気分になりますね。

 なお、今回改造したのは端の2ポートのみ。全部改造するとiPhone/iPad充電時に困りそうだというのがその理由です。また、全ポートで急速充電可能にすると、同時利用時に最大電流である5.1Aを超える可能性もあるので、多くても3ポートくらいにしておくのが無難でしょう。

 そして、しつこいようですが、最後にもう一度。

【注意】作業時の怪我や改造したACアダプターによる事故やケガ、本体やその他機器の故障など、筆者および編集部とも責任を負いかねます。すべて自己責任でお願いします。

急速充電はしたいけど改造はちょっと……というあなたに

 ここまでやっておいてなんですが、ACアダプター改造って一般的じゃないですよね。ということで、改造せずに急速充電できる製品を最後に紹介しておきます。

 手持ちのACアダプターを急速充電対応にしたい、というのであればアダプターがオススメ。

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