日本最大級のケータイコミュニティサイト『魔法のiらんど』が創設した小説コンテスト、“iらんど大賞”の贈呈式が東京都内にて行なわれた。
iらんど大賞は今年で第5回目。過去の受賞作品からいくつもの作品が、書籍化やドラマ化、映画化などの多彩なメディアミックス展開され話題になっている。対象作品は魔法のiらんどに投稿されている230万作品。読者の応援などで、受賞が決まるという読者参加型コンテストとしても毎年注目が集まっている。
■今年の受賞作品
【最優秀賞】 『見 て る 。 〈ストーカー〉』 作者:蜜柑さん
※2012年3月26日、アスキー・メディアワークスより書籍発行予定
<あらすじ>高校生になった可奈は、幼馴染の勇太から告白される。「ずっと好きだった。ずっと一緒にいよう」と言われ幸せな毎日を送る可奈。でも徐々に勇太は変わり始め、可愛かったヤキモチは、異常なくらいの嫉妬へとエスカレートしていく。1日中可奈を監視し、嫉妬から人格が豹変、暴力までふるうようになった勇太。恐怖を覚えた可奈は、ある日、勇太から「絶対に見るな」と言われていた鍵のかかった引き出しを覗いてしまい…。
【歴史部門賞】 『蝶は花に止まりけり』 作者:ひなさん
※2012年4月25日、アスキー・メディアワークスより書籍発行予定
<あらすじ>老舗の遊女屋「寿々や」で医師の一人息子ヒロキは、一人の遊女に目を奪われる。今日が初見世という遊女・ひな菊の遊女らしからぬ振る舞いにヒロキは夢中になり、やがて本気で彼女を身請けしたいと想うほど愛するようになる。ひな菊もまたヒロキを愛していたが、遊女としての立場をわきまえ他の客を取り続けた。ひな菊は人気を呼び、名代として数々の馴染みに気に入られるように。その様子を見ながらも、身請けに必要な莫大な金を工面することもできないでいたヒロキは、位の上がってしまったひな菊にムリをしてでも会おうと通い続けるが…。
【ノンフィクション部門賞】 『チンカルボー』 作者amさん
※2012年5月25日、アスキー・メディアワークスより書籍発行予定
<あらすじ>高校卒業後すぐに結婚したまりは、優しい旦那と2歳の息子の家族3人で平和で幸せな家庭生活を送っていた。そんな日々が一変、旦那が浮気していることが発覚する。しかも相手は自分の友達だった。携帯のメールや写真から2人のあられもない行動が次々と判明し…信じる人に裏切られ、辛さを超えた怒りがわき上がったまりは、親友に相談、2人への復讐の実行を決意。その復讐の様子を“浮気小説”として公開していく。
【切ない部門賞】 『冷たい彼』 作者:ゆーりさん
※双葉社より書籍化予定
<あらすじ>雪乃は高校時代、自分に両親の決めた婚約者がいることを知り、その時恋人だったツカサに嘘をついて別れた。大学生になってもいまだにツカサへの想いが断ち切れずにいた雪乃は、偶然行った合コンでツカサと再会する。すっかり人が変わっていたツカサは、雪乃にとても冷たい。お互いに相手の気持ちは自分にないと思いながら、いつか来る終わりに怯えながら身体だけの関係を続ける2人。しかし、ある出来事がきっかけで本当の気持ちを知った2人は……。
【8×4デオウォーター賞】 『矢野先輩』 作者:ゆーりさん
※「8×4デオウォーター」プロモーションサイト(魔法のiらんど内)にて新作を連載予定
※アスキー・メディアワークスより『矢野先輩』書籍化予定
<あらすじ>純情可憐な女子高生しずは、3年の矢野先輩に恋をしている。超イケメンでバスケ部エースの先輩の周囲には、たえず女の子たちが群がりまさにアイドル。勇気をふりしぼって告白するが「無理。めんどい」と即答で断られ落ち込むしず。そんな様子を見た先輩から、“関係を公表しない”という条件付きで「彼女なら、週2で俺の家に通え」と言われて…。舞い上がってしまうしずだったが、一向に本心の分からない先輩の態度に、苦しんで…。
【MAP賞】 『心が君を、探してる。』 作者:早月雨芽さん
※2013年ミライ・アクターズ・プロモーションより映画化予定
<あらすじ>大学3年生の春香は、高校時代の恋人・唯人のことが忘れられない。バンドマンだった唯人は、今やメジャーデビューを果たし、大人気バンド「Courtship」のボーカリストとして手の届かない存在になっていた。自分の心に鍵をかけ唯人との過去を秘密にしてきたけれど、大学で知り合った夏樹には、なぜか春香を安心させる不思議な魅力があって…。抑えきれなくなった切なさと2人の過去が明らかになってゆく――。
iらんど大賞は、プロ、アマ、年齢などを一切問わないコンテストで、受賞者のほとんどが10~20代の若い女性。瑞々しい感性で赤裸々に描かれた恋愛ものが多く、若い読者(読者の7割は10代)の心をがっちりつかむ作品ばかりだ。
歴史部門賞を受賞したひなさんは受賞コメントで、「この作品は読者の方に書いて欲しいと言われて書いたもので、読者の方がいなければ生まれなかった作品だと思います。」と語った。これは作者と読者が相互に関われる魔法のiらんどならではの創作動機だ。
魔法のiらんどの魅力を語る松井愛莉さん |
↑松井愛莉さんは1996年生まれで春から高校生のティーンど真ん中。好きな作品は『お女ヤン』とのこと。 |
また、贈呈式のあとは、2009年に劇場公開されたkagenさんの作品を原作としたホラーサスペンス映画『携帯彼氏』と2011年にDVD映画としてリリースした『携帯彼女』の最新シリーズにあたる、『携帯彼氏+(プラス)』と『携帯彼女+(プラス)』の制作会見を開いた。
どちらも2012年夏、イベント上映とDVD作品として発売する予定だ。その劇中カットを一部ご紹介。
<あらすじ>いじめによって登校拒否となっているめぐみ(森田涼花さん)は、携帯電話を使った家庭教師システム・カテキョープラスを利用していた。最近はやりだしたそのアプリは、スマートフォンごしに立体となって現われるアバター教師が出題・解説するというもので、人と関わりたくないめぐみにとっては丁度いい学習ツールだった。ある日、いつもめぐみを気にかけているクラスメートの爽太(前山剛久さん)が、共通の友人・真奈美が死亡したことを伝えに来る。その晩、死んだはずの真由美からメールが届き、めぐみのアバターが別の教師・南(牧田哲也さん)に切り替わる。以来、狂気じみた問題が繰り出され、めぐみの点数はどんどん減っていく。爽太と共に調べていくと、ネット上には0点になったら死亡するという噂が。そして死んだ真由美もカテキョープラスをやっていたことが判明。いじめをしていたのは誰かという質問に回答してしまうめぐみ。するとその生徒が死亡。追い詰められためぐみは逃げる事をやめ、立ち向かう決心をする。
<あらすじ>巷で流行っているというスマートフォンを使った美少女育成ゲーム・アイドルプラス。アニメ好きの和也(志尊淳さん)はオタク仲間から教えられ、そのデジタルアイドル・アカネ(荻野可鈴さん)にハマッていく。ある日、オタク嫌いの勝気なクラスメート・杏子(逢沢りなさん)からアイドルプラスのアプリを消去して欲しいと相談される。昔の友達から突然転送されてきて困っているという。生身の女のコが苦手な和也は嫌々協力するが、なぜかアプリは削除できない。調べていくとそのゲームには点数が0になるとプレイヤーが死ぬという噂があることが分かる。杏子に転送してきた友達も死亡していた。和也はアイドル・アカネを順調に育てていたが、杏子の携帯に棲みついたアイドル・ミドリは育成がうまくいかずどんどん点数が下がっていく。2人の周辺でもプレイヤーが次々に死亡。疲弊していく杏子を救おうとする和也にアカネが嫉妬し点数が下がり始める。窮地に立たされた2人はネット空間に入り込み、デジタルアイドルたちに立ち向かう。
kagenさんと逢沢りなさんが登壇 |
会場では『携帯彼女+(プラス)』で杏子を演じる逢沢りなさんと原作者のkagenさんが登壇。逢沢さんは自分と杏子の共通点はツンデレなところと、はにかみながら語ったのが印象的だった。
●関連サイト
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