2009年9月9日に開催されたスペシャルイベントのテーマは「音楽」。新しいiTunesやiPodシリーズが発表された。しかし、このイベントの最大のニュースは、スティーブ・ジョブズが復帰したことだ。同年の初頭に開催されたMacworld Expoを欠席し、長期休養に入っていたジョブズ。その彼が登壇すると、会場はのっけからスタンディングオベーションに沸いた。
■ファンと社員たちに贈られた謝辞
オープニングから1分以上にわたって喝采は鳴り止まなかった。少し照れたような、申し訳なさそうな顔をしたジョブズは、「ありがとう」と何度も繰り返した。会場が落ち着くと、ジョブズは自分が肝臓移植を受けたこと、そしてその臓器のドナーは交通事故で亡くなった20代の若者であることを告白。そして、自分の留守を守ってくれたティム・クックをはじめとする社員たちへの謝辞を述べた。げっそりと痩せたジョブズの姿を、人々はどのような思いで眺めただろうか。顔色こそ健康そうに見えたものの、心なしか声の張りも以前より弱く感じられた。
■iPhoneの業績報告とiTunes 9の発表
「さて、ご承知の通り今日は音楽に関する発表だ」と、ジョブズは本題に移った。まずはジョブズ自ら、iPhone関連の業績を報告。累計3000万台のiPhoneが売れたこと、App Storeには7万5000本のアプリが登録されており、18億ものコンテンツがダウンロードされたと述べた。
続いて、iPhone OS 3.1の発表。アプリ向けのGenius機能の追加や、着信音の販売が始まることが主な変更内容だ。続いて、メジャーアップデートとなるiTunes 9を紹介。インターフェースを刷新し、iPhoneのホーム画面の編集機能やiTunes LPなどが追加された。実動デモを行ったのは、iTunes開発担当副社長のジェフ・ロビンだ。なお、iTunes LPは、アーティストの楽曲に加え、ジャケット画像やライナーノーツ、歌詞やビデオコンテンツなどを一括購入できる仕組みだ。
■iPodの新ラインアップをシラーがプレゼン
後半に登壇したのは、マーケティング担当上級副社長のフィル・シラー。iPodシリーズの新ラインアップを次々と発表していった。とりわけ大きく扱われたのは、第3世代のiPod touchだ。容量が32GBと64GBと第2世代から倍増しつつも、価格帯は引き下げられた。パフォーマンスも向上しており、特に携帯ゲーム機としての利用が増えていることを強調。コンテンツが豊富かつ安価で、ニンテンドーDSやPSPといった専用機よりも魅力的であると豪語した。
また、iPod classicやiPod shuffleはそれぞれマイナーアップデートし、classicはストレージ容量が従来の120GBから160GBへと増量。shuffleはカラーバリエーションが5色に増えた。
■ジョブズによる久々の「One more thing」
講演を締めるべく最後に登壇したのは、やはりジョブズ。お約束の「One more thing」(あともうひとつ)として、動画撮影に対応した第5世代のiPod nanoを披露した。メジャーアップデートとはいえ、iPodの新ラインアップとしてシラーが発表してもよかったところだ。しかし、あえて「One more thing」としてジョブズが発表することで、講演自体にメリハリをつけつつ、カリスマの復帰を観衆に印象づける狙いがあったのだろう。
恒例のスペシャルゲストは、グラミー賞シンガーであるノラ・ジョーンズ。2曲を披露し、ジョブズと抱擁。暖かいムードに包まれながら、1時間強の短いイベントは幕を閉じた。
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