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【ABC2012秋】復興支援をテーマに、MSや高校生がICTの活用法を語る

2012年10月23日 23時00分更新

 先週土曜、10月20日に東北大学百周年記念会館 川内萩ホールで『Android Bazaar and Conference』(以下、ABC)が開催された。

会場の川内荻ホール
ABC2012in東北大学
↑東北大学川内南キャンパスにある東北大学百周年記念会館 川内萩ホール。2007年に創立100周年を記念して、東北大学記念講堂を全面的に改装したという。JR仙台駅西口からバスで15分ほどで到着する。

 ABCとは、日本アンドロイドの会が、定期的に開催しているAndroidアプリ開発者向けのカンファレンス。今回のカンファレンスでは“Earthquake Reconstruction Aid”(以下、ERA)、つまり震災復興支援テーマに掲げ、『ICT ERA+ABC 2012 東北』として宮城県仙台市で開催した。

 カンファレンスで登壇した日本アンドロイドの会の理事長を務める丸山不二夫氏は「日本では防災情報の伝達経路にインターネットが含まれていない。欧米では、インターネットを活用している」と語り、ICTに対する認識の弱さを指摘した。

日本アンドロイドの会理事長 丸山不二夫氏
ABC2012in東北大学
↑欧米のように、防災情報は携帯電話だけではなく、スマホやタブレットなどあらゆるデバイスに配信するべきと語った。

 そのうえで、若い世代にも期待するとして、高校生ながらLinuxのカーネル開発の経験者である矢倉大夢氏など3名を紹介。ICT教育の現状や地域コミュニケーションとSNSの活用などをテーマに語り、集まった聴衆に改めてICTの重要性を問いかけていた。

灘高等学校1年生 矢倉大夢さん
ABC2012in東北大学
↑高校1年生ながらも、Linuxのカーネル開発の経験を持つ矢倉さん。現在の学習指導要領では、めまぐるしく変化するICTに対応できないと語り、情報教育のあり方を問いかけていた。

 カンファレンスには、インテルの取締役副社長である宗像義恵氏も登壇。ICT支援応援隊の結成など、インテルが実施してきた復興支援を紹介。また「日本は人と技術の共存させるのが得意。日本発の技術を世界へ広めていきたい。そのためには、世界に通じる人材の育成が必要である」と語り、埼玉県教育委員会、東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構と共同で展開している21世紀型スキル教育『Intel Teach』を通じて、グローバルに活躍できる人材育成を目指すとした。

インテル取締役副社長 宗像義恵氏
ABC2012in東北大学
↑自身も兄弟が福島県に在住しており、12日にかろうじてメールで安否確認ができたと言う。通信インフラの重要性を語り、WiMAXの普及なども提案していた。

 また驚くことに、Androidのカンファレンスであるにも関わらず、日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏が登壇。同社の復興支援に対する取り組みを紹介したのち「被災地域を含め地方の限界集落は、やがて消滅の危機にある。ICTを活用することで、それを防ぎ、過疎地に活気を取り戻すことも可能だ」と語った。

 その後、同社のコミュニケーションツール“Lync”を使ったデモンストレーションを実施。徳島県神山町で地域再生に取り組んでいるNPO法人グリーンバレーの理事長である大南信也氏と、現地にサテライトオフィスを開設したダンクソフト代表取締役の星野晃一郎氏を“Lync”で会場と結び、オンライン会議風に会話が進行。地方で仕事をこなすといったスタイル提案をした。

日本マイクロソフト代表執行役社長 樋口泰行氏
ABC2012in東北大学
↑スピーチの最後に10月26日に発売する予定のWindows 8も、しっかりPRもしていた。
“Lync”のデモンストレーション
ABC2012in東北大学
↑NPO法人グリーンバレーの大南信也氏は徳島から、ダンクソフトの星野晃一郎氏は千葉から会場にアクセスしていた。ICTが地域再生に貢献している一例。

 今回のカンファレンスでは“震災被害を忘れない、風化させない”、“被災地でのIT産業の振興”、“IT技術を活用して災害に備える”、“Androidの開発とビジネスの全国交流”といった4つの目標を掲げており、上記の登壇者のほかにも、ICTを活用した活被災地の復興支援に向けて、さまざまな提案が語られていた。

●関連サイト
『ICT ERA+ABC 2012 東北』公式ページ

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