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壊したマウスの数から筋トレ事情まで! ZOWIE GEARテストプレーヤー“スポーン&ヒートン”と座談会

2011年09月01日 17時00分更新

 ドモー! 日本FPS界の古参プレイヤーBRZRK(バーサーク)です。僕は今から10年ほど前に世界的にブームを起こし、今もなお遊ばれている『Counter-Strike』と呼ばれるゲームで何度も世界大会に日本代表として参戦した経験があります。
 当時、世界で最も強いチームと呼ばれていたのがクラン“SK-Gaming”。その中核を担っていたプレーヤーの2人が、自ら開発に携わるゲーミングデバイスメーカー“ZOWIE GEAR”のアピールのために来日しているとの情報をキャッチしたので、早速現地へ突撃!

 「まさかアノ有名プレーヤーと日本で会えるなんて!」と、胸を踊らせながらZOWIE GEARの販売代理店であるマスターシードの会議室へ。そこには多数のメディア(ほとんどがゲーマー時代からの顔見知りだが)が待機していた。通常、こういった場合はメディアごとに時間をわけてインタビューが催されるのだが、今回はフランクに座談会形式でワイワイとIRCのチャットのノリでやろうとのこと。「なんか不思議だけどおもしろそうだ!」などと思っていると関係者が入場し、座談会スタート。

●ZOWIE GEARの面々

Vincent Tang(以下、ビンセント)
ZOWIE GEAR座談会
↑ZOWIE GEARのCEO。台湾を代表するプロゲーミングチーム“UMX.TW”の活動を支援している。
Eric Su(エリック)
ZOWIE GEAR座談会
↑ZOWIE GEARの製品開発担当。座談会では技術的な質問は彼に任された。
Abdisamad "SpawN" Mohamed(以下、スポーン)
ZOWIE GEAR座談会
↑マウスパッド『TFシリーズ』、『SWIFT』の共同開発者。キーボード『CELERITAS』、ヘッドセット『HAMMER』を始めとするZOWIE GEAR製品のテストプレーヤー。
Emil 'HeatoN' Christensen(以下、ヒートン)
ZOWIE GEAR座談会
↑マウス『EC1』『EC2』の共同開発者。ヘッドセット『HAMMERを始めとするZOWIE GEAR製品のテストプレーヤーだ。

ビンセント:今回は『ZOWIE GEAR』のプロモーションで来日しているので、ZOWIEの製品について良い事だけを記事にしてください。でなければこの会議場から出させません(笑)。我々はZOWIE GEARの開発理念についてのお話や、ゲーミングギアについて再定義をしたいと思っています。我々の定義することを念頭において、いろいろな製品との比較や判断材料にしてほしいと思います。

スポーン:ヘイガイズ! 俺はアブディサマッド・モハメッド。知っている人は俺を“SpawN(スポーン)”って呼ぶんだ。俺は選手活動をしていた約10年間で何度もCounter-Strikeの世界チャンピオンになった。引退してからは“HeatoN(ヒートン)”といっしょにフルタイムでZOWIEの製品開発に携わっているよ。

ヒートン:ヘイガイズ! 俺はエミル・クリステンセン。27歳。スウェーデンからやって来たんだ。Counter-Strikeをメインにプレーしている。9年間プロとして選手活動をしていて、9回世界チャンピオンになったことがある。今はプロゲーマーを引退したけど、完璧なゲーミングギアをゲーマーたちに届けるためZOWIE GEARで開発しているよ。

ビンセント:我々のゲーミングギアはシリアスゲーマーを対象にしており、カジュアルゲーマーに向けての製品ではない。私からすればMMORPGはこの対象ではないんだ。代わりにFPSやRTSといったジャンルのシリアスゲーマーを対象にしている。例として、ゲストのふたり、ヒートンとスポーンが以前はどういった基準でゲーミングギアを選んだかを説明します。

スポーン:まずComfortable(快適にプレーできること)、Performance(パフォーマンス)、Stability(安定性)の3つだね。快適さは手に馴染むかとかの問題だからいちばん重要だね。

ビンセント:本当のゲーマーにとって重要なのはこの3つだとわかったんだ。これに対して真のゲーマーとは言えない人達の選択基準はPrice(価格)、Functions(機能)、Specification(スペック)、Looks(見た目)が優先されるんだ。これらはメチャクチャ異なる次元のものなんだ。今回、ここ日本に来てすべてのゲーマーに伝えたいのは、『セールスうんぬんよりも真にゲーマー向けのゲーミングギアを提供したい』ということを念頭に置いているということ。といっても売り上げも重要だけどね(笑)。

ビンセント:今回は座談会という形式なので、特にNGや禁止事項はナシの方向で楽しくやれればなと思っているよ。だから遠慮なんて無用だからガンガン質問しちゃってほしい。

スポーン:別に靴のサイズでもいいからね(笑)。

一同:爆笑

 ビンセント氏を含め、伝説のゲーマーのお2人も、かなりノリの良い感じで質問に応じてくれる模様だ。それではさっそく色々と聞いてみるしかない! ということで、各メディアは思い思いの質問をぶつけてみることに。
 

――プロゲーマーの活動を辞めてからゲーミングギアの開発に関わったのはなぜ?

スポーン:ゲーマーとしては行くところまで行ったので、次のステップとして何をすべきかと考えたとき、必然的にゲームに関連した仕事に携わりたいと思っていた。今までの自分のもっている知識などを生かすにはゲーミングギアの開発がベストだと思っているからさ。ゲームに関連した仕事は趣味の延長でもあるしね。

ヒートン:引退してからZOWIEのビンセントと出会ったのがきっかけだね。プレーヤー時代に自分が求めていたデバイスがあったけど、理想とはちょっと違ったんだ。それを具現化させるために開発に携わるようになったんだ。
 

――お2人とも筋肉質ですけど筋トレをやってるんでしょうか?

スポーン:スポーツが好きだからかな? でも、今年の夏はハンバーガーを食べ過ぎてちょっとヤバいかもしれない(笑)。

ヒートン:プレーヤー時代は1日15時間をゲームに費やしていたんだけど、リフレッシュのために体を動かすようにしたのがきっかけかな? 身体はもちろん、メンタル面でもリフレッシュできるようになったのは良かったよ。重量挙げとかが好きだね。

ビンセント:私は(ゲームだけではなく)筋トレもしろと指示してるよ(笑)。

スポーン:最近はサボりすぎてたんで、スウェーデンに戻ったらハンバーガーぶんだけ運動しないとね(笑)。
 

――選手時代にデバイスに対して不満だったことってあるの?

ヒートン:マイクロソフトのインテリマウスエクスプローラー3.0を使い続けていたから違いはよくわからないかな。でも、ほとんどのゲーマーがいろいろなマウスがあるのに試さず、同じデバイスばかりを使っているのは悲しい事実だよね。
 

――ぶっちゃけ、自分の製品はマジで使っているの?

スポーン:もちろん。

ヒートン:自分が関わった製品だから責任もあるしね。よくある名前を貸すだけってセコイことはしないよ。有名プレーヤーの中には、ZOWIE GEARの製品を本当に使いたいのだけどスポンサーとの問題で使うことができないと嘆く人もいるくらい評判はいいんだ。それに、掲示板などで良い評価があれば開発のモチベーションも上がるね。
 

――ちなみにお2人のマウス設定はどうなってるの?

スポーン:1000dpiでポーリングレートは500Hz、ウィンドウズのマウス設定は左から3つ目。Counter-Strikeのマウスの感度は3.3が基本だけど状態によって前後する。

ヒートン:1000dpi、ポーリングレートは1000Hz、ウィンドウズのマウス設定は左から3つ目。Counter-Strikeのマウスの感度は3だね。
 

――ほかのメーカーではウィンドウズの設定もゲームの設定も変えずにゲーミングデバイス側でコントロールするのが正しいと提唱しているメーカーもあるけど、ぶっちゃけどう思う?

ビンセント:別に他社がどうこう言おうと反対はしないし、それは各個人ごとに好き好きでいいと思う。スポーンはポーリングレートを500Hzでやってるけど、“mTw”という有名なクランの場合は125Hzがベストだと言っている。自分のやりやすいセッティングを見つけてプレーすればいいんじゃないかな? でも、これらの数字ってさほど重要ではないと思う。
 

――では、スペックを追求せずにどうムーブメントをつくっていくの?

ビンセント:スペックを追求してアピールするのはすごく簡単なんだよ。だけど、ZOWIE GEARではゲーマーとの関係を深くもち、彼らから得たフィードバックを製品に反映させることでより良い製品を世に出すことができるんだ。あとはコミュニティーがクチコミをしてくれる。
 

――製品開発でいちばんフラストレーションがたまるのって何?

スポーン:……(無言でビンセントを指さしている)。
 

―今日はNGはないのでぶっちゃけてください!

スポーン:製品のテストとかを急かされてしまうのがキツイ。

ヒートン:LOD(Lift of Distance:マウスを浮かしたときにどの高さまで検知するかの意)の調整がいちばん厳しい。これをうまく調整できないと本当にストレスフルになってしまう。
 

――こういう場合の開発って何をやっているんですか?

ヒートン:最初にマウスを握る写真を撮影して次に型を取る。型ができたらホイールを創り上げるんだ。で、最後に搭載するエンジンの細かい設定を決める。といった作業を行なっているんだ。
 

――他社は最近方針転換してLEDを付けだしたりしてますよね。ZOWIEでは派手なLEDを搭載したりはしないの?

ビンセント:一切不要だ。LEDを搭載したからといって勝負に勝てる? 別に利点は何もないよね? だったら要らないよ。
 

――関係ないんですが、これまでにマウスを何個くらい破壊しましたか?

ヒートン:10~15個くらい。怒りが抑えきれずにぶっ壊したことは何度もある。

スポーン:1回もないっす。

ビンセント:君はマウスを壊す前に相手の腕を破壊するからね(笑)。
 

――ヘッドセットもリリースされていますが、ヒートンさんは大昔にゼンハイザー社の『HD 650』がベストなヘッドフォンだと豪語していましたよね?

ヒートン:うん。HD 650は本当に素晴らしい製品だったよ。だけど500ドル近くもするし値段的に無理があるんだよ。だからZOWIEではHD 650を越えるヘッドセットをつくるのがコンセプトのひとつになっているよ。
 

 といった感じで、根掘り葉掘りと聞きたいことをズバズバ聞くことができた、不思議で貴重な座談会となりました。座談会終了後は実際にヒートン氏とスポーン氏と対戦する機会が得られたので、Counter-Strikeの2on2で勝負を挑んでみることに。

Counter-Strikeで2on2の頂上決戦
ZOWIE GEAR座談会
↑ZOWEI GEARチームの2人と20ラウンドの2on2バトル。たまに日本勢が2人を倒すと「オォー!」と会場がどよめくほど、スポーンとヒートンは日本勢を圧倒した。

 僕の相方となるのは10年以上の付き合いのあるクラン“廃人軍団”(日本最古のチーム)の総帥で、別媒体の取材で来ていたKAF氏(佐藤カフジ氏)。僕も廃人軍団に所属しているので、いわば『廃人軍団vs元SK-Gaming』といった頂上決戦。まさかこんなクラン戦が極東で実現するとは思ってもいなかったです。

 でまぁ、結果なんですが僕は奮闘するものの、ボコボコにされてしまいました。ほぼパーフェクトゲーム。世界の壁はやっぱり厚かったんだなぁと選手時代の苦い思い出が蘇りました。オエェェェ!

座談会メンバーには限定マウスパッドをプレゼント
ZOWIE GEAR座談会
↑2人の顔面がプリントされたマウスパッドで超レアな非売品。すりきれるまで鍛錬すれば、2人を超えられる!?

 そんなこんなで不思議なイベントでしたが、今後も日本市場へ積極的に製品をリリースしてくれそうなZOWIE GEAR。かなり狭いPCゲーム市場の中でも数の少ないシリアスゲーマーにターゲットを絞っているニッチな部分はありますが、そのぶんリリースされる製品は逸品と言っても過言ではない。なにより幾度となく世界の頂点に立った元プロゲーマーが本気で現役のゲーマーたちを支えるべく開発に携わっているのは大きなセールスポイントと言える。もしこの記事を読んでいる読者のあなたがシリアスゲーマーなら、一度は試しておいて損はないはず!

スポーン&ヒートンと記念撮影
ZOWIE GEAR座談会
↑ZOWIE GEARのゲーミングデバイスと記念撮影(左:スポーン、中央:バーサーク、右:ヒートン)。ヘッドセットは『HAMMER-N』、マウスは『ECシリーズ』、キーボードは『CELERITAS JP』。シリアスゲーマーなら当然、要注目のゲーミングギアばかりだ。
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