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【石川温緊急寄稿】「iPhoneかAndroidか」という二者択一を覆すWindowsPhone

2011年07月27日 19時12分更新

 ついにWindowsPhone7.5が日本で発表となった。導入するキャリアはなんとau。WindowsPhone“Mango”の日本語対応が明らかにされた際には、下馬評として「NTTドコモから発売されるのでは?」という声が大きかったようだが、auは気持ちいいくらいに、その予想を裏切ってくれた。誰しも「あんなにAndroid au、Android auって言いまくっているくせに!」と驚いたはずだ。

新しいコピーを考えなければならないと笑いながら話した田中社長
【石川温緊急寄稿】「iPhoneかAndroidか」という二者択一に対する3つめの選択肢

 ただ、当然のことながら、1年近く前からWindowsPhoneの導入準備は着々と進行していた。昨年10月に、シンガポールでWindowsPhone7が発売された際に取材に行ったのだが、その時にもau関係者が現地を視察していた。先行するシンガポールでどのように受け入れられていたのかを調査するのが目的だったようだ。

 WindowsPhone7.5における最大の特徴はSNSとの相性がずば抜けて優れているという点だ。Facebookのアカウントを打ち込むと、アドレス帳に友達の顔写真が並ぶ。友達の近況が手に取るようにわかり、すぐに連絡が取れる仕組みだ。これまでは、声を聞きたいなら電話、手短に済ませたいならメール、ちょっと暇ならFacebookを起動して様子をうかがいつつ、ダイレクトメッセージを送るというのがコミュニケーションのやり方だった。いずれもアプリを起動してから、友達の連絡先を探して、用件を送るという流れだ。

 WindowsPhone7.5は、まずは友達の顔写真アイコンをタップする。そこで近況がわかり、電話あるいはダイレクトメッセージを送るかを選べばいい。アプリではなく、とにかく、まずは“人”を選ぶことから始まる。この流れがなんともスムーズなのだ。

 折しも、日本にもFacebookブームが訪れようとしている。現状は日本では400万弱程度のユーザーしかいないようだが、着実にまわりにFacebookユーザーが増えているように感じる。ツイッターはやや2ch化しつつあるなか、リアルの関係性をネット上で展開でき、理性が働き、誹謗中傷がほとんどない、というのがFacebookの心地よさでもある。スマートフォンとソーシャルの相性はもともと良いのだが、特にFacebookとWindowsPhone7.5の関係はこれまでまったく進化してこなかったケータイのアドレス帳を根本から変化させるきっかけになると思う。

WindowsPhone7.5はSNS間を横断的に利用できる
【石川温緊急寄稿】「iPhoneかAndroidか」という二者択一に対する3つめの選択肢

 IS12Tを触ってみると、これまでのWindowsMobileだけでなく、スマートフォンとはひと味違ったデザインテイストに仕上がっている点が目を引く。これはデザイナーが黒や白といった、いかにもスマートフォンというカラーバリエーションが増えていく中、あえてシトラスやマゼンタといったビビッドなカラーを持ってきたというのが背景にあるという。これらのカラーは、WindowsPhoneのスタート画面の鮮やかなタイルのカラーに合わせているようだ

 従来のスマートフォンは金属チックで蒸着ばかりが用いられているが、IS12Tでは、そういったデザインとはあえて異なるテイストに仕上げてきた。従来のスマートフォンのアンチテーゼを狙うことで、街中でもすぐにWindowsPhoneと認識できる強い個性を持ったデザインとなったようだ。

 内蔵しているフォントに関しても、英語版のWindowsPhone7で搭載されている“Segoe”という欧文フォントに雰囲気が近い“游ゴシック”という和文フォントを探し出して採用したのだという。クールな英語表記のデザインテイストを壊すことなく、日本語表記を実現するのに苦労したようだ。

 端末に関しては、おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線と言った日本特有機能は搭載されていない。マイクロソフトとして、これらの機能を日本市場に特化して載せる気はなかったようだ。日本特有機能よりも、まずは第一弾を出すのが優先された。

防水・防塵端末としては非常にスリムな筐体に仕上がっている
【石川温緊急寄稿】「iPhoneかAndroidか」という二者択一に対する3つめの選択肢

 だが、日本特有機能がなかったおかげで、幅59ミリというコンパクトなサイズ感でありながら、1460mAhのバッテリーを積むことができたという。スマートフォンの「プロ」を自認し、1ヵ月近くIS12Tを使ってきたという田中孝司KDDI社長も「バッテリーがかなり持つ」と太鼓判を押す。

 IS12Tには32GB(保存可能なデータ容量は28GB)とスマートフォンとして大容量なメモリーを内蔵するものの、外部メモリーには非対応となっている。これは「セキュリティーを重視するマイクロソフトの考えがあり、あえて外部メモリーには対応しなかった」(開発担当者)のが理由なのだという。IS12Tは、カラーバリエーションなどかなりコンシューマーを意識したモデルではあるが、法人ニーズも着実に狙える機種に仕上がっている。

 昨今、スマートフォンブームが巻き起こっている中、やはり一般ユーザーの選択肢としては「iPhoneかAndroidか」という二者択一になっているのが現状だ。そこに割って入ってきたWindowsPhoneは、「スマートフォンの用途は圧倒的にSNS」というユーザーにとっては本当に快適に使えるマシンと言えるだろう。

 実際にスマートフォンを使っていて、なによりも楽しいと感じるのは「人とつながっている」と実感する瞬間だ。地震が起きたときに、つぶやくことで不安をみんなと共有する。テレビを見ながら感動を友達とシェアする。スマートフォンを持つことによって、いっそう、友達とつながることがいかに最高なエンターテイメントであるかを知ることになる。

 そんな時代に“人”とつながることを中心に持ってきたWindowsPhone。「スマートフォンで出遅れたとは思っていない。スマートフォンはまだ黎明期。挽回の余地はある」と日本マイクロソフト・樋口泰行社長は語る。SNSが盛り上がる中、どこまでその魅力をユーザーに伝えられるか。WindowsPhone7.5を世界に先駆けて発売するauと日本マイクロソフトの挑戦が始まろうとしている。

※ケータイジャーナリスト石川温氏はケータイ研究家山根康宏氏、週刊アスキー副編集長ACCNとともに、本日午後8時30分から予定されている、WindowsPhone発表記念Ust中継に出演します。この記事では書けなかった爆弾発言が飛び出すこと間違いなしのUst中継をぜひご覧ください!

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