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『キューティーハニー』 『ベルサイユのばら』 『聖闘士星矢』などを手がけた天才アニメーター 荒木伸吾回顧展が秋葉原で開催

2012年11月14日 21時30分更新

荒木伸吾回顧展が開かれる。
その名を聞いて、ピンと来る人は、私のようなおっさんか、ディープなアニメファンの方に違いない。だが、その絵を見れば、「あぁ」とうなずかれる方は多いはずだ。

荒木伸吾は、1970年代の頭から昨年12月にこの世を去るまで、日本のアニメ史上に多大な影響を残した偉大なアニメーターだ。

古くは『アタックNo.1』(1969年)の作画を皮切りに、『あしたのジョー』(1970年)では作画監督を務め、『魔法のマコちゃん』(1970年)、『デビルマン』(1972年)など、多くの人気アニメに関わってきた。

荒木伸吾回顧展
↑初期に携わったアニメ作品の原画やラフ画。

そして荒木人気を不動のものにしたのが、今も熱狂的ファンに支持される、1973年に放映された『バビル二世』と『キューティーハニー』だ。荒木は、そのキャラクターデザインと作画監督を務め、美形キャラを創造するアニメーターとして多くのファンを獲得。その後も、『魔女っ子メグちゃん』(1974年)、『UFOロボ グレンダイザー』(1975年)、『ベルサイユのばら』(1979年)など、立て続けに人気作品を手がけ、ことにグレンダイザーなどは、フランスやイタリア、イラクなどでも放映され、フランスでは今もって荒木キャラは絶大な人気を博しているし、イラクでは、荒木キャラがペイントされた痛車は襲われないなどというウワサが立つほどの人気だという。

昨今のアニメファンには、『聖闘士星矢』(1986年)や『リングにかけろ』(2004年)など、車田正美原作アニメのキャラクターデザイナーとしてのほうが馴染みがあるかもしれない。1986年に放映された聖闘士星矢は、やはり息の長いロングヒット作となり、荒木晩年の代表作となっている。

荒木伸吾回顧展
↑『ベルサイユのばら』など多様な作品を手がけた時期。
荒木伸吾回顧展
↑最も脂の乗った時期に手がけた『ダンガードA』のセル画。

その荒木伸吾の没後1周忌にあたる今年、子息・荒木伸二氏によって、荒木伸吾回顧展『瞳と魂』が、11月14日(水)~12月10日(月)までの間、東京・秋葉原の3331 Arts Chiyodaにて開催される。写真撮影は不可だが、入場は無料で、荒木伸吾のデザイン画やアニメ原画など、貴重な資料を直に見る機会が得られる。
現存する荒木の手がけた絵の多くは、アニメスタジオや事務所の資料の山の中から、はたまた荒木の親戚筋へ寄贈したものを借用してきたものなど貴重なものも多く、展示物こそそれほど多くはないのだが、年代別に、この稀代の天才絵師(といって差し支えないと思う)の手がけた原画やセル画、ラフスケッチ、はたまた晩年に描かれた漫画などの作品が展示され、その変遷を追うだけでも、その偉業に驚かされる。

荒木伸吾回顧展
↑荒木伸吾の子息、伸二氏。折りよく会場に居合わせれば、荒木の仕事振りのお話なども聞かせてもらえるかも。

さらに荒木の仕事を仔細に知りたければ、同会場にて販売されている380ページからなる図録を手にとってみるといい。これほどまでに多大な功績を残した荒木だが、これまで個人の画集のようなものは世に出ておらず(姫野美智との共同名義のイラスト集は発売されている)、この図録は、それだけでもかなり貴重なものといえる。また、ひとりの漫画家、アニメーターの軌跡を、デビューから晩年に至るまで年代別に追ったライフログとしても、かなり興味深い1冊である。

荒木伸吾回顧展

ともあれ、秋葉原に足を向けた折には、ぜひ稀代の傑出アニメーターの仕事を、直接その目で見届けて見て欲しい。多くの著名アニメーターが、後年、監督業などに転身する中、終生、絵を描くことにこだわり続けた荒木伸吾。その残された絵の中に、荒木の線が、瞳が、魂が、未だ息づいていることを実感できるだろう。

荒木伸吾回顧展

荒木伸吾回顧展『瞳と魂』
会場:3331 Arts Chiyoda B104
会期:2012年11月14日(水)~2012年12月10日(月)
開催時間:12:00~19:00(※木曜日は21時まで。最終入場時間は閉館の30分前)
料金:無料
住所:〒101-0021
東京都千代田区外神田6丁目11-14
※休館日:火曜日

関連サイト

荒木伸吾回顧展『瞳と魂』

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