ホンダスマートホームシステム“HSHS”を導入した実証実験ハウスのオープニングセレモニーが、4月23日に行なわれました。
HSHSとは、“CIGS薄膜太陽電池パネル”、“ホームバッテリーユニット”、“ガスエンジンコージェネレーションユニット並びに給湯ユニット”、“Smart e Mix Manager”で構成され、このシステムの中心となっているSmart e Mix Managerが電力会社からの電力を調整することで、家庭からのCO2排出を削減。加えて、停電や災害時には自家発電できるという、総合的エネルギーマネジメントシステムです。
取材会では、始めに本田技研工業 取締役 専務執行役員の山本芳春氏が、「CO2を2020年までに2000年比で、電気自動車などのモビリティーで50%削減し、HSHSを導入したスマートホームで30%、トータル80%削減を目指す」と、今後の抱負を語りました。
次に、日本ガス協会 業務部長 岸野寛氏が「今後住宅全体でのエネルギー使用の最適化の時代になることは間違いない」、「すばらしい未来の省エネ住宅を提示してくださることを期待している」と期待を表明しました。
その後、本田技術研究所 汎用R&Dセンター 主任研究員の高石敏充氏が登場。HSHSの発端を「さいたま市とE-KIZUNA Project協定を締結し、家庭生活でのCO2低減を目指したホンダスマートシステムの実証実験を開始した」と説明。Smart e Mix Managerの具体的な構成を語り、熱・電気を安心して使えるシステムとして、HSHSは家をリフォームする感覚で取り付けられるようにすると語りました。
質疑応答の際には、HSHSの販売時期を聞かれ「3、4年で商品化したい」とのこと。ほかにも、車から廃棄されたバッテリーをリユースして使うことはできるのか?という問いに対しては、「実際に車からリユースされたバッテリーを家庭で活用できるかも実験していく」と回答しました。
取材会が終わると、待ちに待った実証実験ハウスの見学へと移りました。最初にガレージへ向かうと、そこにはSmart e Mix Managerが。
上の横長のユニットが、Smart e Mix Manager本体。ガス代や電気代のデータを入手して知らせるだけでなく、各機器との通信を行なって、学習機能により効率の良いエネルギー制御を行なうそうです。さらに、CO2の排出を少なくする設定や、ホンダインターナビリンクを介してタブレットやスマートフォンといった端末での屋外からの制御ができるそうです。
そして、左下のユニットは“ホームバッテリーユニット”。車やバイクのバッテリーリユースも視野に入れて、ホームバッテリーユニットの検証を行なうそうです。
中央下のユニットは、“ガスエンジンコージェネレーションユニット”といい、独自の複リンク式高膨張比エンジン“EXlink”を搭載。発電効率・熱回収効率を合わせた総合効率を92%に高め、都市ガスや天然ガスの活用で、電力と熱の2つのエネルギーを有効に利用するものです。非常時に停止した場合には、バッテリーからの自動起動を行なえるかなど、対応を研究し、優位性を検証してるそうです。
右の大きなユニットは給湯ユニットだそうです。
ガレージには電気自動車があり、その天井には充電アームが。
このように充電アームは伸縮して、さらに、車の場所を問わず充電ケーブルが差し込めるように、アームが旋回できるような仕組みになっています。
車の後ろには、電気4輪バイクがありました。
本体からケーブルを伸ばして、コンセントで充電できるそうです。お手軽に使えて便利!
そして、こちらが可搬型インバータボックス。給電能力9kW、連続7時間以上使えます。被災地などの比較的に
規模が大きな場所でも非常用電源として利用でき、大出力の外部給電ができるので非常に助かります。
次に、屋内へ移動し2階へ。太陽電池について、モニターや実験器具を使って説明してくれました。
これは、太陽光をさえぎる物があった場合、電力への変換効率を計る機械です。
こんな感じに、ホンダの太陽電池は一般の多結晶Siより変換率で大幅に差をつけたとのこと。
実際にベランダに出て、設置されている太陽電池を撮影。
次に、2階の別の部屋へ。そこには、プロトタイプの赤外線学習リモコン“iRemocon”が展示されてました。
この三角の機械がiRemocon。照明や熱機器、家電とスマートフォンやタブレット端末をリンクすることででコントロールできるというものです。たとえば家を出ているときに、「帰宅したらすぐに風呂に入りたいなー」と思ったりしますよね。そんなとき、スマートフォンで設定すればお湯を張ってくれたりするという優れものです。
次に1階の説明へ。リビングでは、動画でわかりやすくiRemoconとHSHSの説明が。iRemoconは、実際に操作して照明を消灯してみせてくれました。
モニターの隣には暖炉が、実際に火を焚いてます。床も床暖房になっていました。
キッチンに行くと、ガスコンロとIHが。こちらはガスと電気、両方の検証をしているそうです。
その隣には、3つの差込口があるコンセント。停電しても自家発電で蓄えていた電力を使うことができるコンセントだそうです。差込口によって、どの電力を使うか選べます。
コンセントの下には、電気代や電力状況などをひと目で確認、コントロールできる端末がありました。これで使いすぎることもないので安心ですね。
1階を見終わると、家の裏の芝生へ向かいました。そこには、芝生を走り回る1台のロボットが。プロトタイプの自動運転芝刈機というもので、地中に敷設した信号線を感知して自動走行しながら作業します。どこかにぶつかったら方向転換してまた走り出すおもしろいやつです。ちなみに、充電が必要になったら自動で充電機のところに戻り、1時間充電で約1時間稼働するそうです。ASIMOっぽい!
芝生の奥にはもう1軒の住宅があり、そちらは実証実験ハウスの2号棟でした。2号棟は、住宅棟と呼ばれており、今見て回ったのはプレゼン棟と呼ばれておりました。住宅棟には、実際にホンダの従業員が住んで実証実験をしているそうです。
こんな家に住める人がいるなんてうらやましいと思いながら終了したオープニングセレモニー。日々目の当りにする技術の進歩に驚きを隠せない山下なのでした。
■関連サイト
本田技研工業
(4月24日14:00追記:ガスコンロとIHの検証に関する説明について一部修正しました)
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