ケータイジャーナリスト 石野純也 |
2012年のトレンドとして、まず挙げておきたいのがAndroid 4.0(ICS)への対応だ。タイミングは夏モデル登場時。関係者への取材を総合して考えると、いくつかのモデルが春にアップデートされ、その後、おサイフケータイやワンセグ、赤外線などの国内機能に対応したOS4.0スマホが一斉に発売されるだろう。
例年どおりなら、2月下旬にスペインのバルセロナで開催される『GSMA. Mobile World Congress 2012』で発表される機種も、夏モデルとして出る可能性が高い。サムスン電子、ソニー・エリクソン、LGエレクトロニクスなどは、すでに自社端末のアップデート計画を発表している。キャリア販売モデルは検証などに時間がかかるため、同時期にとはいかないだろうが、メーカーの挙げたモデルはアップデートされると見ている。
高速通信対応モデルが増えるのも、OS4.0と同じタイミングだと予想している。2012年年始開催の『2012 INTERNATIONAL CES』やMobile World Congressなど、新チップ発表の機会は多い。ベースバンドチップを採用し、ソフトウェアの完成度も高まれば、今のLTE対応スマホ以上に電池のもちがよくなるだろう。
イー・モバイルが2012年3月に、auは2012年末までにLTEを開始するが、ドコモへの対抗もありこの2社もスマホを出してきそうだ。すでに明言されているとおり、ソフトバンクがAXGP対応スマホを発売するのも2012年内。その意味で、2012年はスマホの高速通信対応が進む1年になりそうだ。
個人的には、FeliCaとNFCの融合がトレンドになることも期待している。'11年のMobile World Congressや『Communic Asia』ではドコモがNFCでの決済サービスを展示し、海外メディアからの関心も集めていた。
同社はまずNFCのセキュアエレメントをSIMカードに内蔵するカタチで、FeliCaとの共用端末を開発する計画を発表している。この初号機が出ると言われているのが2012年だ。共同で開発を進めるメーカーの中にサムスン電子が含まれていたことから、FeliCaとNFC両方に対応した『GALAXY』シリーズの登場も期待できる。
ドコモ、KDDI、ソフトバンクはNFC普及に向けた協議会を設立した。このような取り組みが進めば、NFCでの決済環境が整っていくかもしれない。海外でも一部の国でおサイフケータイふうのサービスが始まったが、共通規格を用いているだけに相互乗り入れもぜひ実現してほしい。国内でチャージして海外で電子マネーを使うといったことは、ユーザーの利便性向上にもつながるはずだ。
このほか2012年のトピックとして、次世代『iPhone』を外すわけにはいかない。iPhone 3G、3GS、4、4Sと続いてきたことを考えると、2012年はフルモデルチェンジの年に当たる。年末にかけては、次のバージョンのAndroidも姿を見せるはずだ。スマートフォンとタブレット、そのほかの家電の連携も一層進むだろう。
キャリアという観点では、ドコモのクラウドサービスや、KDDIの3M戦略がより明確になる1年でもある。iPhoneのマルチキャリア展開が始まった中、ソフトバンクがどのようなAndroidスマホをつくりこんでくるのかにも注目している。
ケータイライター 島徹 |
2012年はLTEやWiMAXに対応した快適通信モデルが数多く出るだろう。一方で競争は激化、海外端末向けにサクサク安定かつ、おサイフやワンセグなど、日本向け機能も搭載した端末を出せないメーカーは厳しいと思う。
個人的には、お手頃価格でそこそこ高機能な、ミドルクラスのデザインや異業種コラボ端末の充実にも期待。OSやスマホ全体の機能追加は収まる一方、アプリやウェブサイトのスマホ対応がより活性化するなずだ。リアル連動のソーシャルゲーや本格ゲームも充実し、キャリアによる課金システムの重要性が増しそう。
ところで、2012年秋には『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』が公開予定。これは『破』のコラボケータイに続くコラボスマホに期待。 ……ちょっと本気でお願いします!
スマホ班 ジャイアン鈴木 |
端末の形態が多様化。二つ折り手帳型、腕時計型、サングラス型など多様な形態のモデルが出ます! 出るはず! あと、世界最速のAndroidスマートフォンがF社、S社から登場。世界中があっと驚く……かも。
また、防水iPhoneが登場するでしょう。画面大きくなっても買い換えないけど防水になったら買います。ホントは画面大きくなっただけでも買い換えますが。液晶保護フィルム職人の登場も2012年ですね! 秋葉原に屋台が出て液晶保護フィルムを貼ってくれるようになったら通います。
マジメな予想としては、Android OSに標準でウイルス対策ソフトが搭載されるはず。到着メールの差出人と本文を自動的に読み上げるメールアプリが大人気になったり、PCと接続するとスマホが分散処理を行ない、PCの処理速度を高速化する技術が登場。2012年も夢が膨らみ、おサイフがしぼみますね!
スマホ班 南田ゴウ |
ちょっと目を離すと勝手に再起動し、フリックだけでなくホームキー操作すら無視することもある、愛用中のスマホのド不安定ぶりに辟易している私。どんな機能を搭載しているかはどうでもいいので、とにかく安定動作するスマホが出て欲しいです。安定性マジ重要。
怒りにまかせてもうひとつ希望するのは、大容量バッテリー搭載スマホの増加。ドコモの『MEDIAS PP N-01D』のような、長時間駆動をうたう端末がどんどん出てきて欲しいと思います。LTE通信はバッテリー消費も大きいので、端末の薄さや軽さよりもバッテリー容量を重視すべきですよね?
マジメな予想としては、OS4.0搭載のディスプレー5インチクラスのフルHD解像度スマホが出るはず。デュアルコアかつデュアルチャンネルメモリーで武装するガチガチのハイエンドが来ますね! あとはイー・モバイルの『Sony Ericsson mini』や『Xperia ray』のような小型端末がもっと出るはず。ユーザーの志向によって、大型ハイエンドと小型端末の両極化が進むのではないでしょうか。
スマホ班 山口ひろ美 |
NFCや無接点充電といった新技術の搭載はもちろん、“ケータイで当たり前だった機能やサービスがスマホにも”の流れがさらに発展すると思います。おサイフ、ワンセグ、赤外線の“日本独自機能3種の神器”に加え、防水もすでに珍しくはなくなりました。これまでのように単に搭載(対応)して満足ではなく、もっと磨きがかかると思います。
スマホはまだ電話機として考えるとケータイより使い勝手の悪い部分もありますし、老若男女誰にでも使いやすいようにはなっていません。たとえばキッズ向けやシニア向けなど、ユーザーカテゴリー別に細分化した製品が出てくる可能性もあると思います。端末のデザイン面でも、差別化をはかって趣向を凝らしたいろいろなものが出てきそう。冬春モデルではすでに女性ターゲットの機種やコラボ端末が出ましたが、さらにユニークなものが出てきそうな予感です。
個人的な希望では、スペックとデザインの希望がなかなか両立しないため、スペックがいっさい劣らない女性向けデザインの機種が欲しいです。ケータイ時代からずっと思っているのですが、いっそのことBTOできるようになってほしい。ベースモデルを選び、追加料金でCPUを変更したり、メモリーを多く積んで最強のスマホにできたら、多少高くても2年ガマンできるかもしれないのに……。
スマホ班 ガチ鈴木 |
電話とキャリアメール、Eメール、ツイッター、フェイスブックだけ出来て防水防塵、おサイフといった生活密着系のものは完備。ピンポイントで機能少数なフィーチャーホンが出て爆発的なヒットになります。それにともない、スマホとのお得な2台持ちプランが登場して、スマホは電話で使わない人がもっと増えます。
あとは、タッチパネル端末に1920×1080ドットの丸められる電子ペーパーが付いたフルHDディスプレースマホが登場します。映像や書籍系のコンテンツもいっそう普及するでしょう。
週アスでは、スマホに貼るアニメシールが付録で登場します。もちろん、2012年最大の話題作である『アクセル・ワールド』で。その際、ニューロリンカーというケータイ端末をつくろうとコラボさせてもらいます。いや、したいです。もっと先へ……加速したくはないか?
スマホ班 竹子 |
まず、カメラ機能は進化を続け、ズームレンズを外付けやオプションで搭載するタイプが出てくると思います。
TwitterとFacebookアプリの標準搭載は当たり前で、よりAndroidやその他標準アプリとの統合が進むでしょう。どの画面からもTwitterやFacebookに投稿できるUIになります。
公式のTwitterアプリとFacebookアプリの機能と操作性が成熟し、サードパーティー製のクライアントは衰退する傾向になると思います。人気のあるものだけが残るのでは。
また日本では、TwitterとFacebook以外のSNSは日本独自のものが成長すると思います。携帯電話からスマートフォンへの移行に伴い、グリー、アメーバに親しんでいるユーザーが急増するので。
次期iPhoneは高速通信に対応し、また売れるでしょうね。iPhone 4Sを買い控えている層がたくさんいますから。
BlackBerryの動向も気になるところですが、次期OSの開発途中とあって、来年は大きなニュースなく停滞するのでは、と思います。BlackBerry Bold 9900のようなヒットモデルのカメラ性能や通信速度など、スペック的に足りない部分を地道に上げていく戦略が正解だと思うのですが、どうなることやら……。
アックン・オッペンハイマー(ACCN Oppenheimer) |
細かい機能はさておき、4G移行がトピックであることは間違いないでしょうね。これが進まなかったら、大日本帝国人民はデータ定額を諦めることになります。それからiPhoneだって、サムスンの新機種だって、もうガンガン複数キャリアから出るでしょうな。これも間違いない。WindowsPhoneはまばらでしょうけど……。あとはソニエリブランドどーなっちゃうのーとか、いろいろ気になることはございますが、2月のMWC2012を待たずして、いろいろ情報が出てくるでしょう。日本一の取材力を誇る記者団&スマホ班が所属する週刊アスキー&週アスPLUSに引き続き大注目ですよ。宣伝オチかい。あ、ただ、あとひとつだけ。正直、もう日本において従来のケータイ販売モデルは合っていない、と思うのは私だけでしょか……。
少々本筋からそれますが、端末を買うたびにショップの店員さんにいろいろ確認されたり、何かに縛られたりというのは、ジャイアンさんや私のような毎月何台も買うような輩には非常に億劫でありまして、どうか諸外国のようにスマホがチャリーンと手軽に買えるようになるといいなぁ……と、もう何年も前からですが思っているのです。2012年こそ、そうなって!
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