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中国人はiPhoneもジョブズも大好きだ

2012年02月22日 21時39分更新

中国人はiPhoneもジョブズも大好きだ
↑世界最大の問屋都市“義烏”で見かけた小皇帝が液晶保護シート屋さんの仕事が終わるのを待つの図。こういうお子たちはどんなおとなになっていくのでしょうか?

 今年1月12日、中国でiPhone 4Sが発売になってその熱狂ぶりがニュースで伝えられました。W-CDMAの中国聯通に続いて、3月にはCDMA2000の中国電信からの発売も予定されていてニュースになるのは確実です。上海に出かけて上海アンドロイドの会の中尾貴光さん(@osschina)にケータイスポットを案内していただいたり、現地のスマートフォン関係者の方々とミニミーティングをさせていただいて感じたのは、

「中国人は、なぜこうもiPhoneが好きなのか?」

 という思いでした。先日も英国Macworldの記事で「2013年には中国で4000万台のiPhoneが売れるだろう」というアナリストの分析が紹介されていました。興味深いのは、「中国移動のネットワークでもすでに約1000万台のiPhoneが利用されている」と書かれていること。要するに、ドコモのユーザーがSIMロックフリーのiPhoneを手に入れてSIMを差し替えて使っている感じで、そんな人が1000万人もいるというわけです。

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↑上海の中心的な繁華街である南京東路でも最も目立つ存在になりつつあるといってもよいアップルストア(本物)。
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↑お店の中はデカい木製っぽいテーブルが並んでいて人々がiPhoneを触りまくってます。外がこの町の平均的なビルのようす。

 上海アンドロイドの会の方々には、なかなか日本ではゲットできないIT関連の中国事情をお聞きできました。しかし、いちばん驚いたのは、交通違反の知らせがメールで届いて「タオバオ(淘宝)で払ってもいいよん」と書いてあるというお話。手数料無料が売りのタオバオなので、モノを買うのはもちろんですが飲み会の割り勘でも何でもタオバオでとなるそうです。

 さすが中国、やることが早くて、お気軽を求める傾向がとても強くて、それがネットと極めてマッチしている。お話では聞いていた電動スクーターの普及状況も半端ではありませんでした。ひょっとしたら、ネット時代のスピード感と世界で最も親和性の高い国家は、中華人民共和国かもしれません。

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↑上海の地下鉄のホームにはこんな感じのバーチャルストアが展開中。1つ1つの商品にはQRコードがついていてその場で買うと家に届くという仕組み。これは、エキナカの極地ではないですかね?

 中尾さんは、“中国マイクロブログ(微博)雑記”や“Android/OPhone雑記”などで、中国のネットやスマートフォン関連の情報を発信されていますが、今回、上海のケータイショップをガイドしていただきました。上海の電脳街は、実に、2001年に取材で来て4回目ですが、最後に来た4年前からかなり変わりました。

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↑上海の代表的なケータイショップビル“不夜城商場”! 名前良すぎる。
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↑かなり広いです。んっ、大阪・・・?
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↑どこへ行ってもスマホの嵐。HTCもシッカリ売っています。
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↑中華文化圏ではよく見かける“良番”を売る店。むかし、日本でも大久保とかにありました(固定ですけど)。

 ほかにも、“百脳匯”とか、“太平洋数码”とか、電脳ビルはいくつもあるのですが、全体を通して感じるのは、やはりスマートフォンの勢い。とくに、不夜城商場では、下のフロアではAndroidがやや優勢という感じですが(市場全体としてはAndroidなので)、フロアをあがっていくと若者が経営するちょっとカッコつけめiPhone、iPadショップが目立ってくる。

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↑カッコつけめのiPhone、iPad専門店。
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↑こんな感じのお店が数百軒入っている。
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↑“手机”と書いてある“机”が本当は“機”という文字で携帯電話のことなのですね。
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↑“苹果”というのはリンゴの意味ですね。修理屋さんでしょうか?

 ちなみに「史蒂芬・保罗・乔布斯」で、Steven Paul Jobsとなるのですが、中国でのジョブズの人気はiPhone以上かもしれません。なにしろ、中国の2011年の年間ベストセラーは、フィクション部門が『臨海・伯迹(II)』、ノンフィクション部門が『スティーブ・ジョブズ』、児童部門が『窓ぎわのトットちゃん』だったそうです(京華時報より)。ノンフィクション部門の堂々1位に入っています。

 ちなみに、日本のノンフィクションの2011年ベストセラーは、1位『老いの才覚』(曽野綾子著)、2位『伝える力 「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える!』(池上彰著)、3位『官僚の責任』(古賀茂明著)で、ジョブズ本はベスト10にも顔を出さない(トーハンより)。ということで、上海中が、乔布斯さんのあのお顔であふれていました。

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↑ジョブズ本は、自伝だけでなく何冊出ているか分かりません。
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↑上海市内では最大の“上海書城”に入るとジョブズ氏がお出迎え。
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↑芸術書房という文字どおりアート系のお店でも。
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↑こんな感じですね。
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↑コンビニの棚でも。
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↑エキナカのスタンドでも。
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↑iPhoneケースも。
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↑なんと露天のタバコ屋さんでも売っています。

 これらの写真は、たまたま気が付いて撮影したものだけで、どこへ行ってもジョブズ氏が先回りして待っているという錯覚に襲われてしまいます。

 上海在住のM銀行のHさんに、世界一の雑貨問屋都市“義烏”につれていってもらったのですが、「なぜ中国ではジョブズのような人物が出てこないのだ?」ということが、経済人の間で真剣に議論されているそうです。中国のジョブズ熱、日本以上のものがある。日本では、むしろ、会社の経営層にジョブズ本の3ページでも読んでもらいたいところ。

 ところで、中国でiPhoneが発売されたとき、海外メディアは“中国に里帰り”と書いたところがあったと思います。

 iPhoneは、台湾企業の鴻海精密工業が中国の工場で生産していると言われています。これを地図の上で表すと、太平洋をはさんでちょっとしたジグザグな線になります。米国から台湾に注文がいき、中国で生産されて米国に納品され、中国で売られる……。いまの世界のデジタル事情のある部分を象徴していて、中国人のiPhone溺愛状況に拍車をかけている可能性があります。

 個人的にですが、英国Macworldのアナリストの2013年に4000万台という予測は甘いと思います。地球は、スマートデバイスに埋め尽くされはじめていますが、中国の10億人(3Gが12月末で1億2000万人だが毎月800万人以上増え続けている)といわれるモバイルユーザーはその数以上にネットに向かって加速しているからです。

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