クレジットカード会社として世界でも有名な『VISA』が、4月19日にカンファレンスを開催しました。
カンファレンスでは、VISA Inc. チーフ・エンタープライズ・リスク・オフィサーのエレン・リッチー氏が登場。平たく言うと、グローバルのVISAのトップ3のひとり、リスクマネジメントのチーフです。リッチー氏によると、VISAは世界で1万5000以上の金融機関と約3000万もの加盟店と取り引きをしており、加えて、すでに約20億ものクレジットカードを発行しているとのこと。
それほどの数のカードを発行するVISA、いったいどうやってセキュリティーを保っているのでしょうか? 氏は、「システムを維持するためには誰しもが努力を重ねて協力する必要がある。調整役のVISAといっしょに取り組むことによって、システムは成果を出している」と説明。
示されたグラフによると、1992年から2011年の20年間、カードの情報漏えいは約3分の1にまで低下しているのがわかります。「皆さんは、情報漏えいなどの事件を多く聞いているでしょうが、不正率は順調に下がっています」とのこと。
では、VISAは具体的にどのようなことを行なっているのでしょう? リッチー氏によると、予防・保護・対策の3つの要素が重要になるそうです。予防とは、ネット上で決済するとき、“ダイナミックデータ”という技術を使うことで、システム内で不正が起こる可能性を最小限にするとのこと。そして、カードに埋め込まれているICチップは、カード発行時にひとつずつ作成されるので、盗まれても不正ができないようになっています。ちなみに、ICチップ入りのクレジットカードは、現在3億枚以上が発行されているそうですが、米国は2011年にやっとICカードが普及したと言います。
ICの普及によって、偽造犯罪は減っている反面、ネットなどの非対面取引での不正は増加しています。それに関しても、VISA認証サービス“eコマース”を導入することで防止できるそうです。
データ保護に関しては、発行店や加盟店がもっているのデータを暗号化などを行なって正しく管理し、セキュリティースタンダードに基づいて保護を行なっています。
しかし、「それでも、確実に個人情報が守られてるとは言えない」とリッチー氏。万が一、ことが起こった場合は、すぐさま検知して対応して対策をとると説明し、「世界のパートナー達と一丸となって接していく必要がある」と語りました。
カンファレンスでは、ビザ・ワールドワイドジャパン代表取締役の岡本和彦氏も登場。『日本市場の展望と課題』と題したセッションで、日本でのクレジットカード決済が、世界的に見てとても少ないことを説明しました。裏返せば、電子決済拡大の余地が大きいということ。そして、VISAはペイメントエコシステムの構築・拡大に重点をおいて取りくんでいくと語っていました。
スマホなども巻き込み、どんどん成長し続けるネット決済。ふだん、ユーザーとしてあまりセキュリティーを意識することはなかったのですが、今回、あらためて、VISAなど決済に関わる企業が日々、セキュリティー技術の向上などに取り組んでいることを意識させられました。
われわれ利用者にとっては、セキュリティーを意識せずすむ“使いやすさ”が何よりありがたいのですが、とはいえ、今後ますますセキュリティー意識を高める必要に迫られることは間違いありません。
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