Xperia Zなどスター級Android機を発表し続けるドコモの宿命
2013年01月23日 16時00分更新
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1月22日、NTTドコモが春商戦向け新製品発表会を行なった。
例年、NTTドコモの新製品発表会と言えば、幅広いユーザーに向けて端末ラインアップが数多くあるというイメージが強い。「お客様のためにバラエティー豊かにそりえた」といえば聞こえはいいが、「寄せ集めすぎて、明確なターゲットが見えてこない」とも言えた。「ドコモは誰に向けて商品を開発しているのか」というのがさっぱり伝わってこないのだ。
しかし、今回の新製品発表会はひと味違って見えた。
Xperia ZとXperia Tablet Zを全面的に持ち上げて、加藤薫社長が「イチオシ」とまで言い切った。これまでのドコモと言えば、比較的、すべてのメーカーを対等に扱う傾向が強かった。だが、今回はデザイン的に一新し、タブレットとの連携に優れるXperiaをこれでもかと押し出した。iPhone、iPadでシェアを伸ばすライバルを相当、意識した構えなのだ。
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この春商戦発表会では、Xperiaとともに“フルHD”というのがキーワードになっていた。NTTドコモの社内資料には「5インチのフルHDによって、ppiは440。これはiPhoneよりもピクセル密度が高くて綺麗である」と明記。MNPで負けっ放しのiPhoneよりもスペック面ではるかに優れている点がアピールされている。
つまり、画面が美しいとされるiPhoneを出し抜こうという戦略が見えてくる。
もうひとつ、NTTドコモがターゲットして狙いを定めていたのが、KDDIの『HTC J butterfly』だ。HTC J butterflyは昨年12月に発売となり、5インチのフルHDということもあり、au冬商戦モデルの中で、唯一のヒット商品となった。発売直後から品薄状態が続き、ほかにもGALAXY SIIIやOptimus G、Xperiaなどがあるなか、「HTC J butterflyしか売れていない」とKDDI関係者が愚痴をこぼすほど売れまくっているスマホとなっている。
NTTドコモとしては、売れているHTC J butterflyをターゲットにし、5インチでフルHDを店頭で訴求していく構えだ。「KDDIで売れているフルHDが、ドコモには4機種も揃っている」というのが魅力だ。フルHD画質を生かすために、ブルーレイレコーダーに録画してある番組をスマホで見られるアプリとの連携も訴求していく。
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当然のことながら、iPhoneで契約者を奪っていくKDDIやソフトバンクに対して、NTTドコモは当面、Android一本で勝負を挑んでいかなくてはいけない。“WindowsPhone8”や“Tizen”といった新しいプラットフォームの採用も検討しているようだが、商品競争力が出てくるのはしばらく先だろう。
iPhone導入の可能性について、加藤薫社長は「アップルから課せられるiPhoneのノルマがドコモ全体の2~3割程度に収まるならば、ドコモがiPhoneを販売する可能性はある」とコメントしている。
ドコモがiPhoneを導入するには、iPhoneが入ってきても、Androidが7~8割売れ続ける必要がある。もちろん、iPhoneを導入するまでは、既存のユーザーを囲い込み、他社に逃げられないような強力なAndroidラインアップがなくてはならない。つまり、iPhoneを扱うにせよ、扱わないにせよ、NTTドコモはiPhoneに勝てるだけのAndroidの商品競争力をつけていく必要があるというわけだ。
今回、Xperia Zはじめ、2画面スマホ『MEDIAS W』など、個性的で競争力のあるラインアップをそろえることができたが、これでiPhoneに勝てるかは未知数。しかし、これからもこのような「スター級のAndroid」を出し続けることが、NTTドコモに課せられた宿命なのだ。
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