■肌着メーカーがなぜタッチパネルを?
「グンゼ」と聞いて多くの人が連想するのは下着や肌着類でしょう。そのグンゼが、電子機器用のタッチパネルも製造しているのをご存知でしたか? タッチパネルといえばもちろん、スマートフォンやタブレット、Windows8搭載のPCなど、最先端のデバイスに用いられるパーツであり、その市場は日々拡大を続けています。グンゼの製品の質は高く、すでに組み込み部品の業界では一定の地位を築いているのです。
では、そもそもなぜ、アパレルメーカーだったグンゼが、タッチパネルを製造するようになったのか? 大きな転機となったのは、1950年代から始めた「ナイロン製靴下」の事業です。包装用の資材(袋)の生産からスタートし、やがてプラスチック製品の加工や製造を手掛けるようになり、そこからエンジニアリングプラスチック、光学フィルム事業を展開していき、やがて光学フィルムを使用したタッチパネルも製造するようになった……というのがざっくりとした経緯です。身近なところでは、ペットボトルなどのラベルとして使われるプラスチックフィルムにも、グンゼの製品が採用されています。
■時代のニーズを反映して事業の大きな柱へ成長
当然ながらこの分野の成長は著しく、同社の業績にもそれが見事に現れています。2012年の業績では、売上高ベースではアパレル事業が50%以上を占める半面、営業利益ではなんと75%が機能ソリューション事業なのです! ただし、この事業には前述したようなプラスチックフィルムやメカトロニクス事業、メディカル材料事業も含まれます。この中でタッチパネルがどれくらいを占めるのかはわかりませんが、とにかくグンゼにとって重要な部門のひとつであることは確実です。
※写真はイメージです。 |
■静電容量式の大型タッチパネルも製造
静電容量式タッチパネルとは、スマホやタブレットなどに使われている指でタッチして操作するタイプのパネルです。Windows8ではパソコンにもタッチインターフェースが採用されたため、タッチパネルを搭載したパソコンも登場しています。グンゼではこうしたニーズにもいち早く対応し、さまざまなサイズのタッチパネルを製造しています。守秘義務の関係で納入先は明かせないとのことですが、結構大手も採用しているようです。
過去の例で言えば、2006年に発売された「PRADA Phone by LG」はグンゼのタッチパネルを採用していたそうです。プラダフォンといえば、初代iPhone(2007年)よりも先にタッチインターフェースを採用して登場した、いわばスマホの原型とも言うべき端末です。タッチパネルのメーカーとしては、相当な実績があるのは間違いありません。
■高付加価値の製品も得意
各種のプラスチックフィルム製品を製造しているグンゼの強みは、それらを組み合わせた高付加価値のパネルを製造できる点です。例えば、指紋が付きにくいフィルムや、ブルーライトをカットするフィルムを自社内で調達し、それらの素材でコーティングしたパネルを比較的低コストで作れるというわけです。タッチデバイスのメーカーからしても、これは大きな魅力と言えます。
残念ながら、2013年のAppleのサプライヤーリスト(外部サイト)には「GUNZE」の文字は見当たりませんでした。少なくとも今年生産されるApple製品にグンゼのタッチパネルは搭載されていないと思われます。しかし、同社が世界に通用する技術を持っているのは確か。来年のサプライヤーリストも、ぜひともチェックしたいところです。
(2013年6月5日16:45追記)一部の内容と写真に誤りがありましたので修正いたしました。
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