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名実ともに最強のCore i7登場!! インテルのハイエンドCPU“Sandy Bridge-E”

2011年11月14日 17時01分更新

名実ともに最強のCore i7登場!! インテルのハイエンドCPU“Sandy Bridge-E”
名実ともに最強のCore i7登場!! インテルのハイエンドCPU“Sandy Bridge-E”

インテル最上位プラットフォームがついに世代交代

 インテルは2011年11月14日、“Sandy Bridge-E”の開発コード名で知られるCore i7-3000番シリーズのCPU3モデルを正式発表。2008年11月に登場してから約3年間最上位プラットフォームだったLGA1366版Core i7とX58チップセットから世代交代し、インテルのハイエンドCPUにも、ついにSandy Bridgeの波が来た。

 本日発売されるのは、3モデルの中の上位2つ。『Core i7-3960X Exterme Edition』(3.3GHz)と『Core i7-3930K』(3.2GHz)だ。両機種とも6コア12スレッド仕様(ハイパースレッディング対応)となっている。気になる方も密かに多いであろう、比較的手ごろな4コア8スレッドモデル『Core i7-3820』(3.6GHz)は、2012年に持ち越しとなっている。

Core i7-3000番台のラインアップ
名実ともに最強のCore i7登場!! インテルのハイエンドCPU“Sandy Bridge-E”

 価格の点で面白いのは、最上位である3960X Extreme Edition(XE)だ。XEシリーズといえば、「実売価格が約10万円」という印象が強いが、今回は円高のためか、予想実売価格が約8万6000円まで下がっているのだ。アメリカでは今回も999ドルなので、割安感が強い(といっても、CPUとしてはやはり高価なのだが……)。

 なお、注意したいのは、Sandy Bridge-EはGPUを内蔵しないため、別途グラフィックボードが必要になる点と、CPUクーラーが付属しない点だ。なお、インテルからは『RTS2011LC』という純正水冷クーラーと、純正空冷クーラーが発売する。

純正水冷クーラーが登場!
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↑LGA1155やLGA1366にも対応する純正水冷クーラー『RTS2011LC』。予想実売価格は8500円前後。

同じCore i7でも、LGA1155版とは大違い

 Sandy Bridge-Eはシリーズ名こそCore i7だが、最上位のプラットフォームらしく特徴が多い。とくに目立つのは、3次キャッシュメモリー容量が大きい点、LGA2011という新ソケットが採用されている点、そしてメモリーが同時4チャンネルアクセスにまで対応する点だろう。

 3次キャッシュメモリーが大容量になっている点は、とくにLGA1155版のCPUに比べると大きな特徴だ。3960Xでは15MBもの容量が確保されており、3930Kでは12MB、3820でも10MBだ。LGA1155版のCPUでは最上位のCore i7-2700Kでも8MBなのを考えると、非常に贅沢な設計と言える。

LGA2011ソケットは2本のレバーで固定
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 LGA2011のソケットはLGA1366よりもひと回り大きく、装着に必要なレバーも2本になっているため、印象は強烈だ。ただし、CPUの取り付けは見た目のように難しくはない。レバーを操作する順番もソケットやマザーボードのマニュアルに書かれているので、それに従えばオーケーだ。

 また、CPUクーラーの取り付けは、ソケットの外周に設けられたネジ穴に留める方式となっている。LGA1155版のプッシュピン式と違って手間はかかるが、確実な固定が可能だ。

8スロット仕様もある4チャンネルメモリー
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 メモリーに関しては、同時4チャンネルアクセス対応のため、基本は4枚ひと組での使用となる。実際のメモリースロットの数はマザーボードによって異なるが、最低は4基。高級機では6基や8基といった製品もある。なお、速度に関しては、正式にはDDR3-1600まで対応。マザーボードによってはオーバークロック設定も可能になっている。

インテル純正マザーボード『DX79SI』
名実ともに最強のCore i7登場!! インテルのハイエンドCPU“Sandy Bridge-E”

 組み合わせられるチップセットは、Sandy Bridge-E専用ともいえる新チップセット『Intel X79』となる。基本的な特徴はSATA6ポート(うちSATA3が2ポート)、USBは2.0までの対応とIntel P67に近い。

 ちなみに、オーバークロックに関しては、3960Xと3930Kの2モデルは、CPU内部倍率フリー状態になっている。3820は倍率フリーではないが、限定で倍率を上げられる仕様だ(ただし実際の上昇率は現状では不明)。

 また、Sandy Bridgeではほとんど上昇できなかったベースクロック(BCLK)設定も、新しく加わった“Host Clock Multiplier”と呼ばれる特殊な倍率設定(ただし、マザーボードメーカーによって呼び名は変わる)により、柔軟な操作が可能になっている。マザーボードによっては133MHzでの動作も可能なようだ。

Core i7-3960Xの実力は?

 さて、なんといっても気になるのはその実力。先に結論を言ってしまうと、Sandy Bridgeからは「横綱相撲」と呼びたくなるほどの順当な強化になっている。11月21日発売の週刊アスキーでは詳細なベンチマークテストを予定しているが、今回は速報としていくつかのテストを紹介しよう。

■検証環境

CPU(LGA2011):Intel『Core i7-3960X Exterme Edition』(3.3GHz、サンプル版)
CPU(LGA1366):Intel『Core i7-990X Exterme Edition』(3.46GHz、サンプル版)
CPU(LGA1155):Intel『Core i7-2600K』(3.4GHz)
CPUクーラー:Intel『RTS2011LC』(水冷、すべて共通)
マザーボード(LGA2011):Intel『DX79SI』(Intel X79)
マザーボード(LGA1366):ASRock『X58 Extreme6』(Intel X58)
マザーボード(LGA1155):ASRock『Z68 Extreme4 Gen3』(Intel Z68)
メモリー:A-Data『AD3U1333C4G9-2』(4GB×2)×2セット※LGA1366環境では3枚だけ使用
グラフィックボード:ギガバイト『GV-N580UD-15I』(NVIDIA GeForce GTX 580)
SSD:Crucial『m4 CT128M4SSD2』(128GB)
光学ドライブ:LITEON『IHAS324-27』(DVD-R/RW)
電源ユニット:玄人志向『KRPW-G630W/90+』(80PLUS GOLD)
OS:Windows7 Home Premium(64ビット)

動画エンコードでは意外な弱点が……?

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 まずは、コア数の多いCPUで定番となっている動画エンコードの速度を、サイバーリンクの動画変換ソフト『MediaEspresso 6.5』で測ってみた。

 3960XでフルHDのAVCHD動画(再生時間2分50秒)をiPhone4用のmp4に変換したところ、“高速”設定で1分23秒、“高画質”設定では2分59秒となった。990Xではそれぞれ1分30秒と3分10秒、2600Kでは1分38秒と3分13秒なので、「6コアのSandy Bridge」として順当な高速化と言える速度だ。

 ただし、Sandy Bridge-Eは、内蔵GPUがないためか、クイック・シンク・ビデオ(以下、QSV)が搭載されていない。ゆえに、2600KでQSVを有効にすると、「高速」が21秒、「高画質」でも35秒と大幅に速度アップして、さすがの3960Xも追いつかなくなってしまう。画質に関しては基本的にQSVを使わないほうが良いとはいえ、この点は悩ましいところだ。

3Dレンダリング処理は納得の速度

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 次に、CPUの処理速度の影響が大きな3Dレンダリング処理の速度を、MAXONの『CINEBENCH R11.5』で測定。1コアあたりの地力を見るため、デフォルト(CPUの最大スレッド数を使う)と合わせて、スレッド数を1にした状態でも比べてみた。

 2600Kではそれぞれ6.85と1.53、990Xでは9.3と1.25となった。これはデフォルトでは6コアのパワーが発揮されるが、1コアあたりはSandy Bridgeの方が性能が高いと言える結果だ。

 これが3960Xになると、それぞれ10.45と1.57となり、すべての面で上回るスコアーを記録。2600K以上の1コアあたりの速度を持ちながら6つのコアが力を発揮できるという結果になっている。やはり順当なパワーアップと言えそうだ。

気になる消費電力は……?

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 最後に、ハイエンドCPUということで気になる消費電力を、電力計で測定した。アイドル時としてはOS起動から5分後での状態を、高負荷時としてストレステスト『OCCT Perestroika 4.0』のCPUテスト実行時(=CPUにだけ100パーセントの負荷をかけた状態)を測っている。

 2600Kではアイドル時82W、OCCT実行時174Wになった。対して990Xではアイドル時122W、OCCT実行時は234Wとさすがに高い。そして3960Xは、アイドル時75W、OCCT実行時は215Wという結果になった。

 なんとアイドル時はマザーボードと内蔵GPUぶん(省電力設定はBIOSのデフォルトなので、有効になっている模様)のせいか、2600Kよりも低い結果になった。絶対値としても、この構成で75Wというのは立派だろう。高負荷時で990Xよりも低くなっている点も見逃せない。

“6コアSandy Bridge”の期待を裏切らない実力

 結論としては、ベンチマーク結果でもお伝えしたように、まさに「6コアのSandy Bridge」というイメージ通りの性能だった。価格やTDPなどの高さ、性能をフルで生かすためにはメモリーが最低4本必要……といった敷居の高さはあるものの、そこは“ハイエンド”、誰にも負けない性能を手に入れたい猛者にとってはどんとこい!ということころではないか。特にSandy Bridgeを横目で見ながら、LGA1366マザーを使っていたハイエンドユーザーにとっては、期待を裏切らないCPUと言えるだろう。

 なお、倍率変更を使い、常用できるレベルのオーバークロックも試してみたところ、4.6GHz(BIOS設定でのCPUコア電圧 1.425V)で安定動作。OCCTのCPUテストも1時間30分以上安定動作した。CPUの個体差のためか、2600Kに比べるとやや低めに見えるが、6コアであることを考えると優秀ではないだろうか。

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