↑多くのUltrabookを背にポール・オッテリーニ氏が登壇。 |
CES2012初日夕方の基調講演はインテルのCEO、ポール・オッテリーニ氏だ。いつものように落ち着いた様相で登場したオッテリーニ氏は、今、まさに、パーソナルコンピューターからパーソナルコンピューティングへと時代が変わりつつあると切り出した。
これまで毎年CESを見てきたが、そこではあふれるようにイノベーションが生まれ、時代はどんどん変わってきたものの、これからは、それとは比較にならないくらいに新しいなにかが生まれていくとオッテリーニ氏。そして、そんな時代においては、なにが大切なのか、なにに妥協してはいけないのかを、きちんと考えなければならないと。
インテルは、本質的なコンピューティングとは、次の4つの要素を満たさなければならないと考えているそうだ。
●エンゲージング・・・人をひきつけること
●コンシステント・・・一貫性
●アウェア・・・気づき
●セキュア・・・安全
↑コンピューティングに求められる4つの要素。 |
そして、インテル・アーキテクチャー(IA)はこれらの要素を叶える。
今、インテルのプロセッサー製造におけるプロセスルールは32nmから22nmへの移行期にあり、次は14nmへと、忠実にムーアの法則を守り続けるように進化している。
そして、かつて、アポロが月に降り立った1969年当時、NASAで使われていたコンピューターよりも処理性能の高いコンピューターを、この会場にいるほぼ全員が身につけている。それが携帯電話だ。
オッテリニー氏によれば、今、電話を使う行為において、通話はほんの10パーセントで、残りはコンピューティングだという。しかも、携帯電話にはまだまだできることがあり、まさに「ベスト・オブ・インテル」が現在のスマートフォンだとする。
インテルは、IAによる最初のスマートフォンを、世界一の市場に成長しつつある中国でデビューさせることを決めた。そして、そのパートナーとなるのがレノボだ。
ステージには、レノボのシニア・バイス・プレジデント兼Mobile Internet and Digital Home事業部プレジデントのリュー・ジュン氏が登壇し、同社が今、かつてのインテルがそうであったように、インターネットデバイスカンパニーに変身中であることを告げ、その中でスマートフォンが最もホットな存在であるとした。
そして、IAスマホとして、『K800』を発売することを発表した。キャリアはチャイナユニコムで、この第2四半期から出荷を開始するという。
↑レノボのシニア・バイス・プレジデント兼Mobile Internet and Digital Home事業部プレジデントのリュー・ジュン氏がIAスマホを掲げる。 |
この発表を受けたオッテリーニ氏は、IAスマホのリファレンスデザインを披露し、HDMIで大型テレビに出力した上で、高いゲーム性能や、マカフィーによる万全のセキュリティーをアピールした。
↑IAスマホはAndroidを採用。互換性も心配ない。 |
また、ビデオ再生でバッテリー駆動時間の計測比較をした上で、消費電力の少なさでも圧倒的に優れていることを示した。リファレンスデザイン機におけるOSにはAndroidが採用されているが、インテルでは、このOSをもっとも優れたものだとし、開発過程において多くのアプリをテストした結果、既存プラットフォームに対してほぼ完全な互換性が保たれているという。
↑IAスマホはあらゆる面で優れた性能を発揮。 |
カメラ撮影のデモでは、ステージに新体操のごとくリボンを掲げたパフォーマーが登場し、それを1秒間に10コマ連写するなど、カメラ性能の高さも強調されていた。
↑リボンをふるパフォーマーが登場。 |
続いて登場したのは、モトローラ・モビリティの会長兼CEOのサンジェイ・ジャ氏だ。その場において、同社とインテルとの協業が発表され、今後、さまざまなプラットフォーム、サービスにおいて、これから数年かけて複数の製品を出荷していくことを明らかにした。最初の製品はこの夏に出荷されるという。
こうしてスマホカテゴリーにおけるインテルの優位性を示したあと、オッテリーニ氏はへと話題を転じる。
そこでステージに登場したのが、デルのグローバル・オペレーション&エンドユーザーUltrabook・コンピューティング・ソリューション担当副会長のジェフ・クラーク氏だ。ここでお披露目された『XPS 13』は、妥協のないノートパソコンであり、インテル・スマートコネクトや、ゴリラガラスなどを装備し、スマホモバイルと同等の常時接続をノートパソコンで可能にするものだという。受注は2月からだ。
↑デルのグローバル・オペレーション&エンドユーザー・コンピューティング・ソリューション担当副会長のジェフ・クラーク氏。手には『XPS 13』。 |
オッテリーニ氏は、もうトレードオフを考える時代ではないとし、モバイルだからといって、なにかに妥協するのは間違った考え方だと断言する。Ultrabookなら、大きなHDファイルを扱うのも簡単で、サンダーボルトで高速コピーもできる。旅行にでかける直前に、大きな映画を数十秒でコピーすることもできるのでストレスがない。
最後にステージに呼び込まれたのは、ヒップホップグループ“ブラック・アイド・ピーズ”のリーダー、ウィル・アイ・アム氏だ。同氏はインテルのクリエイティブ・イノベーション・ディレクターとして、昨年から数々の活動を続けてきた。Ultrabookを片手に世界を旅し、震災後の日本では募金活動も行なってきた。
↑インテルのクリエーティブ・イノベーション・ディレクター、ウィル・アイ・アム氏。 |
オッテリーニ氏は、今、トランジスターからトランスフォーメーションへと時代が変わりつつあり、次のレベルにコンピューティング体験が高まりつつある過渡期だとする。いちばん最初のコンピューターで使われていたトランジスターは、今、新しいコンピューターの中に入り、次のステージに連れて行ってくれようとしている。それを今、目に見える形で提示できるのはインテルならではだとして、基調講演を終えた。
↑Windows8のMetro UIが動作するタブレットリファレンスも紹介された。 |
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