■Appleのプラットフォーム戦略は順調
OS X Lionを発表した前回のイベントから半年後、スティーブ・ジョブズはこの講演でもホスト役を務めた。やせ細った体が痛々しい。そんなジョブズを応援するかのように、観衆は冒頭からスタンディングオベーションで彼を迎えた。こうしてジョブズが壇上に立つ姿を、あと何回見られるだろう……。人々のそんな思いが伝わってくるようだった。
この日はちょうど、初代iPadが発売されてから1年後に当たる。恒例の業績報告もiPadに関するものから始まった。ジョブズは、初代iPadとともに発表された電子書籍配信プラットフォーム「iBookstore」から100万冊以上がダウンロードされたこと、米国の大手出版社が続々とiBookstoreに参入していると述べた。
また、「iTunes Store」「App Store」「iBookstore」というAppleの3つのコンテンツ配信プラットフォームが出揃い、順調に成果を上げていることを報告。ストア利用のためのクレジットカード登録数が2億件を突破し、アプリ開発者に支払った総額が20億ドルに達したと述べた。
■2010年は「iPadの年」だった。2011年は?
「今日は第3の革命的製品(ブロックバスター)について話そうと思う」とジョブズは言った。「我々はこれまで、『ポストPC』時代を担う革命的製品を出してきた。2001年のiPod、2007年のiPhone、そして2010年のiPadがそうだ」と。つまり「第3の革命的製品」であるiPadについて話すという意味だ。
続けてジョブズは、「2010年はiPadの年だった」と発言。発売から9カ月で1500万台を出荷し、過去に発売されたどのタブレットPCよりも売れたと豪語した。2010年度のiPadの売り上げは95億ドルで、タブレット市場の90%のシェアを握ったという。
「では2011年は何の年になるだろうか?」とジョブズは問いかけた。他のIT機器メーカーのロゴを表示して、「(これらの企業による)パクリの年だろうか?」とブラックユーモアで観衆を笑わせると、「もちろん違う。iPad 2の年だ」と宣言。この種の講演にしては珍しく、その日のメインディッシュを前半に持ってきた。「すべてが新設計だ」とジョブズが告げると、会場は喝采に包まれた。
■第2世代で早くも大きくモデルチェンジ
iPad 2はデュアルコアのApple A5プロセッサーを内蔵し、ジャイロスコープを搭載、前面と背面にカメラを備えるなど、初代モデルから大きくスペックアップした。ボディーを薄型化、軽量化しつつも、バッテリー駆動時間は従来と同じ10時間をキープ。また、ホワイトモデルが追加された。
Appleがこれほど短期間で、外観を含めてハードウェアをアップデートするのは珍しい。当時のAppleが、iPadをいかに重要なプロダクトに位置づけていたかがうかがえる。
■「お風呂のフタ」ことSmart Cover登場
この日は、HDMI出力用のアダプターと「Smart Cover」も発表された。ちなみにSmart Coverは、その形状から日本では「風呂フタ」と揶揄され、本来とは別の意味で有名になった。
■iOSやアプリもアップデート
このタイミングでiOSもバージョン4.3にアップデートすることが発表された。このほか、iPadの画面に最適化されたiMovieやGarageBandの新バージョンもリリース。これらの新しいソフトウェアのデモは、スコット・フォーストール、ランディ・ユービロス、ザンダー・ソーンといった、iOSのプレゼンではおなじみメンバーによって行われた。
■One more thingはナシ
終盤はいつも通りiPad 2の宣伝ムービーが流され、ジョナサン・アイブやフィル・シラーといった幹部陣が出演。期待の「One more thing」はなく、「技術と芸術の交差点」というAppleの企業としての立ち位置を再確認しての終幕となった。
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