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耳もとでタッチ操作する超ユニークな未来派ヘッドホンParrot Zik徹底検証

2012年11月01日 13時30分更新

 奇妙なカタチのラジコン『Ar.drone』で有名な、フランスのパロット社が開発したBluetoothヘッドホン『Parrot Zik』。見かけはごく普通のヘッドホンだが、ラジコン同様、操作方法がとてもユニーク! なんとハウジング部分(イヤーパッドの外側を覆うイヤーカップのところ)にタッチパネルを装備し、スマホのようにスライドして音量調節や曲の切り替えができるのだ。

ParrotZik
↑世界的に有名なフィリップ・スタルク氏のデザイン。東京・浅草にあるアサヒビールスーパードライホールのデザイナー、というとわかる人も多い? サイズは150(W)×80(D)×198(H)mm、重さ325g。

 ペアリングも非常に簡単。NFCを搭載したスマートフォン(Android4.1以降)なら、左側のハウジングにタッチするだけで認証できた(Bluetoothは2.1に対応する)。

ParrotZik
↑ハウジング部分にはタッチセンサーのほかに、ヘッドセットを着脱したことを認識するモーションセンサーや800mAhのバッテリーなどが内蔵されている。そのせいか密閉度は高いが重い。充電とアップデート用にミニUSBケーブル(1m)とライン入力ケーブル(3.5mm)が付属。

●タッチパッドの操作感は?

 ヘッドホンに付いているボタンは電源ボタンのみ。再生と一時停止は1タップ、再生中の上下スライドでボリュームの調整、前後で曲のスキップといった具合に、曲送りなどの操作はすべて右側のハウジング部分で行なう。

ParrotZik
ParrotZik

 1週間、実生活で使ってみたところ、耳もとでのパネル操作は単に奇をてらっているわけではなく、シンプルな操作で簡単・確実に再生コントロールができるという点で、慣れてしまうと結構実用的だと感じた。タッチパッドやセンサー部分の誤作動もほとんどなかった。ヘッドホンについたコントロールボタンは小さかったり押し間違えたりすることが多いため、大まかな動作でコントロールできるというのは思いのほか快適だ。

●通話機能は?

 着信があった場合も、タップで電話に出たり、終了したりといった操作が可能。肝心の音声だが、骨伝導を使って送信されるため、うるさい場所でも正確に会話ができる。私は普段、同等のスペックを持つ骨伝導マイク『Jawbone ERA』(実売価格9800円前後)を使用しているのだが、そちらと比較しても遜色の無いレベルで通話ができた。

ParrotZik
↑周辺の音を分析するマイクロフォンを、イヤーパッドの内外に合計4つ搭載。これは従来のノイズキャンセリング・ヘッドフォンの倍。

●音の聞こえ方は?

『Parrot Zik』には、外部の騒音を最大98%打ち消すアクティブノイズキャンセル機能を搭載。実際に地下鉄を含む電車の中で、クラシック、ジャズ、ロック、ポップス、テクノなどのジャンルの音楽全てを聴いてチェックしてみたが、モーターや車輪の音が低減され、快適に音楽を楽しむことができた。

 若干、低音高音ともに強調されているようだが、音の解像感が潰されない程度に比較的正確に持ち上げられているため、不快感もなく良好。一般的に低価格帯のヘッドホンだとどうしても音の再現力が低くなり、音がこもっていて聴きにくくなる傾向があり、ノイズキャンセルを搭載したヘッドホンになると、特に外部のノイズが消えるおかげで解像度の低さが際立ってしまうことがある。そういった点があまり感じられないのは非常にポイントが高い。ちなみに、バッテリーはフル使用で約6時間程度のため、スマホ同様、通勤程度なら申しぶんない。

 同レベルのノイズキャンセル機能付きヘッドホンとしては、ソニーの『MDR-NC600D』やボーズの『Quiet comfort 15』が挙げられるが、ZikはさらにBluetoothや骨伝導マイクといった付加価値が付いているため、若干のお得感がある。

●音質調整機能は?

 『Parrot Zik』の音質は、専用アプリとなる『Parrot Audio Suite』(無料)で変更できる。

ParrotZik
↑専用アプリ『Parrot Audio Suite』。バッテリーの残量を確認したり、ノイズキャンセリングのON/OFFなど設定メニューは5項目。

 私が特におもしろいと思ったのは、エフェクト機能。音像(音の場所や大きさなどを感覚的にとらえたもの)の開放感を、スマホからタッチで自由に調整できるのだが、特に生楽器系は聞き応えが大きく変わってくるのだ。部屋の広さは“コンサートホール”、“ジャズクラブ”、“リビングルーム”、“サイレントルーム”の4種類から選択できるほか、スピーカーの角度も30度から最大180度まで細かく変更できる。

ParrotZik
↑“コンサートホール”エフェクトで空間シミュレーションができるのは大きな特徴。

 クラシック系音楽を聴くときには、“コンサートホール”を選択。大きな編成の交響曲やコーラスを聴く際には90度~120度くらいで聴くと、楽器や人の声の持つ倍音がよく響いて、本当に心地がいい。とくにコンサートホールのライブ録音は、前方から音が広がるような印象で、臨場感もたっぷり楽しめる。室内楽や、歌曲などを聴くときには“ジャズクラブ”がおすすめ。とくに人の声が入ったものは60度程度にするとかなり声が前に聞こえてくる。

※テスト視聴した曲は以下。
ラフマニノフ 交響曲第2番 ホ短調 作品27 より 第二楽章(USSR State Symphony Orchestra)、ベートーベン 交響曲第9番 ニ短調 作品125 「合唱付き」より 第四楽章(NBC Symphony Orchestra)
、ムソルグスキー ピアノ組曲「展覧会の絵」 作品11 より : プロムナード(ベルマン・ジュリ)、三善晃 子供のための合唱曲「風のとおりみち」より : かぞえうた - opening(大磯小学校合唱団)

 ポップスやテクノ、ロックといったジャンルを聴くときに丁度いいのが“リビングルーム”。60度で設定するとどの曲でも安定したバランスで楽しむことができる。ロックや、ポップスであれば90度くらい広げると楽器そのものの音を楽しむことができるし、テクノ系であれば30度くらいまで縮めると音の密集感が高まり没頭して楽しむことができるようだ。

※テスト視聴した曲は以下。
Viva la Vida(Coldplay)、ワンルーム・ディスコ(Perfume)、赤いあなた(UA)、タイム・アフター・タイム(エイプリルズ)、Cagayake! GIRLS(桜高軽音部)、虚言症(椎名林檎)、Rain Dance(Adiemus)、Gum(Cornelius)、Dare(Gorillaz)、This Love(Maroon 5)、Beat it(Michael Jackson)。White Knuckles(OK Go)

 

 音楽以外の使い道として、会議の録音やカンファレンスのビデオなどを集中して聞きたいときには、“サイレントルーム”の30度に設定すると残響が消え、人の声が強調されるので聞き逃しが少なくなる。実際に普段の文字起こしの仕事にこの設定を利用してみたところ、聞き取りの効率が体感で20%程度上がった印象。

 また、二人舞台芝居のビデオを観る際に“コンサートホール”の180度にしてみたところ、ちょうど役者に挟まれるような感覚のある聞こえ方をしてきて、少し変わった体験を得られた。左右完全に分かれた音声コンテンツはそう多くないと思うが、(声優のCDなど)こういったものを“聞き分ける”際には使えるだろう。

●気に入った点は?

 以上、いろいろと検証をしてみたが、なによりも私が最も気に入ったのは、再生中にヘッドセットを耳から外すと再生が一時停止し、再び耳にかけると自動的に再生されるというギミックだ。コンビニで会計するときなど、曲を一時停止するのはめんどうだが、この機能のおかげでヘッドホンを外すことが手間ではなくなった。自動的にヘッドホンでの着信もオフになるので、電話を取り逃すこともない。

ParrotZik
↑正面からみたスタイル。

 多少重いのが難点ではあるものの、さまざまな機能満載の“世界最先端のワイヤレス・ヘッドフォン”『Parrot Zik』。直販価格3万9900円で発売中だ。是非、軽量化されたParrot Zik 2の登場も期待したい。

(2012年11月5日18:30追記:初出時、iPhoneとNFCに関する説明に誤りがありました。iPhoneでも使用可能ですが、iPhoneはNFCに非対応です。お詫びして訂正させていただきます。記事は修正済みです)

■関連サイト
Parrot Zik
フィリップ・スタルク

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