■先端工業×伝統工芸=現代の「粋」
モータースポーツ好きなら、「モリワキ」ことモリワキエンジニアリングのことはご存知でしょう。レーシングバイクの製造販売を手掛け、レースにも積極的に参戦している老舗。高精度の金属加工技術を持つ、業界トップクラスの匠の集団でもあります。
一方、「印傳」とは革を用いた日本の伝統工芸品で、なめした鹿革を染色し、漆で模様を描いたもの。和物の財布や巾着袋にしばしば使われる素材で、その歴史は400年以上前にさかのぼるといいます。東京の浅草に店舗を構える「前川印傳」は、その伝統をいまに受け継ぐ印傳製品のブランド。
この「‘otsuriki’ iPhone 5 cover」は、そのモリワキと前川印傳のコラボによって生まれた、日本でしか作り得ないiPhone5カバーです。プロデュースは、日本のものづくりを新しい角度から見直し、現代的なプロダクトを次々と生み出してきた「丸若屋」。企業名は知らなくても、丸若屋が手掛けたプロダクトを見たことがある人は多いはず。
■高精度の加工技術による滑らかなアルミの肌
それでは、このiPhone5カバーのすごさを紹介していきましょう。まずは構造ですが、2枚のアルミ削り出しのフレームで、iPhone5本体と印傳のプレートを挟み込み、四隅を六角ボルトで留める方式です。
実際に装着してみるとわかりますが、このフレームのフィット感がすごい。ピターっと吸い付くようにiPhone5がはまるんです。組み立てると、パッと見だけではフレームの境目がわからないほど滑らか。しかもフレームが細いので、iPhone5のデザインを損ないません。これだけ精密かつ細く仕上げるには、極めて高い加工技術が必要なんです。丸若屋の広報の方によれば、少々の力では歪んだり曲がったりしない強度を保つための、ギリギリの細さだそう。
ニクいのは、これだけの加工技術を取り入れておきながら、アルミ素材だということを主張していない点。滑らかな丸みを帯びたエッジと、マットな黒のカラーリングは、非常に滑らかで軽やかな印象。実際に持ってみても金属とは思えないほど軽いんです。でも実際に触ってみると、硬くてヒンヤリとした金属の質感あり、見た目とのギャップに驚きます。フレームの裏側にさり気なく彫り込まれた「MORIWAKI ENG.」のロゴも、マニア心をくすぐります。
■印傳プレートの柄は4タイプを用意
印傳プレートのデザインは4種類。波のうねりを表す半円が重なった「青海波」、縁起物を集めた「宝づくし」、六角形を基礎とした幾何学模様の「麻の葉」、卍紋を菱形に崩した形を組み合わせた「紗綾形」という、日本の伝統的な図柄を採用しています。
手触りのいい革の地にツヤのある漆で描かれたパターンが、光の加減でしっとりと輝くさまがシブかっこいい。黒地に黒の模様というのもクールです。革と漆、いずれも使い込むごとに風合いが変わっていき、それを楽しめるのも印傳のよさ。わかる人に見せたら、うらやましがられること間違いなしです。
ここまで読んだ人から、「でもお高いんでしょう?」という声が聞こえてきそうですが、まあ正直言って高いです。iPhoneカバーとしては。でも「技術」あるいは「質」への対価と考えれば、むしろ安いかもしれません。それだけの高い技術と素材がつぎ込まれているのは確かです。たかがiPhone5カバーにそこまでするか? ということを本当にやってのけるのが、そしてそれに見合うお金をスパーンと払うのが、粋なやり取りってやつなんじゃないでしょうか。
本製品は、丸若屋のウェブサイトから購入記できるほか、代官山蔦屋書店で展示販売されます。なお、丸若屋ではプレートのみの販売も予定しているとのこと。印傳以外の素材を使ったプレートも企画しているとか。今後の展開も楽しみですね。
‘otsuriki’ iPhone 5 cover
価格:1万6800円(税込み)
カラー:黒/柄4種(青海波、宝づくし、麻の葉、紗綾形)
問い合わせ:丸若屋(外部サイト)
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