6月4日より台湾で開催中の『COMPUTEX TAIPEI 2013』にて、マイクロソフトがパートナー企業や報道関係者向けのフォーラムを開催し、Windows 8.1の“スタートボタン”やWindows RTのアップデート、そして未発表の小型タブレットなど多数の新情報を披露しました。
↑COMPUTEX内のイベントとして開催されたマイクロソフトフォーラムの会場。
■スタートボタンがついに復活、デスクトップ直接起動も
マイクロソフトが行なった発表のなかでも、会場から拍手が起きたのはWindows 8.1のスタートボタンです。すでにほかのイベントでスタートボタンが“復活2することが公表されていたこともあり、COMPUTEXで初披露というわけではないものの、スタートボタンの人気ぶりがうかがえる一幕でした。
↑Windows 8.1のデスクトップ。左下に注目。
↑スタートボタンが復活!
ただこれは、Windows7のようにスタートメニューが表示されるのではなく、スタート画面に戻るためのボタンとなっています。これをもってスタートボタンが“復活”したといえるのか、その振る舞いについては今後も賛否両論となりそうです。
スタートボタン以外にも、オプションとして“起動時に直接デスクトップを開く”という設定ができるようになりました。毎回スタート画面からデスクトップを開いていた人にとって、手間が減ることになります。
↑設定により、起動時に直接デスクトップを開くこともできる。
スタート画面にデスクトップの壁紙を表示することも可能になりました。アプリ一覧画面でも有効となっています。
↑アプリ一覧の背景に、デスクトップの壁紙が表示されている。
この設定を有効にすると、あたかもデスクトップ上にModern UIの画面がオーバーレイ表示されるかのように見えることがわかります。これまでまったく別の世界と思われていたデスクトップとModern UIですが、両者は少しずつ歩み寄りはじめているといえるのではないでしょうか。
■小型タブレットにOfficeを同梱するキャンペーンも
Windows8の新情報について、これまでに何度もWindows8の大型発表を行なってきたことでおなじみの、米マイクロソフトのタミ・レラー氏が登場。
↑Windows 8の発表会でおなじみの米マイクロソフトWindows部門CFO兼CMO、タミ・レラー氏。
レラー氏は小型タブレット向けのキャンペーンとして、Officeアプリケーションを同梱することを発表しました。具体的には、OfficeアプリのうちWord・Excel・PowerPoint・OneNoteをバンドル。これは海外で提供されている『Office Home and Student 2013』に相当します。
このエディションは名前のとおり、家庭や学業における利用に限定されており、仕事用としては利用できないことが特徴です。これをプリインストールした小型タブレットを、新学期商戦に向けて提供するわけです。
↑小型Windows 8タブレットにOfficeを同梱。
というのも、海外では新学年が9月に始まる地域が多いため、8月ごろには進学や進級に備えたアイテムの需要が大きく高まります。
気になるのは日本です。日本の8月は新学期商戦という時期でもないうえに、『Home and Student』版は提供されていません。今回の施策が日本でどのような扱いになるのかは、日本マイクロソフトに確認中です。
■縦位置で使いやすいタブレットが続々登場か
ICONIA W3といえば、Windowsボタンの位置が長辺から短辺に変わり、縦持ちで利用しやすくなったのが特徴です。さらにタイムリーなことに、本イベントでは縦持ち利用を想定した小型Windowsタブレットが次々と披露されました。
まずはAMDの『Temash』を搭載しているという、8インチのWindows8タブレットです。TemashはAtomに似た位置付けのプロセッサーで、x86アーキテクチャーのため、既存のWindows8アプリがそのまま動作します。
↑AMDのTemashを搭載しているという8インチタブレット。
このTemashタブレットは、画面のアスペクト比がICONIA W3とは異なるとのこと。写真で見るかぎり、4:3の画面と思われます。画面解像度は不明ですが、Windows8では最低1024×768ドットの解像度に対応しています。
次に、レノボの8インチタブレットも披露されました。こちらはWindows8が起動していないため、まだまだプロトタイプと思われますが、非常に薄くて軽いとのこと。
↑Lenovoの8インチタブレット。画面は表示されていなかった。
これら2台の8インチタブレットに共通しているのは、Windowsロゴがタブレットの“短辺”側に付いていることです。さらにICONIA W3とは異なり、Windowsロゴの向きも完全に縦を意識していることが特徴です。Lenovoのロゴについても、縦位置で正しく見える向きに配置されています。
とはいえ、小型のWindows8タブレットがすべて縦位置を意識しているわけでもなさそうです。同じくステージで紹介された7インチのInventec製タブレットは、従来と同じく長辺側にWindowsボタンがあります。Windowsボタンの位置について、必ずしもルールがあるわけではないようです。
↑Inventecの7インチタブレット。Windowsボタンは長辺側に配置。
このように小型タブレットは、縦位置での利用をかなり意識していることがわかります。とはいえ、Windows8は縦位置でも使えるものの、使い勝手が微妙……と感じている人も少なくないはず。
これについてタミ・レラー氏は、Windows8.1において縦位置のサポートを改善することを発表しました。具体的な改善内容は今後の発表を待ちたいところですが、Windows8.1からは、小型タブレットが急速に存在感を増してくるかもしれません。
なお、Windows8.1へのアップデートは既存のWindows8ユーザーに無償で配布される予定です。
■Windows RT 8.1でOutlookや最新プロセッサーに対応
今回のCOMPUTEX TAIPEI 2013では、QualcommがWindows RT 8.1のサポートすることを表明発表したことが話題となっています。Microsoftからも、Windows RTについて新情報が出てきました。
まずは、以前から噂されていたデスクトップ版『Outlook RT』について、Windows RT 8.1で提供されることが明らかになりました。なお、レラー氏は『Windows RT 8.1』という表現は使っておらず、正確には『Windows RT向けWindows 8.1アップデート』となるようです。既存のWindows RTユーザーも、Windows8.1アップデートを適用することでOutlook RTを使えるようになります。
↑Outlook RTや新プロセッサー対応などWindows RTも大幅強化。
これまでWindows RTにはWord・Excel・PowerPoint・OneNoteのデスクトップ版アプリがプリインストールされていましたが、特に海外のビジネスユーザーにとって必須といわれるOutlookについては同梱されていませんでした。ほかにもWindows RT 8.1には、Windows RTを本格的にビジネス活用できるようなアップデートが含まれている可能性があります。
対応プロセッサーについては、Qualcommのほか、Intelのタブレット向け次世代Atomプロセッサー『Bay Trail-T』や、NVIDIAのTegra4に対応することが発表されました。すでにIntelはBay Trail-Tを搭載したWindowsタブレットをデモしており、今後の製品発表が期待されます。
Windows RTタブレットについては、パートナーの拡大を発表。これまでにWindows RT端末を手がけてきたASUSやLenovo、Dell、Samsung以外のパートナーが登場する可能性が出てきました。
さらに詳しい情報は6月26日からの『BUILD』カンファレンスで発表されることが期待されています。
山口健太さんのオフィシャルサイト
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