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Apple基調講演14 Retina搭載iPod touchほか革新に満ちたイベント|Mac

2013年06月09日 20時00分更新

■もう一人のスティーブも駆けつけた

 ここ数年来、Appleは米国のホリデーシーズン(11月下旬の感謝祭以降)を前にiPodシリーズを更新するのが恒例となっていた。Appleは関係者やメディアをスペシャルイベントに招待する際、具体的な内容は明かさない。とはいえ、2010年のこのイベントで送られてきた招待状のイメージにはギターが用いられており、時期的にもiPodシリーズの発表であることは予想されていた。

 それでも、このイベントはサプライズに満ちていた。冒頭、ステージに上がったジョブズは、観客席にある人物を見つけて嬉しそうに笑った。ジョブズとともにAppleを創業したスティーブ・ウォズニアックが参加していたからだ。往年のAppleファンからすれば、このワンシーンだけでも心が温まる。いいムードに包まれて、イベントは始まった。

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■リテールストアの世界展開が順調に進行中

 序盤はいつも通りの業績報告。特にこの回では、Appleのリテールストア(路面店)が順調に店舗数を増やしていることを強調。パリやロンドンでは、歴史的な建築物をリフォームして現地の景観を損なわないデザインにした一方、上海ではガラスの円筒をエントランスにした未来的なデザインを採用するなど、Appleらしいこだわりを披露した。リテールストアの数が全世界で300件に達したと報告した。

 ちなみにこの成功の裏には、当時ワールドワイドセールス&オペレーションズ担当上級副社長だったティム・クックの活躍があるはずだが、クックが特に壇上に呼ばれることはなかった。1時間強にわたるこのイベントは、ほぼジョブズのワンマンショーだった。ジョブズとしては、自らの健在ぶりをアピールする意図があったのかもしれない。

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■前菜:iOS 4.1と同4.2

 前振りを終えたジョブズは、約3カ月前に登場したばかりのiOS 4が4.1にアップデートすることを発表。主な変更点は、カメラアプリがHDR撮影に対応、WiFi経由でのHD動画の転送に対応、「Game Center」の搭載……など。特にGame Centerのデモに力を入れたのは、後ほど登場する新型iPod touchの販促を意識したものだろう。また、無線LAN圏内で音楽をストリーミング配信する技術「AirTunes」が、写真や動画もサポートして「AirPlay」と改称することが告げられた。

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■メインディッシュ1:新iPodシリーズ

 続いて、本イベントのメインであるiPodシリーズの新機種の発表。iPod shuffleはボタンの復活と小型化、iPod nanoはマルチタッチ対応と小型化を実現し、それぞれ5色、7色のカラーバリエーションが用意された。nanoは前世代から形状やコンセプトを大きく変化させたが、それはnanoがもはやiPodシリーズの主役ではなくなったことを意味していた。

 では主役はどの機種かといえば、もちろんiPod touchだ。第4世代となるこのモデルでは、本体のデザインこそ大きく変わることはなかったものの、Retinaディスプレイの採用をはじめ、Apple A4チップの搭載、フロントカメラ装備、HD動画撮影のサポートなど、大きくスペックが上がった。ジョブズはiPod touchを指して、「任天堂やソニーの製品よりも売れている、世界でナンバーワンの携帯ゲーム機」だと言った。実際、touchがゲーム専用機を脅かす存在になっていたのは確かだ。

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■メインディッシュ2:iTunes 10

 さらにiTunesのメジャーアップデートも発表された。バージョン10になり、インターフェースのデザインが大きく変わって現行バージョン(11)に近づいた。新iTunesの目玉機能として発表されたのは、音楽に特化したSNS機能の「Ping」だ。ジョブズのデモにも熱がこもっており、AppleがSNS分野に進出するということで、当時は話題になった。しかし、結局はあまり支持されず、2012年9月でサービス終了となる。

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■デザート:第2世代Apple TV

 「"One more thin"ならぬ"One more hobby"」として最後に発表されたのは、第2世代のApple TVだった。2006年に初代モデルが登場して以来ほとんど何も進化しなかった周辺機器が、4年の沈黙を破ってアップデート。ストレージを内蔵しないストリーミング再生に特化した小型セットトップボックスとして生まれ変わった。大幅な低価格化もあってこの路線は成功し、現在も人気アイテムのひとつとなっている。

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■スペシャルゲストはナシ

 Appleの音楽関係のイベントでは、ミュージシャンによるライブ演奏で閉幕するのが常だったが、今回はなかった。

 なお、3カ月前のイベントでジーンズにベルトを巻くようになったことを述べたが、当時もそれに気づいた者がいたのだろうか。これまでジョブズはシャツの裾をズボンに入れるタックインスタイルだったのだが、今回は裾でベルトを隠すようにしていたが印象に残った。

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