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【カワイイ文化追っかけ日記03】初訪問のメキシコで出会ったカワイイたち

2011年09月21日 22時00分更新

  2011年2月、私の文化外交20ヵ国めの訪問国はメキシコとなった。

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メキシコの世界遺産、ティオティワカン遺にて。

  メキシコでは『TNT Expo Manga Comic』という、アニメを中心にした日本ポップカルチャー紹介イベントに参加しつつ、各所で文化外交を行なってきた。

 2009年には南米ブラジルにてカワイイ大使を連れて11泊14日の文化外交ツアーを行ない、現地での熱狂的なカワイイ熱を体験していただけに、予想はしていたのだが、遠いメキシコの地でカワイイ文化を愛してやまない女子たちを目の当たりにすると感無量だった。

 メキシコから直通バスで5時間ほどゆられたベラクルス州の州都ハラパを訪れたときのことだ。

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ベラクルス州の州都ハラパの街並み。

  講演会場は街の小さな映画館。200名ほどの座席がいっぱいになるほど多くの若者が集まってくれた。

 ハラパで出会った女子がとにかくYAOIの話をするので、会場でも聞いてみた。

「YAOIの人~!?」

女子の3分の1以上が手をあげる。そのときの女子たちの笑顔、盛り上がりぶりも毎度のことになりつつある。

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ハラパの講演会場で現地の若者たちと。

 彼女たちは、主人公の周りに女子キャラがいるのはイヤなのだという。そのため有名アニメ女子キャラが具体名を挙げられて、文句を言われ放題。二次元に恋する乙女ならではのライバル心といった感だ。

 ちなみに来場者全体にとくに人気が高いアニメは『鋼の錬金術師』と『BLEACH』だった。

インターネットで原宿に出会

 そんな来場者のなかに、カワイイ文化を愛してやまないことが見た目で明らかな女子が2人いたので、終演後にインタビューしてみた。

 ピンクの服を着たヤキさんは19歳。服は自分なりに原宿ファッションを意識して作ったのだという。

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原宿を意識したヤキさんのリメイクファッション。

 「インターネットでファッションのトレンドを調べていて、原宿ファッションを知りました。ハラパで原宿を意識した服をいつも着ているのは私たち2人だけです」

 大変失礼ながら、ハラパという街のことは、自分がメキシコに来ることになるまで知らなかった。その街で圧倒的に知られている日本アニメの存在。自らの日常ファッションにカワイイを取り入れた2人を発信基地のような存在にして、原宿がハラパに浸透していくのはそう難しいことではないだろう。彼女たちもまたそのことを望んでいた。

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ヤキさんのファッションはディテールにもこだわりが。

  そんな彼女たちに日本人のイメージを聞いてみた。

「クリエイティブな力をもった人々だと思っています。ファッションも髪型など日常に関することでもそうです」

 日本人のオリジナルなクリエイティビティーを評価する海外の若者には、いつも日本がこれからどういう道を歩んでいくべきかを教えられる。

 彼女たちとハラパの街を歩きながら写真を撮らせてもらった。周囲を歩く人たちが振り返る。でも、その視線は決して嫌なものではない。われわれなりの小さな小さなファッションショー。こうした積み重ねが、若者が自分の個性を発揮できる環境づくりにつながっていけばいいなと思う。

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夜のハラパの街を、ヤキさんとヤキさんの友人の2人と歩いた。

  そんなヤキさんがiPodに入っているお気に入りの曲を聴かせてくれた。韓流の女子アイドルたちだった。日本のカワイイを追っかけていくと必ず出会う韓流アイドルたち。これもまた世界のひとつの現実だ。

『TNT Expo Manga Comic』は日本でいっぱい

 メキシコ最大の日本ポップカルチャー紹介イベント『TNT Expo Manga Comic GT5』。パリのジャパンエキスポなどと比較すると会場の規模はさほど大きくないが、集まる若者の熱気はそれに勝る勢いだった。

 ちなみに今回の同エキスポには日本からも、桃井はるこさんが招待され、ライブを行なった。メキシコらしく(?)、ライブの途中で電源が落ちるハプニングもあったようだ。

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メキシコシティーで開催される『TNT Expo Manga Comic』。

  会場の華はなんといっても世界共通でコスプレイヤー。ここでも圧倒的に数が多いのは初音ミク関連のコスプレだった。ミクがいかに海外に浸透しているかは、コスプレをみればまさに一目瞭然である。

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初音ミクとボーカロイドのコスプレイヤーが会場にはたくさん。

  秋葉原と原宿の再現。世界の日本ポップカルチー紹介イベントの共通事項はここでも顕在だった。

 自作のアクセサリーを売る店からロリータ服の少女まで、夢に見る原宿に憧れを抱きながら、彼女たちはエキスポ会場でとっておきの1日を楽しんでいた。

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会場にはカワイイ文化がいっぱい。
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こちらもカワイイファッション。色使いがなんとなくラテンっぽい!?
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カワイイふうのアクセサリーを売るお店も。小物はメキシコ人お得意の分野だ。

  おもしろかったのは“Otakubento”(オタク弁当)なるお弁当が売られていたこと。中身はとくに変わったものではない、ごく普通の揚げ物弁当だ。“OTAKUと”“OBNTO”という、“KAWAII”に次いで世界語化している日本語にここでも出会えたわけだ。

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人気メニュー!? オタク弁当は50ペソ(約300円)。

 メキシコでも『アンカフェ』が大人気!

 本連載ではおなじみ、世界で圧倒的人気をほこるビジュアル系ロックバンド、アンティック-珈琲店-(アンカフェ)のファン、“カフェっ子”たちには、今回のメキシコ行脚でもお世話になった。

 メキシコ訪問は初めて。だがツイッターでたくさんのカフェっ子たちがメッセージを送ってくれていたので、初めての気がしない。リアルとバーチャルのつながりは、島国である日本にとってもますます大きな課題と戦略になってくるのではないだろうか。

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メキシコ人女子のスマートフォンの画面にアンカフェの輝喜を発見。

 EXPO-MANGA COMIC会場では、アンカフェのグッズやCDが売られていて、なんだか彼らに見られているような気分にさえなる。

 

 ファンの合言葉「ニャッピー」もここでも当たり前。言葉が通じなくても、お互いの距離が縮まる魔法の言葉なのだ。

(了)

 

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カフェっ子の決めポーズ“ニャッピー”は世界共通だ。
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