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AMDがついにDX11/OpenCLに対応したRADEON HD5600相当のGPUを統合したAPU、llanoこと『Aシリーズ』を発表!!【前編】

2011年06月14日 13時01分更新

20110614llano

 『Aシリーズ』は、1月に投入した『Eシリーズ』に次ぐ第2弾APUで、AMDのStarシリーズプロセッサーと、RADEON HD5600相当のGPUを1チップに統合した製品となる。

 AMDは同製品をまずノートPC市場向けに投入。『Aシリーズ』を搭載したノートブックPCは500~999ドル(日本円で4万円台後半から8万円台前半)のメインストリーム市場と呼ばれる価格帯の製品になるという。本レポートでは、AMDの製品説明会を元に、『Aシリーズ』の特徴について紹介していきたい。

●8、6、4という競合他社の7、5、3の数字をひとつずつ進めたサブブランド

 『Aシリーズ』は、ノートPC向けに以下のラインアップを用意している。

モデル
ナンバー
製造
プロセス
ルール
TDPCPU
コア
CPUクロック
(最大/ベース)
L2
キャッシュ
最大メモリー設定
A8-3530MX32nm45W42.8GHz/1.9GHz4MBDDR3-1600/DDR3L-1333
A8-3510MX32nm45W42.5GHz/1.8GHz4MBDDR3-1600/DDR3L-1333
A8-3500M32nm35W42.4GHz/1.6GHz4MBDDR3-1600/DDR3L-1333
A6-3410MX32nm45W42.3GHz/1.6GHz4MBDDR3-1600/DDR3L-1333
A6-3400M32nm35W42.3GHz/1.4GHz4MBDDR3-1600/DDR3L-1333
A4-3310MX32nm45W22.5GHz/2.1GHz2MBDDR3-1333/DDR3L-1333
A4-3300M32nm35W22.5GHz/1.9GHz2MBDDR3-1333/DDR3L-1333

 

モデル
ナンバー
内蔵GPU RADEONコア数/
SIMDエンジン数
GPUクロック
A8-3530MXRADEON HD6620G400/5444MHz
A8-3510MXRADEON HD6620G400/5444MHz
A8-3500MRADEON HD6620G400/5444MHz
A6-3410MXRADEON HD6520G320/4400MHz
A6-3400MRADEON HD6520G320/4400MHz
A4-3310MXRADEON HD6480G240/3444MHz
A4-3300MRADEON HD6480G240/3444MHz

 

 今回発表された『Aシリーズ』はノートPC向けのみだが、AMDはデスクトップPC向けのラインアップも計画していることを明らかにしており、近く発表される可能性が高い。
 

 AMDのジョン・テイラー氏によれば、AMDはノートPC向けのラインアップとしてA8、A6、A4という3つのシリーズを用意しているという。Intelの第2世代Coreプロセッサ・ファミリーで言えば、Core i7、Core i5、Core i3に相当する製品だと考えるとわかりやすいだろう(8、6、4がそれぞれ7、5、3をひとつずつ上げた数字であることに注目)。
 

実際にはA6の価格でCore i3と競合!?
20110614llano

 原稿執筆時点ではプロセッサー単体の価格帯はわかっていないが、AMDではノートPC全体の価格で499~599ドル(日本で4万円~5万円程度)の価格帯がA4、599-699ドル(日本円で5~6万円程度)の価格帯がA6、699ドル以上(日本円で6万円以上)の価格帯がA8という想定をしているとのことだった。

 ただし、この価格分けは米国市場のもので、デジタルチューナーなどの付加機能が多数実装されている日本のノートPCの場合にはもう少し価格帯が上がってしまうので注意が必要だ。

dGPUとiGPUの組み合わせでグラフィックの名前が変わる
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●DirectX11/OpenCLに対応した単体GPU並の3D性能を持つGPU内蔵が最大の特徴

 『Aシリーズ』の特徴をまとめると以下のようになる。

①32nmプロセスルールを採用したことでGPUを統合できた

②クアッドコアCPU

③内蔵GPUはdGPUのメインストリーム(RADEON HD5600クラス)と同等

④DirectX11/OpenCLに対応

 AMDの競合となるIntelの主力製品である第2世代Coreプロセッサ・ファミリーと比較すると、特に③と④の点で、Intelを大きく上回っている。

 実際に公開されたベンチマーク結果は以下のようになっており、いずれの結果でも内蔵GPUの性能はIntelの内蔵GPUを上回っており、この点が『Aシリーズ』の大きなアドバンテージになっていることがわかる。

Intel内蔵GPUとの比較では大きく上回る
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CPU処理が多いPCMark Vantageでは下回っている
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『DiRT3』では平均2倍の3D性能をマーク
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 さらに、Intelの内蔵GPUが対応していないDirectX11やOpenCL(CPUによる演算ではIntelも対応している)に対応している点は見逃せない。ただし、CPUで処理するベンチマークプログラムであるPCMark Vantageでの結果がIntelの製品よりも劣っていることは、AMDが公表したベンチマーク結果でも見て取れる。

 つまり、CPUそのものの性能はIntelのクアッドコアに比べると劣っている可能性が高い。この点は留意しておく必要があるだろう。

 しかしながら、最近3DゲームではDirectX11に対応しているタイトルが増えつつある。DirectX11対応のタイトルではテッセレーションなどの手法に対応しており、少ない負荷でより高い表示品質を実現することができる。また、OpenCLに対応したビデオ変換ソフトウェアなども増えつつあり、内蔵GPUを利用してビデオのトランスコードなどが可能。

 これらの特徴をCore i搭載ノートPCで実現するには、GeForceなどのdGPUを搭載したノートPCを手に入れる必要があり、かつdGPUの搭載は消費電力の増大を意味する。そうした意味で、dGPUを搭載しなくてもDirectX11/OpenCLに対応し、かつ高い3D描画性能を手に入れられるというバランスの良さが『Aシリーズ』を搭載したノートPCの大きな魅力だ。(後編に続く)

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