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【詳報】Googleが125億ドルでMotorola Mobilityを買収! ソフト/ハード/サービスが融合した新製品登場に期待っ!!

2011年08月17日 10時00分更新

Google_Motorola

↑米カリフォルニア州マウンテンビューにあるGoogle本社。

■約9600億円かけてハードウェアメーカーを買収

 米Googleは8月15日(現地時間)、米Motorola Mobility(以下MMI)を125億ドル(約9600億円)の全額現金で買収すると発表した。MMIは『DROID』シリーズなどのスマートフォン開発で知られるメーカーで、日本ではau by KDDIから『Motorola XOOM』の名称でタブレット製品が発売されている。かつては“Motorola”として世界初のアナログ携帯電話『StarTAC』を1996年に発表したことでも有名だ。Motorolaは、今年1月に業務特化のため会社組織が2つに分割されたが、そのひとつが携帯電話専業メーカーのMotorola Mobility(MMI)である。
 1兆円規模という買収金額の大きさもさることながら(2006年のYouTube買収は17億ドルで現在のレートで約1267億円)、ウェブサービスの会社が携帯電話の開発・製造を行なうメーカーを買収してハードウェア事業に参入するという点で大きな注目を集めている。

Google_Motorola

↑世界初のAndroid 3.0 "Honeycomb"搭載タブレットのMotorola XOOM。すべてのOSアップデートはまずXOOM向けに提供されており、いわゆる“リファレンスモデル”となっている。

■Googleのパートナー携帯電話メーカーにとって脅威になる?

 従来までのGoogleであれば、Androidというソフトウェアやサービスの提供に徹し、実際の携帯電話開発や販売はパートナーである携帯電話メーカーに任せるのが常だった。有名どころではソニーエリクソンやHTC、Samsungといった名前が挙がるほか、日本メーカーもおサイフケータイやワンセグなどを搭載した最新モデルを次々と発表している。MMIもまたパートナー企業の1社だ。
 だが今回GoogleがMMI買収を発表したことで、同社はこれらパートナーと競合関係になってしまった。またスマートフォンの競争激化によりMMI自体の業績も厳しく、新製品投入が遅れたことも相まって会社分割以来2四半期連続で赤字を計上している。こうしたデメリットやハンデがありながらもGoogleがMMI買収を決断したことについて、「特許訴訟での戦いを優位に進めるため」、「Googleが率先して規範となるAndroid端末を開発するため」という2つの理由が取りざたされている。

 現在Googleを巡っては、Androidが特許を侵害しているとしてソフトウェア会社大手の米Oracleから訴訟を起こされている。またAndroidを搭載した携帯電話を販売する各社も、AppleやMicrosoftなどから特許侵害の指摘が行なわれており、必要なライセンス契約を結ぶことを迫られている。AndroidはスマートフォンのOS別シェアで首位となっており、こうしたことが競合他社に危機感を募らせ、その台頭を抑えるべく特許侵害を盾にGoogleやその協力パートナーへの攻撃に走らせているというのだ。
 一方でGoogleらは対抗に十分なだけの特許を保有しておらず、MMI買収もまた、同社が保有する1万7000以上の特許と、7500の申請中の特許を獲得することで、こうした特許紛争に対抗するのではないかとみられている。つい先日には、破綻したカナダのNortel Networksが保有していた膨大な特許を取得するための入札に敗れており、今後もGoogleは特許紛争で苦戦が続くことが指摘されていた。だが携帯電話草創期から活躍するMotorolaの特許を手に入れることで、逆境からの脱出に貢献することになるかもしれない。

■iPhoneのように魅力的で完成度の高い製品が今後登場する?

 またGoogleでは、現在のところソフトウェアの開発に特化しており、AndroidやGoogle TV、Chromebookといった製品分野に進出しても、自らが対応ハードウェアの開発に乗り出すことはなかった。これはソフトウェアからハードウェアまで、一環してひとつの企業が対応するAppleのiPhoneやiPadといった製品とは対照的だ。そこで今後はMMI買収でGoogleが自ら端末開発に乗り出すことで、両者が密接に結びついた、より完成度の高い製品の開発につなげる狙いがあるのではないかと考えられる。これまでにもGoogleは『Nexus One』、『Nexus S』の名称で、主に開発者をターゲットにした標準的な携帯電話端末をHTCやSamsungに依頼して開発・販売していたが、今後は自らが開発・販売していくことになるのだろう。

 今後の展開や影響が気になるところだが、周囲の反応はさまざまだ。Googleは買収後もMMIを独立した企業として存続させ、特別扱いすることはないと明言しており、AndroidパートナーのSamsung、ソニーエリクソン、HTC、LGら各社はその発表に対して歓迎の意を表明している。だが長い目で見てMMIがGoogleと徐々に融合していくのは確実とみられ、競合他社が不利な状況になるのは否めない。
 そこでMicrosoftのWindows Phone 7を採用した端末を積極的にリリースするなど、Androidのみに依存しないマルチプラットフォーム戦略へと移行し、結果的にAndroid以外のプラットフォームに有利な条件が出そろうのではないかという意見がある。
 またFOSS Patents Blogを執筆する特許専門家のFlorian Mueller氏は、現状のMMI(旧Motorola)とAppleの特許訴訟で提示された対抗特許の内容を確認する限り、今回の買収が特許面でGoogleの決定打にはならない可能性が高いと分析している。ほかにも、Android勢の躍進で苦戦を強いられていたNokiaやMicrosoft、BlackBerryのResearch In Motion(RIM)などにとって追い風になるのではないかという意見は根強い。

■特許訴訟対策以上の成果に期待!

 これが“高い買い物”になるかは今後のGoogleの出方しだいだが、同社自身もこうした展開を考えずに買収に乗り出したということはないだろう。技術革新の最先端を走る会社として、特許や訴訟の問題以前に、ハードウェアの会社を買って従来のビジネス慣習を崩してまで実現したい“何か”を目指しているのだと信じたい。まずは、今後1年から2年で登場するであろう、買収の成果となる新製品やサービスに注目したいところだ。

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