海外出張に行くと、いつも困るのが通信回線だ。
日本は通信回線については、世界で最高の水準にある。自宅では光回線を、外出先ではUQ WiMAXやらXiやらを使い、帯域を気にせずクラウドにどっぷりつかった生活をしていると、つながるのもままらない生活はとてもつらい。
いや、もちろん、お金を使えばそれなりに解決できるのだ。携帯電話のローミングサービスを使えば、一日3000円弱でパケットが使い放題になる。でもそれはさすがに高いし、テザリングもできないのでパソコンなども使えない。だからこれは「ナシ」だ。
なので、解決策は、おもに2つ。
まずは、日本から「海外で使うためのデータプラン用・レンタル携帯電話サービス」に加入していくこと。グローバルデータの展開するサービスが有名だ。無線LANルータを貸し出す“MiFiプラン”の場合、多くの国が一日1580円で使える。現在はアメリカ向けの場合、VerizonのLTEサービスに対応したプランも選択できる。でも、やっぱりちょっと高い。今回は借りてきたが、もうちょっと安くなればありがたい。
↑グローバルデータの4G LTEモデムレンタルサービスのページ。レンタル料金は1日あたり1580円。 |
↑左が現地調達したWiMAXルーター、右が日本から借りていったグローバルデータの(本当はLTEになるはずだった)4Gルーター。どちらにも良い部分があって、どちらも役立つ。 |
もう一つは、現地で買えるプリペイド式のデータプランSIMを購入する方法だ。国によって色々あるが、3G系サービスを使ったものが手軽に入手できる。といっても、使い放題のものより、「一週間30ドル・300MBまで(AT&Tの場合)」や「30日間30ドル・1GBまで(T-Mobileの場合)」といったプランが多い。それをSIMフリーのスマートフォンなどに入れ、テザリングで利用するのが一般的だ。これは安いのだが、いちいち買いに行くのが意外と面倒。また現状、3G回線しか使えないという制限もある。
実は、韓国とアメリカ限定だが、もっといい方法があった。しかもお金がかからない。
それはUQ WiMAXのローミングサービスだ(関連リンク)。アメリカの場合、Clearwireがローミング先となっていて、日本で使っているWiMAX対応パソコンを持ち込めば、そのまま無料で(2012年1月現在)ローミングが使える。通信速度も日本のWiMAXと大差ない。日本並みの環境が、しかもタダで手に入るわけで、こんなにステキなものはない。
だが、これにも大きな問題が一つ。パソコンでしか利用できないのだ。現地で連絡を受けたり地図を見たりするには、やっぱりスマホやタブレットが欲しい。だが、日本で販売されているWiMAX対応ルーターはローミングに未対応なので、そういうわけにもいかないのだ。
Clearwireにはもちろんルータタイプもあるのだが、利用には当然“契約”が必要。そして、そのためには“アメリカで発行されたクレジットカード”が必要だった。
●プリペイドプランを使えばClearwireで日本のクレジットカードが使える!?
「いいなあ、Clearwire」と思いつつ、毎年、多くのプレス関係者がここで涙を飲んできた。
だが、今回はちょっと違った。
まず最初、我々にもたらされたのは「どうやらClearwireに、プリペイドプランが導入されたらしい」という情報だった。そしてさらに「店頭で、なんとか日本のクレジットカードでも買えるらしいぞ」という話だ。おっと、なにが変わったのか?
そう考えて、私を含む数名は、家電量販店『BestBuy』に向かった。
「こちらで発行のカードはないの? そうねえ、じゃあ、このプリペイド・デビットカードで契約して、次に来日した時にはプリペイド契約に変える、ってのはどうかしら?それなら、インターナショナルのカードでもできるはず」
BestBuyでClearwireの販売担当をしていたおねーさん(ちなみに、いい感じの美人)は、そんな風に教えてくれた。Clearwireは、最初にまずプリペイドでなく、正規の1カ月契約をしないといけないらしい。そこで現地発行のカードは必要なのだが、BestBuyで販売されている「VISAのプリペイド式デビットカード」だと、アメリカ発行扱いになるので契約できるのだという。ルーターは99ドル、1カ月の契約で50ドル。そして、デビットカードの発行などに10ドル。総計160ドル程度の出費となるが、これでどこでも高速な通信ができるようになると思えば、納得できるかもしれない。説明を受けて、私が「じゃ、買う」といった瞬間、後ろにいたプレス仲間4人が一斉に手を挙げたので、おねーさんもちょっとびっくりしていたようだが。
実際に使ってみると、まあ、なんとも、実に快適だ。
↑Clearwireの99ドルWiMAXルーターの同梱品と、BestBuyで購入したデビッドカード。ルーター自体は、『CLEAR SPOT 4G APOLLO』という、ディスプレー付きのもの。購入時の予備充電は1時間ぶん程度なので、初期充電は必須。 |
↑ルーターの大きさをスマートフォンと比較。スペックシート上のバッテリー容量は2200mAhで、6時間の動作時間をうたう。荷物の多い取材時の携行品としてはまったく気にならないサイズ。 |
↑BestBuyで同時購入したプレスの知人たちと、買い物後に開封してスタックしてみたところ。パンケーキと比べてるのがわかったのか、ウェイトレスにもウケていた(笑/編集部注)。 |
日本国内のスピードテストサイトでのチェック結果では、下りの平均はおおむね1.5Mbpsから3Mbpsといったところ。
実は今回、グローバルデータからHSPA+対応の無線LANルータも借りてきていた(本当はLTEを希望したのだが、渡されたのは「4G」と書かれた冒頭の写真の製品だった。いや、確かに4Gだが……。数が足りなかったのだろう)。こちらでも同じテストをしてみたが、スピードはだいたい500Kbpsから1.5Mbpsを切るくらいだった。
エリアは当然、“4G”の方が広く、巨大なホテル内や展示会場の奥でもつながるが、“WiMAX”はちょっと狭め。しかし、屋外ならほぼ問題ないし、プレスルーム近辺にはアンテナが設置されていたためか、いつも快適につながった。日本でWiMAXのルーターを使う時と、ほとんど変わりない。これがラスベガスだけでなく、よく行くサンフランシスコやロサンゼルス、シアトルでも使えるとあれば、本体99ドル程度の出費は問題ない、というものだ。
でも、一抹の不安がないではない。
ほんとに、あの店員のおねーさんの言ったことは本当か? 後日日本のクレジットカードでプリペイド契約をチャージできなかったら、今回で使い納めになってしまうぞ」
「そもそも私の英語力で、きちんとその辺の詳しい条件をおねーさんとコミュニケーションできてたのか?」
そんな懸念は、現地プレス関係者の間でも不安視されていた。
はたして、おねーさんの言っていたことは正しいのか!? 続きは次回の海外出張で判明する。(んだろうか。本当に。)
●関連リンク
Clearwire公式サイト
CLEAR SPOT 4G APOLLO製品ページ
グローバルデータのLTE MiFiレンタルサービス
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