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Apple基調講演21 明暗が分かれたMacBook Pro RetinaとiOS6|Mac

2013年08月11日 20時00分更新

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 Apple恒例の開発者向けイベントである「WWDC」。毎年日程が微妙に異なり、昨年は2012年6月11日(米国時間)に開催された。発表されたのは、OS X Mountain LionとiOS 6、そしてハードウェア……。いま振り返ると、その発表内容は今年(2013年)のWWDCによく似ている。

 ただし、昨年と今年では大きく異なる点がある。iOS担当上級副社長(当時)のスコット・フォーストールの存在だ。後述する理由で、フォーストールがWWDCで登壇するのはこれが最後となった。1年後のWWDCでは、エディ・キューがその穴を埋めることになる。

■ホスト役のティム・クックは最初と最後のみ登場

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 最初に登壇するのは、もちろんCEOのティム・クックだ。彼が姿を見せると、観衆は大きな拍手で出迎えた。クックのホスト役も板に付いてきた感があり、ようやく人々も、そしてクック自身も、彼がAppleのCEOであることを素直に受け入れられるようになったという印象だ。

 まずは来場者への謝辞を述べた。今回が23目のWWDCであり、チケットが2時間弱で完売したこと、60もの国から1000名を超える開発者が参加しているという。

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 続いて、App Storeに関する業績報告。いまやApp Storeのアカウント保持者は4億件を数え、ストアのアプリ登録する65万本。累計で300億本がダウンロードされており、有料アプリの開発者に対して支払った報酬は50億ドルに上るという。スティーブ・ジョブズ亡き後も、Appleの勢いは止まっていないことを示した。
 

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 一通り報告を終えると、クックは「今日は3つの発表がある」として、ノートマシン、Mountain Lion、iOS6の3つのアイコンをスライドで見せた。代わって登壇したのはマーケティング担当上級副社長のフィル・シラーだ。
 

主役級のMacBook Pro Retinaが早々に登場

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 シラーはまず、アップデートしたMacBook AirおよびMacBook Proシリーズを紹介。外観デザインこそ変わらないものの、いずれもIvy Bridgeベースのアーキテクチャーとなり、USB 3.0もサポートした最新スペックのノートとなった。ただしこれらは、次に紹介するマシンの前座に過ぎない。

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 MacBook Proの右側にベールのかかったスライドが表示されると、観客がどよめいた。これから紹介されるのが、今日の真打ちなのだ、と誰もが感じた瞬間だ。
 

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 それこそが、「次世代のMacBook Pro」、すなわちRetinaディスプレイを搭載したMacBook Proだ。iOSデバイスでいち早く採用されていた超高精細の液晶モニターが、ついにノートマシンにも搭載されたのだ。

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 解像度2880×1800ピクセル(1インチ当たり220ピクセル)という、従来の15インチモニターの4倍の解像度を誇るRetinaディスプレイ。いまでこそWindowsノートもこの種の高精細液晶を搭載するモデルが増えてきているが、世界に先駆けてそれをやってのけるのがAppleという企業の強さだ。

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 もちろん、モニター以外のスペックも最高レベル。CPUやGPUといった処理性能が高いことに加え、内蔵ストレージとしてMacBook Airと同じSSDを採用。同様に光学式ドライブも外付けとすることでボディーの薄型化を実現している。

 さらに、冷却ファンのフィンの間隔を不均一にすることで騒音を低減するという、新しい工夫も取り入れられた。「美しく、高性能で、薄い」という、まさに次世代のノートと呼ぶにふさわしい仕様だ。しかも即日販売開始とあって、会場は大いに沸いた。

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■フェデリギによるMountain Lionデモ

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 続いて、OS Xの次期モデルであるMountain Lionの紹介。プレゼン担当は、OS X開発担当副社長のクレイグ・フェデリギだ。ちなみにフェデリギは、今年(2013年)のWWDCでは主役級の活躍を見せる人物。しかし前年のステージは、単なるデモンストレーターという印象だった。

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 Mountain Lionが搭載する200以上の新機能の中から、このときは「iCloud」「通知センター」「Power Nap」など8つの主要機能が取り上げられた。また、iOSデバイスを含むApple製品にとって、iCloudの重要性が増していることが強調された。

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■フォースオールの退社を招いたiOS6

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 最後は、iOS担当上級副社長のスコット・フォーストールによるiOS6のプレゼンだ。ここ数年、「ミスタードヤ顔」としてAppleの講演の名物となっていた人物だが、彼の登壇はこれが最後となる。この数カ月後にAppleを去ることが決定するからだ。退社の理由は公式には明かされていないが、この時紹介したiOS6、特に「マップ」の出来が悪かったことが影響していると言われる。

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 iOS6の新機能としては、音声ガイダンスシステム「Siri」の多言語サポート、「メール」アプリのVIP機能、チケット・クーポン管理機能の「Passbook」の搭載などが挙げられる。

 そして最も重要で、かつ最も残念な結果となってしまったのが、満を持して発表した「マップ」アプリだ。

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 世界標準の地図アプリである「Googleマップ」に取って代わるべく、Appleが独自に用意したのが「マップ」だ。ルート案内、ローカル検索、Siriとの連携、航空写真を3Dで見せる「Flyover」など、意欲的で野心的なアプリあったことは間違いない。

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 しかし、いかんせん勇み足が過ぎた。肝心の地図機能に不備があり、実用に堪えるレベルに達していなかったのだ。結局Appleは、このアプリの不出来を公式に謝罪することになり、当面はユーザーにGoogleマップの使用を推奨せざるを得ないという、何とも不名誉な結果を招くことになる。

 今さら言っても詮無いことだが、「マップ」アプリはもう少し時間をかけて成熟させるべきだった。ともかく、このアプリがジョブズ後のAppleの体制に大きな転機をもたらしたことは疑いようがない。その転機がAppleにとって良いものであったのか悪いものであったのか、結論を下すまでにはもう少し時間がかかるだろう。

(追記:2013年8月17日 23:03)
記事公開時に、スコット・フォーストールの登壇はこのイベントが最後と記述していましたが、正しくは次回のイベント(Apple Special Event, September 2012)が最後です。お詫びして訂正いたします。

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