ABC2011にはAndroid普及のカギを握るモバイル事業者も登壇しました。トップバッターはドコモのスマートコミュニケーションサービス部、コンテンツ推進室でコンテンツ支援担当部長を務める山下哲也氏。『AndroidxMobileが迫る共進化-"競創"を軸とする、これからのDevelopers Community』と題して、スマートフォンが今後どのような方向に向かっていくのかを語りました。
国内初のAndroid端末が2009年7月に発売されて以来、わずか2年間でスマートフォンが急激に普及していることを述べ、その変化は過去から連綿と続くIT技術の変遷があり、それらの技術が影響を与え合い、現在の状況に発展してきたと解説。今後は、すべてがつながる人類史上はじめての時代になると主張しました。具体的には、冷蔵庫や電気自動車などをネットワーク利用する例を挙げ、つながることのメリット、あらゆる情報が共有化された世界について言及しました。
そのなかでAndroidが果たす役割は、UI(ユニバーサルインテリジェンス)であり、あらゆる問題が即時にその場で解決できる世界になると予想。従来までとは“思考様式”が異なることを踏まえ、どのようにスマートフォンやタブレット端末を活用していくのか考える必要があるとのことです。
最後に、ドコモでは東日本大震災の復興を目的としたAndroidアプリの開発コンテスト『A3 Together』(エーキューブトゥゲザー)を協賛することを告知。コンテストを通じてアイディアを集め、サポートしていくといいます。
↑ドコモの山下哲也氏。スマートフォン業界だけではなく、今後のネットワーク社会にも言及。 |
続くKDDIのパーソナルプロダクト企画部、Android企画グループ課長補佐の畑瀬泰博氏は『スマートフォンが開発環境にもたらす変化と展望』を5つのテーマに沿って話しました。
まず、スマートフォンとフィーチャーフォンについて、それぞれの特徴を挙げ、同社がこれまでにリリースしてきた端末の紹介をしつつAndroidに対するおもな取り組みを述べました。この夏はインフォバーのデザインを踏襲したモデルや立体映像の表示に対応したモデルなど、個性的なAndroidスマートフォンを提供しています。
Android OSのバージョンアップの速さに触れ、基本的な機能を開発し提供したりセミナーや勉強会を開催するなど、OSの進化に対応していることをアピール。Androidマーケットなどアプリ市場が着実に成長しているものの、言語環境など使いにくいポイントなどを示し、au oneマーケットがそれらをケアしつつ展開していることを説明しました。
一方、ベンチャー企業やエンジニアを対象としてアプリ開発支援プログラム「KDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)」を展開するなど、アメリカ発ではなく日本発のアプリを提供するサービスを創出したいとしています。
同社はAndroid端末の販売台数が来年に約30パーセントに達すると予測しており、Androidが2011年から普及フェイズに入り、端末の開発のみならずアプリ開発も全力でバックアップしていきたいとのことです。
↑アプリ開発の重要性を語るKDDI畑瀬泰博氏。今後、世界に通用する企業やエンジニアを育ててていきたいと述べた。 |
最後はグリーのメディア開発本部、ソーシャルメディア統括部長の伊藤直也氏が登壇。『スマートフォンとウェブの今:10年に一度の変革期』をテーマに、自身の経験を通して、いまIT業界に迎えている変革期について語っていました。
伊藤氏は冒頭、スマートフォンの普及傾向をもとに、急激な変化が起きていることを解説し、PCからスマートフォンの時代に変わりつつあると説明。同社では2013年にはスマートフォンでの10人に5人はスマートフォンを所有していると予測しているといいます。興味深いポイントとして、2010年12月~3月までの4か月間で、Androidが250万人ほど利用者数を伸ばしていることに対し、iPhoneは約20万人弱ほどしか利用者数は増えていない。2011はAndroidの年であることがよくわかると語りました。
また、IT業界全体としてはiPhone向けアプリ『Instagram』が象徴的だった話していました。700万にのユニークユーザーに対して、たった4名で運営をしていることを説明し、どうやってアプリをヒットさせたのか、どのようにしてアプリを開発・運営をしているのか、という観点から、過去にない事例と紹介。なぜ『Instagram』のようなことができるのかを、IT業界の歴史を振り返りつつ解説。
iPhone、Androidの登場により、世界的にモバイルシフトが起こり、モバイルファーストという考え方が広まったことに加え、クラウド環境の普及により、Webサービスを公開するのに、わずか4行のプログラムを記載するだけ可能になったことを挙げ、現在のようにSNSが新たなプラットフォームとして受け入れられる時代を迎えていると述べ、それぞれの分野での変革が一気に起きていると語っていました。
↑グリーの伊藤直也氏。「現在は10年に1度の変革期。次の時代を築く会社も、この1〜2年のトレンドの変化のあとに出てくると予想している」とコメント。 |
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