■入力機器にこだわってこそ真のMac使い
どうですこの凜然たるたたずまい! 大宮技研の「英数/かなキーボード for Macintosh」は、文字通り「英数」「かな」キーのみを搭載したMac専用の外付けキーボードなのです。削り出しのアルミ製のケースは、表面がMac本体と同じマット仕上げになっています。キースイッチとキートップは、高品質なメカニカルキーで知られるドイツのCherry社製。しかも、キースイッチの「軸」を、打感の異なる赤・黒・白・茶・青の5種類から選べるのです。
本体価格は1万2800円。Apple純正のBluetoothキーボード約2台分のお値段です。ふざけてるって? とんでもない。本当に必要な人のためにしか作らない受注生産品だからこそ、このクオリティーであり、価格なのです。意識高い系でクールでギークな読者諸兄には釈迦に説法かもしれませんが、ではなぜこんな製品が必要なのか、説明いたしましょう。
■英語キーボードの効率をさらに上げる
ご承知の通り、コアなMacユーザーには英語キーボード(US配列)の愛用者が多いんです。通常の日本語キーボード(JIS配列)しか使った人にはピンとこないかもですが、US配列とJIS配列ではキーのレイアウトが微妙に異なるんですね(下図参照)。「option」や「caps」といった修飾キーの位置が異なるほか、「return」や「delete」キーのサイズも違います。また、「@」や「+」などの記号の位置も違うため、キー入力が多い人にとっては作業効率を大きく左右するポイントなのです。
ただ、US配列の利用者にとってJIS配列がうらやましい点がひとつだけあります。それが「英数」「かな」キーの存在です。ひらがなと半角英数の切り替えのための専用キー。US配列では「command」+スペースキーで入力モードを切り替えるのが一般的です。同じ操作で機能を順次切り替えることを「トグル」と呼びますが、「command」+スペースのトグルの場合は、1回の切り替えに2つキーを押す必要があります。これに対し専用キーは1つ。2本指と1本指の差。この差が大きいんです。
■「MAKERS」の精神を日本風に解釈
ところで、米国「WIRED」誌の編集長クリス・アンダーソンの著作、「MAKERS」をご存知ですか? MAKERSの思想をすごくザックリ言うと、「欲しいと思ったものは自分で作っちゃいなよ、それを他に欲しいと思った人がいたらシェアしちゃいなよ」という感じです。パソコンをはじめ、あらゆるデジタル機器がこれだけ身近になったいま、やろうと思えば誰でも「メーカー」になれるというわけです。いま読むべき本の筆頭と言えましょう。
この「英数/かなキーボード for Macintosh」は、開発者の大橋修氏が、MAKERSの発想と日本のものづくりを結び付けて世に送り出したものなのです。機器本体の設計やプログラミングは自分で手掛け、キースイッチは定評のある既成パーツを使用。そして、デザイン上最も重要となるアルミケースの加工は、大田区蒲田にある町工場に依頼したと言います。つまり本製品は、こうした分業体制による新しいMAKERSのあり方の提案でもあるわけです!
■厚みのあるキーボードとのセット利用を推奨
結局のところ、いちばん高くつくのはアルミ加工の初期コスト。大橋氏によれば、1万2800円という価格設定は「10個売れれば初期コストの元が取れる」ラインだそうです。もともとこの製品で儲けるつもりもないので、10個売れたら設計等の仕様を公開し、誰でも利用できるようにする予定とのこと。まさにMAKERSの精神ですね。
サンプル品を触った印象は、カスタムメイドらしさを残しつつも、非常に高品質という感じ。参考までに、色んなキーボードと組み合わせた写真を掲載します。やはり、厚みのあるキーボードと相性がいいです。どうです、いい感じでしょ?
英数/かなキーボード for Macintosh
●価格:1万2800円(税・送料込み)
●納期:約3週間(受注生産のため)
●カスタマイズ:注文時にキーの軸色、ケーブルの取り出し方向、キートップの色を指定可能
●問い合わせ:大宮技研(外部サイト)
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