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命を救うかも知れない筆記具

2012年09月10日 21時30分更新

 以前に震災のときに津波の被害に遭った知人が教えてくれた、「クルマは水に浸かると、水没しなくてもドアが簡単には開かなくなる。電源がショートするとパワーウインドーも使えない」という話が忘れられなかった。

 ちなみにそういう場合はクルマの窓ガラスを割って脱出するそうだが、クルマのガラスって実は簡単に割れないそうだ。一番よいのは専用のハンマーを使うのだが、ハンマーがなければ適当な固い物の角を使うとよいらしい。とは言え、そんなに都合よく適当な物はないもんだ。

命を救うかも知れない筆記具
↑見た目は普通の筆記具……しかし。

 その話を聞いて以来、つねに携帯しているのが『SureFire Pen』(シュアファイアーペン)。このペンはテール部に特殊なチップが埋め込まれており、緊急時には建物やクルマのガラスを軽い力で破壊して脱出できるというもの。

命を救うかも知れない筆記具
↑テール部にガラスを粉砕するための金属球のような部品が埋め込まれている。一般的なガラスハンマーのように尖っていないので安心。

 なんで筆記具でこんな装備が……と思うが、このペンを製造・販売している米国SureFire社は、各国の軍隊や警察などの法執行機関で採用されているフラッシュライトのトップメーカー。そんなメーカーがペンを作ったらこうなった……と説明したほうがなんとなくわかってもらえそうだ。

命を救うかも知れない筆記具
↑所有するSureFireのフラッシュライトと一緒に撮影。この2つをクルマのグローブボックスに入れておけば安心……かも。

 ペンである理由は、つねに持っている可能性が高いから。それだけに緊急時に役に立つという考えだ。そんなペンなので道具としての信頼性の高さは尋常じゃない。筆記具でありながら軍用規格であるMil-Spec Type IIIに適合しており、筐体の素材に“6020-T8”という非常に強度のあるアルミニウム合金を使用している。それをCNC(Computerized Numerically Controlled)旋盤で削り出し、表面処理には超硬質アルマイトが3重に施され耐腐食性にも優れているという徹底ぶり。

 それもそのはず、SureFire社の販売するフラッシュライトの大半はこの製法で製造されており、そのノウハウがこのペンにも採用されているからだ。

命を救うかも知れない筆記具
↑やたらと厚みのあるクリップ部に控えめな“SureFire”のロゴ。知っている人じゃないとこのペンがSureFire製だとは気がつかないだろう(そもそもSureFireというブランドすら知っている人少ないし……)。

 実物は大柄のボディーにつや消しの表面処理。手に取るとヒンヤリとするので金属であることがわかる。キャップ部をねじるとペン先が出る高級モデルの作り。ペンの形状は指が当たる部分が絞り込まれていて、見た目のゴツさに反して意外と持ちやすい。重量は一般的なペンよりやや重く55グラム。

命を救うかも知れない筆記具
↑分解も簡単。ちゃんと0リングが組み込まれていて、ホコリなども入りづらくなっている。インクは汎用品なので、インクの色や太さを好みに合わせて交換可能だ。自分はパーカーのを使用している(手前のインク)。

 インクは汎用のカートリッジタイプで、日本国内でも普通に入手可能だ。標準装着されているのは独シュミット社の『easy FLOW 9000』でスルスルと滑らかな書き心地。英文を書くにはよい心地だが、日本語を書く際にはちょっと滑りすぎの印象。他社のインクを使えば改善できる。

 このシリーズは好評のようで現在4世代目が販売されている。2世代目からは一般的なノックタイプになり、より筆記具として洗練されている。個人的には初代が一番好きなので、今回はそれを紹介した次第だ。ガジェット好きの物欲を満たしつつ、ちゃんと役にも立つこんなペン、いかが?

『SureFire Pen』製品紹介ムービー

Surefire Pen EWP-01
メーカー:SureFire
メーカー公式サイト(外部サイト)

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