Googleは11月27日、小中高生を対象とした“Doodleロゴ”のデザインコンテスト『Doodle 4 Google』のグランプリを発表した。Googleによれば、『Doodle』(ドゥードゥル)の意味は、“いたずら書き”。Googleのトップページに出てくるロゴを、祝日や記念日に合わせて特別にデザインしたホリデーロゴのことだ。
応募対象は小中高生で、「将来やってみたいこと」をテーマに総数10万6626点ものDoodleロゴが日本各地から寄せられた。さらにそのなかから地区予選を通過した40作品を選出し、全4部門(小学校1~3年生、小学校4~6年生、中学生、高校生)の最優秀賞4点とグランプリを決定。また、特別賞として『Doodler賞』と『Googler賞』も追加で選出した。
ちなみにコンテストは今回で3回目を迎え、なんとウェブからの募集だけで過去最多の応募者数を記録。なお、各部門の応募数は、小学校1~3年生部門で約2万作品、小学校4~6年生部門は約3万5000作品、中学生部門は約4万作品、高校生部門は約1万作品だった。
グランプリ作品「おかあさん」 |
↑東京都文京区立駕籠町小学校1年、床井 海心(とこい あみ)さんの作品。 |
選考委員は、絵として使うのが難しい、“Google”の“G”が妊娠しているお母さんのお腹、“e”は乳母車と、デザイン的に違和感なく巧みに描かれている。また、お母さんになりたいという素直な気持ちとダイレクトに温かさが伝わる作品だとコメント。また、この作品は小学校1~3年生部門の最優秀賞とのダブル受賞となった。
小学校4~6年生部門の最優秀賞「銀行員になりたい」 |
↑徳島県徳島市加茂名南小学校5年、板東 亜沙香(ばんどう あさか)さんの作品。 |
受賞者のお母さんは銀行員をしており、印鑑の大切さを学んだとのことで、シンプルなデザインのなかにはっきりとしたメッセージが込められている印象だ。特別審査員の東京藝術大学絵画科准教授、中村政人さんの講評では「デザイン的にいじりたいところを丸に納めてすっきりまとまっている。現実的な作品で日本の経済を支えてくれるのでは」とコメントした。
中学生部門の最優秀賞「彩って自分の夢へ」 |
↑滋賀県守山市立守山中学校2年、岩本 汀(いわもと なぎさ)さんの作品。 |
さまざまな素材の質感をリアルなタッチで表現した作品。作者の岩本さんの夢はイラストレーターで、美大に進学したいと語った。構成力の高さとイラストが好きな気持ちが伝わってくる。特別審査委員の東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授、日比野克彦さんさんは「藝術大学でお待ちしております」と励ました。
高校生部門の最優秀賞「世界経由、新しい発見行き」 |
↑神奈川県神奈川県立大船高等学校1年、三船 亜子(みふね あこ)さんの作品。 |
世界に対する愛情とあこがれを強く感じるロゴ。「夢はまだ決まってはいないけど、どんな仕事に就いても世界とつながっていたい!」と三船さん。よく見ると、国連に加盟している約190もの国旗が描かれている。
Doodler賞「幼稚園の先生と楽しそうな子どもたち」 |
↑宮崎県宮崎市立赤江中学校3年、吐師 史織(はし しおり)さんの作品。 |
Doodleのデザイナー、スージー・セイヒムさんは、「Googleの文字を上手く楽器を使って表現しているのと楽しげな様子に今回いちばん刺激を受けた」と選考理由を語っていた。
Googler賞「思い出ができるまで」 |
↑広島県広島県立祇園北高等学校2年、田羅 義史(たら よしふみ)さんの作品。 |
イラストとしての画力と、ケーキを作るというストーリー性の高さで、一般投票で人気が高かった。
予選通過作品を描いた子供達をGoogle社内に招待 |
授賞式後、作品を描いた子供達はGoogleに招待され、社員食堂でパーティーを楽しんだほか、社内を見学した。
現役Doodleデザイナーがライブでロゴ作成 |
『アース・デイ』など、今まで100作品以上のDoodleロゴをデザインしたスージー・セイヒムさんが来日。パーティーでは、Doodleロゴのライブ作成を披露した。
アース・デイのロゴ |
↑2010年4月22日のDoodleロゴとして使われた。 |
デザイン画 |
スージーさんによると、ロゴのデザインを考えるときは「Googleロゴの文字を薄くしてテーマのシンボルとなるものをどの文字におけばいいのか考える。たくさんラフスケッチを描いてアイデアを形にする。」とのこと。作業時間はまちまちで、遅くて60~70時間、早くて10秒で仕上がることもあるという。
メッセージが強く伝わるロゴを |
『Doodle 4 Google』の選考委員で自身もDoodleのデザイナーをしているGoogleウェブマスターマネージャーの川島優志さんに、今回の選考ポイントと次回のコンテストに向けて作品をつくるコツを聞いてみた。
今回の選考ポイントは?
川島さん「作品やテーマに対して、情熱が感じられるか、想像性があるかを重視しました。また、何より自分の未来に対してどれほど想いがあるのかが重要なポイントでした。グランプリの床井さんの作品の“やさしいお母さんになりたい”というメッセージはありきたりではありますが、強い真っ直ぐな想いがあり、心を打たれるものでした。」
次回のコンテストで勝ち残るには?
川島さん「実際にGoogleのホームページに掲載されるとして、どういう作品だったらふさわしいのかを考えます。ありきたりではなく、たとえ画像が小さくてもメッセージが強く伝わるものが大事です。さらに、独創的で創造性のある“ひとひねりある作品”が勝ち残りやすいでしょう。」
子供達の作品は、大人が思いつかないような豊かな発想力にあふれ、筆者もだいぶ刺激された。Doodleコンテストの大人部門があったら、ぜひ参加しようと思う。なお、作品は11月28日から12月25日までの期間、『3331 Arts Chiyoda(アーツ千代田)』にて展示されるので、入場無料なのでぜひ。
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