WWDC2013で発表されるiOS7やOSXのプラットフォームにはどういう機能が備わっているべきなのか? デベロッパーの目線では、また違った見方をしているみたいだ。
知人のiOSアプリデベロッパーでコンテンツワン社(関連リンク)/マルチメディアスクールWAVE社CTOの橋本謙太郎氏と雑談しているなかで、なるほどなぁと思ったことがあった。
WWDCの主役は、WorldWide Developers Conferenceというくらいだから、言うまでもなくデベロッパー(開発者)。彼らは日本円にして参加費16万円、エアー代、宿泊費なんだかんだで一人あたり計40万円ほどかけて、ここサンフランシスコの地に遠征してくる。
その目的は、iOSのイノベーションをいち早く自分たちがつくるアプリに取り入れ、より良くマネタイズするためのアイデアを発見したいからだ。
デベロッパーはそもそもアップル好きだった人も多いから、MacBook Air Retinaとか、iPhone5Sなんかが発表されたら、それはそれで喜ぶ。でも、本質的には遠征の対価としては意味がない。「別に新製品を見るために来ているわけじゃないんですから」と言われると、そりゃそうだと思う。
ではどんな発表がありそうなのか? 雑談の中から出て来た「意外と本当にデビューしそう」なデベロッパー目線の期待を3つまとめてみた。
・Apple Point(AP)システム
Amazonが実施中のAmazonポイントのように、購入金額に応じて一定のポイントが貯まる制度。これを、全オンラインストア横断のリワード(ポイント)制度として実施する。
たとえば、アップルストアでMacやiPadを買うと、その5%がポイントに加算。そのポイントはMacAppStoreやAppStoreで1AP=1円相当として利用できる。たとえばMacBook Airを買うと再廉価モデルでも4000円強相当のポイントが貯まる。これをアプリ購入に充てられれば、ユーザーにとっても新ハード購入直後に環境を整えられるメリットがあり、デベロッパーにとっても売り上げ面で良いメリットがある。またアップルにとってもオンラインストアの購入比率が高まるので収益的にも貢献するはずだ。
・iTunes Unlimitedと聴き放題API解放
WWDC開催目前の6月7日に、アップルはソニーミュージックエンタテインメント(SME)、およびSony/ATV Music Publishingとの契約合意に達したようだ。これを受けて“iRadioを始めるのではないか”という推測報道がある。
名称がiRadioかどうかは別にして(正直、ダサいですよね)、聴き放題サービスは世の流れ。そもそもDRMフリーにまで手をつけたコンテンツ流通の戦闘民族たるアップルが、Spotifyなどの新手の競合を前に“聴き放題だけはやらない”のはやっぱり違和感がある。
そのサービス名を勝手にiTunes Unlimitedと呼んでみよう。そのサービスインにあたってはAPI解放も同時にやるべきだ。API解放することで、iTunes Unlimitedのコンテンツをアプリに組み込むことができ、デベロッパーにとっては新ジャンルのアプリやサービス展開が可能になる。iTunes Unlimitedを使って広告表示するようなフリーライドアプリが問題なのであれば、規約で縛ってリジェクトすれば良いのだ。
・iOSとOSXアプリを相互移植するSDKの整備
OSXとiOSアプリは、どちらもObjective-Cで記述するという点は共通で、コード部分は基本的にほぼ同じ。ただし、iOS→OSXへの移植は、画面サイズも画面比率もまったく異なるため、UI実装やデザインが結構面倒なことになる。これを、SDKの整備で吸収できるようにする。完璧を求めず簡易コンバートで良ければ、これは意外といけそうな気がする。
無数に存在するiOSアプリの0.1%でも移植できれば、MacAppStoreにはずいぶんとアプリが増えることになる。たとえばMailboxみたいな人気のアプリがMacにない、っていうのはちょっと勿体ない話だと思うんですよね。
この3つの予測。要望も多分に含まれているけれど“ナシ”ではないし、実現可能性もあると思うけれどどうでしょう? 特にAPシステムは多くのアップルエコノミーに関係する人たちにメリットがあって、ユーザーメリットも多い。AmazonがやるならAppleも、となるのかどうか。WWDC2013はこの辺りも気にしつつ観戦すると良いかもしれない。
●関連リンク
WWDC2013公式ページ
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります